各球団で採用が広まっているバント。なぜ衰退傾向にあった小技は活かされているのか(C)Getty Images

 2015年ごろから広まり始めた「フライボール革命」など昨今の米球界内では、パワーを押し出した“打者改革”が続いてきた。

それに抗うように、投手たちの進化も急激に促進。昨年のメジャーリーグにおける平均球速が94.3マイル(約151.7キロ)と人間の眼では対応しきれない次元に入りつつある。

 そうした中で、ひそかに見直されつつあるのが、「バント」だ。

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 そもそもバントは、自らが犠牲となる一方で、走者を先に進塁させる目的が主である。セイバーメトリクスの分析が進む米球界においては、「送りバントは非効率的な作戦である」という認識がされてきた。それはプロアマ問わず、送りバントが多用されている日本のファンの間でも浸透し始めてもいる。

 そんな“小技”とされてきた技術の一つが、世界最高峰となるメジャーリーグで増加傾向にある。米スポーツ専門局『CBS Sports』によれば、ここまで犠打数は昨年比で40%も増加。さらにバントヒットも2015年以来最高の数を叩き出しているという。

 なぜ、ないがしろにされてきたバントに再び目が向けられているのか。その理由はさまざまだ。『CBS Sports』は、「レギュラーシーズンは始まったばかり。

本当に、本当に始まったばかりだ」と言及した上で、「巧みなバントほど見ていて楽しいものはない」と論じた。

「どのバントも上手く決まれば見ていて楽しい。とくに昨今は両リーグで指名打者制が普及し、長打を狙う打撃が重視されるようになった。それによって、野球界ではバントはあまり使われなくなった技術だ」

 バントを「あまり使われなくなった技術」と評価した同局は、長打を重視する傾向と、簡単にアウトを献上してしまうプレーを嫌う思考、さらに球速アップなど投手の技術革新がバントの衰退を招いたと指摘。その上で「延長戦で自動的に走者を出るルール(タイブレーク)が導入されてから4年目。当初は一気に大量得点を狙う傾向があったが、今では1点を粘り強く奪う方により価値を見出しているのかもしれない」と分析した。

「また、昨今の野球界は粗雑なプレーも蔓延している。試合を見れば、走塁判断のミスや、間違った塁に送球するといった場面が必ず目につく。リーグ全体として基本的な技術が低下しており、それがチャンスの拡大に結び付く。つまりバントを仕掛ければ、守備側が展開を台無しにする可能性は高くなるのだ。こうした要因がすべて相まって、バントの増加に繋がっている」

 果たして、米球界でスモールベースボールは広まるのか。タイトルレースも激化していく夏場にかけてどう変わっていくかに注目だ。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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