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芦田愛菜を一気にスターにした『Mother』のスタッフが再結成して製作された『Woman』で満島が演じるのは、夫を不慮の事故で亡くした小春。都会で必死に働きながら、貧しいながらも2人の子供を懸命に育てているシングルマザーだ。
初回ではシングルマザーに対する社会のリアルな現状を訴え、悲壮感漂うシーンの数々に賛否を集めた。インターネットでは放送後、「苦しくて見ていられない」などのコメントも多く見られたが、『Woman』が描くシングルマザー像の本質はそこではない。母親との問題を抱えながらも、死んだ夫に「絶対この子たちを幸せにして見せる」と誓い無償の愛を注ぎ続ける、その愛し方だ。
小春は常に子供たちと同じ目線で、一緒に笑いあうことを大切にしている。『Woman』では、小春と子供たち3人が笑いながら歩いているシーンが各所に登場する。幼い子供たちには当初、信の死を隠し「お父さんは隠れてるの。楽しそうにしていると出てくるかも」と自分自身にも言い聞かせるように、笑顔でいられる家庭を作ってきた。
しかし、小春は「2人なら簡単なことが、1人だと急に難しくなる」というセリフもこぼしている。働きながら、1人で子供を育てる覚悟をした小春の姿には母親の強さを感じるが、彼らがその強さに感謝するのはきっと大人になったあと。
一方、『スターマン~』では実際にも2人の子供を持つ広末が、肝っ玉シングルマザーを熱演。夫に逃げられ田舎で祖母と息子3人の5人暮らしをしている佐和子が、道で拾った記憶喪失の男「星男」と恋に落ちるラブコメディーだ。
毎朝、素直に起きてくれない息子との攻防戦を繰り広げ、仕事に向かいながら息子を保育園へ送り迎え。毎日忙しくも楽しい日々を送る佐和子に、職場のスーパーで同僚が「どうしてそんなに楽しそうなんですか?」と質問する。すると彼女はこう答える。
「仕事はね、楽しくなんかないの。だから楽しくやるの」
友人・節と「男は顔!」と笑っていた佐和子の前に、突然現れた記憶を失くしたイケメン男子。楽しくもいつもと変わらない日常の中で降ってわいた出会いに、佐和子は家族を巻き込み「星男は私の旦那」と過去のねつ造を開始する。佐和子は恋心と共に今よりさらに楽しい未来を無意識に予感したのだろう。
彼との出会いにときめく自分を抑えられず、恋を始める佐和子。『スターマン~』は、堤幸彦監督と岡田惠和脚本が織りなすドラマでしか味わうことができないストーリーが最大の見どころだ。
この2本に共通して描かれるのは“女性”のたくましさ。リアルを追及して心に突き刺さる『Woman』とありえない設定ながら笑えて心温まる展開の『スターマン~』、どちらが好みか比較して観てみるのもおもしろいかもしれない。(文:林田真季)