中国がパキスタンに対し、最新鋭のステルス戦闘機を含む大規模な軍事パッケージを提案したとする報道が浮上し、南アジアの軍事バランスに波紋を広げている。米防衛専門メディアによれば、提案には中国の第5世代戦闘機 J-35 約40機に加え、早期警戒機やミサイル防衛システムなどが含まれるとされる。
パキスタン側は公式に契約を認めていないものの、こうした提案が事実であれば、同国の空軍力は質的な転換点を迎える可能性がある。単なる戦闘機の更新にとどまらず、空中戦、監視、指揮統制を一体化した「統合戦力」構築に踏み出すことになるためだ。 これに対しインドでも、ロシアの第5世代戦闘機 Su-57 の導入や国産機開発の前倒しが取り沙汰されており、両国間でステルス機を巡る競争が現実味を帯びている。 南アジアでは近年、すでに最新兵器が実戦で使用される段階に入っている。2019年の印パ衝突では、インド空軍の ラファール導入が契機となり、長距離空対空ミサイルを用いた視程外戦闘(BVR)の重要性が急速に高まった。さらに近年は、中国製の長射程ミサイル「PL-15」を軸とした運用構想が注目され、「敵を先に発見し、先に撃つ」という戦い方が現実のものとなっている。 専門家の間では、こうした流れの延長線上に、ステルス機同士による空中戦が位置づけられるとの見方が強い。ステルス機はレーダーに捕捉されにくく、敵の探知圏外から攻撃を仕掛ける能力を持つ。両国がこれを同時に保有すれば、「発見されないまま撃墜される」という新たな戦争様相が現実となりかねない。 これまで実戦において、第5世代機同士が本格的に交戦した例は確認されていない。ウクライナ戦争や中東情勢でも、ステルス機の投入は限定的にとどまっている。そのため、仮に印パ両国がステルス戦力を実戦配備すれば、両国の係争空域が世界で初めての「ステルス空中戦」の舞台となる可能性が指摘されている。
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