Wi-Fiの規格認証を行う業界団体のWi-Fi Allianceは9月19日、新規格「Wi-Fi 6」の認証プログラムである「Wi-Fi CERTIFIED 6」の提供を開始したと発表した。Wi-Fi 6は、IEEE802.11axをベースにして「6」は6世代を意味する。
容量は12Mbps/m2、速度は10Gbpsと、前世代のWi-Fi 5(11ac)の約4倍に向上する。

 Wi-Fi 6に対応した初のスマートフォンは韓国サムスンのGalaxy Note 10。Galaxy S 10や、9月20日に発売となるiPhone 11もサポートしている。バッファローが10月中旬からWi-Fi 6対応ルータ「WXR-5950AX12」を発売するなど、今後、続々と対応機器が各社からリリースされる。
 Wi-Fi Allianceのマーク・ハング テクノロジー兼エンジニアリング担当バイスプレジデントは、今年で設立から20周年を迎え、世界で800社以上のメンバー企業を抱える団体であることを背景に「2020年までに世界中で16億台のWi-Fi 6デバイスが出荷される予想だ」とする見通しを示した。
 また、Wi-Fi 6の新しい技術の中でも、直交周波数分割多元接続(OFDMA)とTWT(ターゲット ウェイク タイム)を特徴的な技術としてアピールした。

 OFDMAは、通信帯域を効率的に分配することで、同じネットワークの複数デバイスの低遅延を実現する。例えば、産業用IoTなどの電力の小さなデバイスから、4Kや8Kなどの大容量で高精細なホームデバイスまで、さまざまな複数のデバイスに同時に通信することができる。
 「混雑した環境とIoTに理想的で、空港などの混雑して密集した場所でも安定した通信が可能になる」とマーク・ハングバイスプレジデントは語る。
 TWTは、デバイスの消費電力を柔軟に抑えることができる技術。デバイスのスリープ時間と起動時間をスケジューリングすることで、バッテリーの長寿命化につながる。
 例えば、あるIoTデバイスで1日に1回か2回しか通信しなくていい場合でも、急に温度や湿度が変わって電力が必要なときは柔軟なスケジュール設定が可能になるという。

 ほかにも、複数の高帯域アプリケーションを同時に実行するMU-MIMO(マルチユーザーMIMO)や、160MHzチャンネル帯域幅を利用などによる低レイテンシーなど多くの通信技術に対応する。
 セキュリティ面では、WPA3のセキュリティ認証を取得することが義務づけられている。
 なおWi-Fi 6と5Gの関係はどうなるのかについて、マーク・ハング氏は「5Gのサービスを補完するものになるだろう。今でもモバイルデバイスの85%がWi-Fiにオフロードされているし、廉価なネットワークだ。どちらにも強みはあるが補完する位置付けになるだろう」と語った。
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