なぜ、偏差値の高い大学がわざわざ入試の門戸を狭め、身内を囲い込むのか。そこには、メディアが報じない「推薦・総合型選抜」の意外な実態がありました。
■女子校が法政系列へ。MARCHが系列校を増やさざるを得ない事情
2027年度より、東京家政学院中学校・高等学校が法政大学の系列校としてリニューアルされます。
新校名は「法政大学千代田三番町中学校・高等学校」。独自の大学を持つ女子校が、その枠組みを越えて法政大学の共学系列校に生まれ変わるとあって、受験界では大きな話題となっています。
今、私立中高一貫校がMARCH(明治・青山学院・立教・中央・法政)の系列校になる流れが加速しています。
2026年4月には、明治大学の42年ぶりとなる新系列校「明治大学付属世田谷中学校・高等学校」(旧・日本学園中学校・高等学校)がスタートしました。
こちらは男子校からの共学化で、卒業生の約7割に明治大学への内部推薦枠が設けられます。新校舎の整備も相まって、2023年に系列校化が発表になって以降、受験者数が急激に増えています。
なぜ今、MARCHはこれほどまでに系列校を増やしているのでしょうか。
一般選抜でも十分に優秀な学生を集められるはずの難関大学が、あえて系列校を拡充する背景には、現代の入試制度が抱える深刻な課題があります。
■少子化で崩壊する「一般入試」の選抜機能
大学が考える「優秀な学生」とは、入学後にしっかりと勉強し、高い成績を収め、順調に進路を確定させていく、学力と勤勉性を兼ね備えた学生です。
しかし、少子化の影響により、従来のような一般選抜だけでこうした層を安定的に確保し続けることが、MARCHといえども難しくなっています。
現在、私立大学の入学者の約6割は推薦・総合型選抜を経て入学しています。この背景には、少子化で受験生が減り、一般選抜で受験生を「選抜」する機能が低下しているという実情があります。
例えば、定員割れを起こしている首都圏のある名門女子大では、一般選抜の受験者数が募集定員を下回り、事実上の「全入(ボーダーフリー)」状態に陥っています。
一方で、指定校推薦には「評定平均値○.○以上」という明確な基準があるため、むしろ推薦入試の方が学力を担保できるという逆転現象が起きているのです。
■難関大が仕掛ける「高偏差値」維持のカラクリ
近年では日本大学や東海大学、帝京大学といった大学も軒並み難易度を高めています。しかしその一方で、これらの大学の一般選抜率は3割程度まで下がっています。
例えば、日本大学の法学部は定員が約500名と非常に大きな規模を誇ります。これほど大規模な学部の定員を全て一般選抜で埋めようとすると、合格者を大量に出さざるを得ず、結果として合格ラインが下がり、入学者間に極端な学力差が生じてしまいます。
それならば、一般選抜の枠をあえて狭めて高倍率・高偏差値を維持し、残りの枠を内部推薦や指定校推薦で固めた方が、大学側は「一定以上の学力と学習習慣」を持った学生を選抜しやすくなるのです。
実際に日本大学の付属校では「基礎学力到達度テスト(統一テスト)」が実施されており、その点数によって志望学部への進学が決まる仕組みになっています。
こうした「一般選抜よりも推薦枠を増やした方が優秀な層を確保しやすい」という流れは、日本大学よりさらに難易度が高い大学において、より顕著に広がっていくわけです。
■「総合型で一発逆転」のウソ。教育業者のセールストークに隠された現実
少子化の影響で一般選抜が機能しなくなり、推薦や総合型選抜が拡大していく。この流れは、実は10年以上前から予測されていたことです。
その中で、そこに“利権”を見いだした教育業者たちが、「これからは推薦・総合型入試が主流になる。勉強が苦手でも活動実績があれば早慶・MARCHに行ける」といったセールストークを盛んに繰り広げるようになりました。
そのセールストークを信じた企業が富裕層向けに探究学習を売りにした学校を作ったり、偏差値低迷に悩む中堅校が「総合型選抜特化クラス」を設置したりしてきました。
しかし、現実は異なります。少なくとも、知名度のある首都圏の私立大学で実際に枠が拡大したのは、一部の「一芸入試」的な総合型選抜ではなく、高校時代の成績を重視する「指定校推薦」や、系列校からの「内部推薦」だったのです。
2025年度の入試統計を見ても、総合型選抜の割合は約19.5%にとどまる一方、学校推薦型選抜は34.1%に達しています。この学校推薦型選抜のほとんどが指定校推薦と内部推薦です。
では、なぜ「総合型選抜」は期待ほど増えず、結局は「系列校」や「指定校」が重視されることになったのでしょうか。後編ではその構造的な理由について解説します。
この記事の執筆者: 杉浦 由美子
キャリア20年の記者。『女子校力』(PHP新書)、『中学受験 やってはいけない塾選び』(青春出版社)など単著は14冊。『ダイヤモンド教育ラボ』、『ハナソネ』(毎日新聞社)『マネーポストWEB』(小学館)などで取材記事を寄稿している。趣味は取材。
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