理化学研究所 革新知能統合研究センター認知行動支援技術チームは、4月20日に理化学研究所で40・50代向けの、認知症予防のための会話支援ロボット「ぼのちゃん」を使った共想法の体験会を開催した。認知症予防のための正しい知識を得て、早めに取り組む大切さを理解してもらう体験会となった。


●高齢者の約4人に1人は認知症または認知症予備軍
 現代は、高齢者の約4人に1人は認知症または認知症予備軍となっている(2012年時点。厚生労働省老健局データから)。認知症になると、生活するうえで支障が出ることになり、本人だけでなく、家族にも大きな負担となる。口腔ケア習慣の普及によって、55~60歳で歯がない人の割合は、1975年の20%から、2005年の2%まで30年間で10分の1と激減した。口腔ケア習慣によって歯の健康を保っているように、認知症予防の習慣を普及させることで、認知症を大幅に減らせると考えている。
 そこで、同社では「40・50代のための認知症予防~『ぼのちゃん』と共想法を体験~」イベントを4月20日に開催した。

 共想法は、認知症予防のために「3~6人程度のグループで、テーマを決めて、写真などの素材や話題を持ち寄り、時間を決めて話し手と聞き手が交互に会話し、想いを共有する手法」となっている。
 また、「ぼのちゃん」は、話題の提供や時間の管理を行う司会者となって、会話を支援する会話支援ロボット。会話量の測定をして、時間を区切ったり、聞き手と話し手が互いにバランスよく会話をしていないと、割り込んで発話量が少ない人に話をするよう促したりする。
 体験会の参加者は、「単なるおしゃべりと、思考を巡らすおしゃべりとの違いの大きさを納得した。周りの友人たちにも伝えたい」(40代女性)、「関心がないことは、自分でもびっくりするくらい質問が浮かばなかった。好きなことだけでなく、もっといろんなことに興味をもとうと思った」(50代女性)、「ぼのちゃんの司会もあって、初めて会った人たちでも安心して会話ができたのがよかった。
日ごろから健康マニアだと思っていたのに、身体の状態を測定してもらえて、現実がわかった。ショックな数値もあったけれど、これから改善していきたい。認知症は予防できるということが知れて本当によかった」(40代女性)と感想を述べている。
 体験会を終えて、チームリーダーの大武美保子氏は、「同世代にぜひ伝えたいと考えていたことを、切実味をもって実感してもらえた。40・50代の人たちが、今から動けば、要介護、認知症になる人の割合を、劇的に減らせる。そんな手応えを、得ることができた」とコメントしている。

 同社では、今後も認知症になる人を1人でも減らすために、認知症予防の習慣を普及する必要があると考えており、「ぼのちゃん」体験会を6月8日に開催する予定。
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