東京宝塚劇場で初日を迎えた「銀河英雄伝説@TAKARAZUKA」の舞台の様子
原作は1982年の刊行以来、シリーズ累計1500万部突破の田中芳樹によるスペース・オペラで、これまでにコミック、アニメ、ゲーム、舞台化がされており、コアなファンが多いことでも知られる。
遥か未来の銀河系。圧倒的なカリスマ性と黄金の髪に蒼氷色(アイス・ブルー)の瞳を持つ「銀河帝国」の名将ラインハルトを主人公に、ヤン・ウェンリー擁する「自由惑星同盟」との戦いを軸に、絡み合う人間ドラマが描かれる。
クールビューティと称される凰稀のハマり役といえる元帥ラインハルト。マントをなびかせ、颯爽と指揮を執る姿は、原作から抜け出てきたかのようだ。東京でのお披露目は宝塚大劇場を経ての公演となるが、凰稀はまたイチからのスタートだと言う。
「東京に向けての稽古で、小池先生とまたイチから作っていこうとお話ししたんです。大劇場は大劇場で、役を自分のものにしようとやってきましたが、東京公演ではコミックのイメージがかなり強くなっていると思います。感情面でもそれぞれのキャラクターに変化が生まれていますし、ラインハルトも常に変化しています。とにかく皆さんに楽しんで観ていただきたいですね」。
実咲演じるヒロインの秘書官ヒルデガルドは、原作から一番大きな変更を加えられた役柄。
「未熟な点ばかりだと感じていますが、そうした部分をなくしていける強い心を持ちたいと思っています。凰稀さんにもどんどん向かっていきたい。そしてお客様に、『世界観がステキだった』とか、『人間模様に感動したり哀しくなったり、心が温かくなった』といった、何かしらの思いを届けられるような舞台人でありたいですし、今後もその思いを忘れずに取り組んで行きたいと思っています」。そうまっすぐな瞳で答える実咲を、終始、にこやかに見守る凰稀。
実咲は花組から組替えでの娘役トップ就任であり、凰稀と組むのはこれが初だ。凰稀も「毎公演、新鮮な気持ちでやらせていただいています」といい、「私自身、凛音のことをまだ分かっていない部分があると思いますから、いつも細かいところまでチェックしています(笑)。歩いている姿から何からね(笑)。お互いの知らない部分を突き詰めていきたいんです。
さて、宝塚男役としての象徴のひとつである燕尾服。今回、凰稀は赤の燕尾を披露する。「変わり燕尾というんですが、この赤の変わり燕尾を先生やスタッフの方々が私に用意してくださったというのが凄く嬉しかったです」。
フィナーレで凰稀が背負う“トップの証”の大きな羽根も、本公演では、普段のそれとは違った雰囲気があり印象的だ。「そうですね。騎士のような天使の羽のような。お披露目公演なので、特別なものにしてくださったのだと思います」と感想を述べた凰稀。20キロとも30キロとも言われるその羽根の重さにも、「元気なトップなので、大丈夫です(笑)」と声を出して笑ってみせた。
そしてトップに立った意気込みを改めて。「この立場にたたせていただき、考えることも多くありますし、色んなことに気づかされています。ただやはり一番強く思うのは、舞台を観に来てくださっている皆さまへの感謝。
宝塚歌劇団宙組、「銀河英雄伝説@TAKARAZUKA」は11月18日(日)まで東京宝塚劇場にて上演中。