西武の見事な連係を見せてピンチをしのいだ(C)産経新聞社

 年に一度あるかないかのビッグプレーが飛び出した。

 6月7日の中日対西武(バンテリンD)、延長11回裏2死満塁から、西武が一塁へのピックオフプレーに成功。

サヨナラ機に沸いていた敵地スタンドを見事に黙らせた。

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 イニング途中から登板した6番手・上田大河は制球が定まらず、前の打者・細川成也をストレートの四球で歩かせていた。続く板山祐太郎への初球も外角低めへのボール。5球連続ボールとなったタイミングで、捕手の柘植世那が構えたミットを下に下げる。

 その刹那、上田は誰もいるはずのない一塁へ牽制球。一塁手のタイラー・ネビンが後方から素早くベースに入り、走者の細川をタッチアウトに仕留めた。大ピンチを自らの守備で救った上田は何度もガッツポーズ。ネビンは三塁ベンチでハイタッチの嵐に遭っていた。

 今回の牽制刺を「年に一度あるかないかのビッグプレー」と書いたが、西武は昨季も同じ時期に成功させている(2025年6月12日)。その時は投手・山田陽翔、捕手・古賀悠斗、一塁手・ネビンの組み合わせだった。3点リードの8回1死満塁、相手は阪神、一塁走者は佐藤輝明。ターゲットにされたのは普段対戦しないセ・リーグ球団、そして相手の主砲である。

 得てしてこういうプレーが出た後は得点が入るもので、12回表に長谷川信哉のソロと代打・古賀悠の2点適時二塁打で西武が一気に3点を勝ち越し。その裏、中日の最後の攻撃はあっさりと三者凡退で終了。最終スコアは4-1で西武が勝利し、カード勝ち越しを決めている。

 西武としては非常に大きな1勝になった。3点差に広がったこともあり、12回裏は新人ながら抑えを担う岩城颯空ではなく、豆田泰志をマウンドへ送り込むことができた。さらに、前日にセーブを挙げた19歳・篠原響の温存にも成功。交流戦優勝争い、そしてリーグの首位争いに向けて弾みがついた。

 一方、中日としては本拠地で痛い1敗をまたも喫してしまった。ソフトバンク、西武を迎えた本拠地6連戦はわずか1勝のみ。それも西武との第1戦で辛くもサヨナラ勝利。交流戦開幕4連勝の後、5連敗→1勝→2連敗と負けが込んでいる。シーズン通算の借金は今季ワーストの「17」だ。

 牽制刺について、チーム内で「昨季もあった旨」が共有されていたかは分からない。ただ、100%アウトになってはいけない場面。一塁走者の細川、同ベースコーチの堂上直倫コーチの間で徹底されていたのか。こういう結果になった以上、チーム全体が責められるのは仕方がない。

 パ・リーグで首位を堅持する西武、セ・リーグ最下位に沈む中日。後者の目線で言えば、その差をまざまざを見せつけられる、今回のゲームだった。

[文:尾張はじめ]

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