登板毎に課題を修正しながら投げ続けている佐々木(C)Getty Images

佐々木を使い続ける「代償」

 令和の怪物は、もがきながら「最適解」を模索し続けている。

 去る5月11日に本拠地で行われたジャイアンツ戦に先発登板した佐々木朗希(ドジャース)は、5回0/3(91球)を投げ、被安打6、四死球2、3失点で降板。5回までソロ本塁打による1失点にとどめていたものの、6回に長短打3本を連続して打たれて2失点。

直後に交代を告げられた。

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 今季の佐々木はQS(先発投手が6回以上を自責点3以内に抑えた場合に記録される指標)を達成したのは、わずか1試合のみで、7登板での合計イニング数も33.2と決して多くはない。加えて防御率5.88、WHIP1.63、被打率.287、被長打率.544、被OPS.922とスタッツも芳しくなく、先発ローテ争いでもシビアな状況が続いている。

 踏ん張り切れず課題を残し続けている佐々木。しかしながら、ドジャース首脳陣は一貫して彼をメジャーリーグの舞台で育成していく方針を貫いている。それは「我々はロウキがエリート先発投手になれる能力とポテンシャルがあると強く信じている」と語るアンドリュー・フリードマン編成本部長の発言からも明確に示されている。

 無論、先述の成績不振を理由に、マイナーでの再調整を囁かれてはいる。それでもメジャーでの暗中模索を繰り返している佐々木の現状は、現地ではどう見えているのか。5月12日に米野球専門YouTubeチャンネル『Foul Territory』に出演した米メディア『The Athletic』のケイティ・ウー記者は、「彼を先発ローテーションから外す計画は球団にはない」と断言。「たとえ、最高の選手を起用できなくなる代償を払ったとしても、彼らは『忍耐』を選ぶ」とし、MLBとマイナーの間に生じるレベルの差が、球団首脳陣に佐々木を降格させる決断を躊躇させていると説いた。

 さらに佐々木への追及は続く。番組のホストを務める元MLB捕手のエリック・クラッツ氏から「彼らには最高の日本人選手を獲得し続けるために『育成し続ける球団』として見せたいという思惑はないかい? つまりこれからも日本人選手たちがドジャースに来てくれるようにするように」という意地悪な質問が飛ぶと、ウー記者は、「先発投手の発掘と育成は、球界でも最も難しいこと。

それを分かっているからドジャースは簡単に見限ることはしない」と反論。そして、こう続けている。

良くも悪くも二人三脚で歩んできた

「もちろん、この現状はファンには理解しがたいかもしれない。でも、ロウキのケースは特別。彼は日本から来た選手の中でも最高クラスの実績を持っていたからね。もちろん、彼が(メジャーに)残るためには、ある程度の妥当性が必要かもしれない。けれど、それ以上に重要なのは、球団と本人が信頼し合うために努力を重ねていることを理解する必要もあるってこと。

 全く異なる世界からやってきたロウキは、なんとかドジャースとコミュニケーションを図りながら、最適解を見出そうとしている。そしてドジャースもロウキに信頼してもらうために徹底的なサポートを続けている。だから、もしもここで3A(マイナー)に降格させるなら信用の問題にかかわると思う」

 良くも悪くも二人三脚で歩んできた。その成長の過程を見定めているウー記者は、「ロウキの育成はメジャーリーグレベルで考えるべき」と改めて断言。そして「そもそもロウキがマイナー降格に耐えられるかは考えなきゃいけない。

彼らは信頼を深めながら努力を重ねてきた。だからこそ、その決断(マイナー降格)は、信頼関係を壊すリスクを冒すことになる。つまり今の彼を落とすことは一歩以上も進化を後退させる」と語った。

 メジャーリーグレベルでの成長を最優先に掲げるドジャースは、どこまで佐々木を見守り続けるのか。いずれにしても、日本からやってきた怪物が真価を問われ続ける立場にあるのは間違いない。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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