大みそか恒例のテレビ番組『NHK紅白歌合戦』が今年も放送された。白組は櫻井翔、紅組は広瀬すずが司会を務め、内村光良、桑子真帆アナウンサーが総合司会として全体の進行を取り仕切った。

今年の『紅白』にも多くの歌手が初出場を果たしたが、『紅白』初の試みとしては、NHKが12月1日にスタートさせた「BS 4K」「BS 8K」でも放送されることが話題を呼んでいた。

 その4K放送で『紅白』を見ていたテレビ局関係者は、こう違和感を示す。

「丘みどりの歌唱中、ステージから離れた会場の観客席中段から後方あたりに設置されたカメラから撮影された“引きの映像”が流れた際、丘のすぐ真ん前に立って至近距離から丘を捉えるカメラマンが、丘に“丸カブり”で数秒間、丘の姿が見えないというハプニングが起きていました。丘の後方では新体操の元五輪代表選手でタレントの畠山愛理がバックダンサーとして踊っており、歌と舞踊のコラボレーションというコンセプトだったので、おそらく丘の真正面のカメラは、アップで映した丘の姿越しに、後ろで踊る畠山を捉えていたと思われますが、もしかしたら指示ミスか何かで、カメラマンにハケるタイミングが正しく伝わっていなかったのか、単なるスイッチングのミスだったのかもしれません。

 もしくは、NHKは今年の『紅白』では地上波と4Kでは異なる内容にし、4Kでは会場のNHKホールの観客席から見ているような感覚になれるようにすると宣言していたので、4Kで後方からの画が流されたのは予定通りだったのかもしれません。地上波放送ではどのようになっていたのかは、わかりませんが、歌唱中の歌手にカメラマンが数秒間“どんガブり”して本人の姿が見えなくなるというのは、ある意味で放送事故といえます。NHKでは珍しいハプニングです」

 また、4Kで見ていたという別のテレビ局関係者は語る。

「丘以外の部分でも、ステージ袖から大きな身振りで演者に指示を出すスタッフや、手持ちのカメラマンやスタッフが大きく映り込む場面が例年以上に多く、そのたびに気になってしまいました。『紅白』に限らず音楽番組の収録では、カメラ割りに沿って、“曲のこのパートで3カメは右に移動してハケる”といった具体に細かく動きが決められ、カメリハをして、収録時も現場のカメラマンやスタッフの耳につけたインカムに指示が入りますが、指示ミスか何かで、明らかに見切れてしまっている場面が多かっですね。

『紅白』では数日かけて事前に入念なカメラリハが行われるので、目立ったミスが出ることは稀ですが、今年は同時に地上波向けと4K向けに内容が異なるコンテンツを放送しなければならず、現場も相当混乱していたのかもしれません。NHKの『紅白』ですら、このような事態が起こるということは、よほど地上波と4Kの同時生放送というのは難しいのでしょう」

 平成最後の『紅白』となった今回の放送。次世代放送の本格普及に向けて新たな課題が見えた格好となった。

(文=編集部)

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