今も流通する福沢諭吉の一万円札。とはいえ、発行は原則停止されたため、今後見る機会はどんどん減っていくことでしょう。
そこで今のうちに探しておきたい旧紙幣の高値となるポイントについて、オークションの落札結果をもとに解説していきます。

■福沢諭吉の一万円札は新紙幣登場後も発行されていた
福沢諭吉の一万円札は、今も手元にある人は多いでしょう。現在もATMから引き出す際に旧紙幣が出てくることは多々あります。

実はこの旧紙幣である福沢諭吉の一万円札は、新紙幣発行後も発行されていました。これは旧紙幣しか利用できない自動販売機や券売機に対応するためでした。

とはいえ、2025年には旧紙幣の発行は原則として終了したため、今後は見る機会が減っていくかもしれません。

そんな福沢諭吉の一万円札がオークションに登場しました。2026年4月11日に終了した第127回入札誌「銀座」では、4万4000円(手数料込みで5万1260円)で落札されたのです。一体なぜ、高額落札となったのでしょうか?

■ホログラム付きの福沢諭吉の一万円札は2種類存在する
今回落札された一万円札は記番号(紙幣に記載されたアルファベットと数字)が「F333333P」と、3の“ゾロ目”になっています。しかし、ゾロ目だけで5万円近くまで価格が上昇するかというと、そういうわけでもありません。

もう1つのポイントがあります。それは、“黒番一桁”にあります。


紙幣にホログラムが付くようになった福沢諭吉の一万円札は、2004年11月1日から発行されました。実はこのホログラム付きの一万円札は、2種類存在します。ポイントは記番号の色にあり、製造時期によって、黒色のものと褐色のものがあるのです。

当初発行された一万円札は黒色のものでしたが、黒色の記番号の組み合わせが枯渇したことにより、2011年7月19日から褐色へと変更されました。つまり、黒色の方が経過年数が長くなっていることもあり、高値となる可能性があるのです。

しかも落札された一万円札の記号が“1桁”となっています。新しい紙幣を見ればお分かりの通り、記番号部分の英字は“AB”など2桁となっています。以前の一万円札は1桁から発行され、その後2桁の英字で印刷されました。

つまり、黒字かつ1桁の英字であるため、2004年に近い発行のものと分かるのです。発行初期のものほど価値が高まるため、こうした理由から高値になったと考えられます。

■年数が経過すればするほど高くなる可能性が
福沢諭吉の一万円札には、さらに以前使用されていたものがあります。知らない人も多いのではないでしょうか。
それはホログラムが付いていない頃のものです。発行開始日は1984年11月1日、すでに40年以上経過しています。

そのため、ホログラムが入る前の福沢諭吉の一万円札のゾロ目、しかも初期発行のものがあればさらに高値となるでしょう。

ホログラムが入る前の福沢諭吉の一万円札も、記番号は黒色から始まり、その後褐色のものが発行されました。褐色のものには3種類あり、大蔵省、財務省、国立印刷局製造と、時代とともに変化します。

こうした紙幣の変遷をたどるのも面白いです。興味がある人は、日本銀行金融研究所貨幣博物館を見学すると楽しいでしょう。時間のある時に行ってみてはいかがでしょうか。

<参考>
第127回入札誌「銀座」 Lot番号:616 新福沢諭吉10000円札 黒番 1桁 F333333P | UNC

▼伊藤 亮太プロフィール慶應義塾大学大学院商学研究科修了。一般社団法人資産運用総合研究所代表理事。ファイナンシャルプランナーとして、家計・保険等の相談、執筆、講演、大学講師を主軸に活動。大学院時代の専門は社会保障で、経済・金融に関する解説も得意。
コイン収集マニアの一面も。
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