エンゼルス在籍時に、電撃的なトレードの可能性があった大谷(C)Getty Images

 実現していれば、球界の“歴史”も変化していたのかもしれない。

 現地時間5月21日、米スポーツ専門メディア『The Athletic』の敏腕記者ケン・ローゼンタール氏が伝えたのは、最終的に幻と消えた仰天の交渉だ。

2023年の夏、トレード期限の直前に、レイズがジュニオール・カミネロとカーソン・ウィリアムズという二人のトッププロスペクトを差し出す見返りに、当時エンゼルスに所属していた大谷翔平の獲得を画策していたと伝えた。

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 当時の大谷は、最終的にドジャースと10年総額7億ドル(約1015億円)の超大型契約を締結することになるFAイヤーを迎えていた。22年シーズンも73勝89敗と負け越し、球団として再建期を迎えていたエンゼルスは、稀代の天才を売るか否かが注目されていた。

 エンゼルスのあらゆる状況を考えれば、FA後の大谷との再契約の見込みは限りなく険しかった。ゆえに当時2A所属だったカミネロと、1Aにいたウィリアムズの獲得は、チーム力の底上げにも繋がるメリットが多分にあった。実際、結果論ではあるものの、前者は、2023年9月にメジャーデビュー。主力となった昨季は45本塁打を放ち、球界屈指の若手大砲へ成長した。

「事情を知る複数の関係者によると、2023年トレード期限前に彼らの名前を含むトレード案が両球団で真剣に協議されていた」

 いわば、“レンタル選手”である大谷は、約1000万ドル(約15億9000万円)の年俸負担もかかる。2026年の総年俸がMLB28位という“貧乏球団”にとって小さくないリスクはあったが、ワールドシリーズ制覇への切り札獲得を模索していたレイズは本気だった。

 誰が見ても理想的なパッケージだった。加えてレイズ側には、別の有望株を交渉に混ぜ込む準備もあった。しかし、エンゼルスは拒んだ。

断固としてクビを縦に振らなかったのは、剛健ぶりで知られる大物オーナーのアート・モレノ氏だった。

 最終的に前年と同じシーズン73勝89敗で負け越したチームは、ポストシーズン進出に失敗。オフシーズンには、大谷の引き留めどころか、2019年に7年総額2億4500万ドル(約367億5000万円)の大型契約を交わしたアンソニー・レンドンに支払った契約負担の対応に追われ、ぜいたく税回避のために主力を一気に放出する事態となった。

 大谷のFA流出によって、エンゼルスが得た見返りは、補償のドラフト指名権のみ……。しかも、それを利用して獲得した全体74位のライアン・ジョンソンは、いまだ目立った活躍ができずにいる。

 スポーツに“タラレバ”は付き物だが、二刀流スターを失った名門は、大損をしたと言わざるを得ない。未来を見通せなかった決断は、あまりに痛恨だった。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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