北朝鮮の元海軍軍人であり、エリートの証でもある労働党員だった一人の女性。彼女がそれまでの地位や生まれ育った故郷を捨て、わずか1日で脱北を決意した背景には、先に韓国へ渡った妹から届いた「1枚の写真」があった。
北朝鮮専門YouTubeチャンネル「チュ・ソンハTV」に出演した元脱北女性が、その電撃的な決意の裏側を赤裸々に語った。
7年間の軍服務を終え、本来なら過酷な炭鉱や農場へ送られるはずだった女性は、親戚の幹部のコネによって免れ、女性たちの憧れである「外貨稼ぎ事業所」へと配置された。
中国国境にほど近い三池淵(サムジヨン)に暮らしていた彼女は、生きるために国境の川を渡り、薬草やツルチュク(クロマメノキ)を中国側で採っては売り捌く密輸ビジネスに手を染める日々を送っていた。
しかし、同じく元兵士だった妹が密輸の取り締まりに遭い、家1軒分に相当する全財産を騙し取られる事件が発生する。絶望した妹は「この国に希望はない」と、母親と末の弟を連れて先に命がけで脱北。韓国へと渡っていった。
残された女性は、北朝鮮でそれなりの生活基盤を築いていたこともあり、当初は脱北など全く考えていなかった。転機が訪れたのは、家族の脱北から6カ月後、密輸先の中国で妹と極秘に国際電話がつながった時だった。
妹から送られてきたのは、韓国の海辺で水着のような露出度の高い服を着て、サングラスをかけ、髪を明るく染めた母親と妹の写真だった。
服装や髪型まで国から厳しく統制される北朝鮮で生きてきた女性にとって、その姿は「服をそんな風に着ても叱られないのか」という凄まじいカルチャーショックだった。さらに妹は「韓国のパスポートがあれば、世界中どこへでもビザなしで飛行機で飛べる」と、国家の枠に縛られない「自由」の存在を告げた。
その夜、自宅に戻った女性の頭から妹の言葉と写真が離れなかった。
一晩中悩み抜いた翌日、密輸仲間である知人の女性から「川を渡るだけだから、一緒に韓国へ行こう」と背中を押され、彼女は文字通り「わずか1日」で脱北へと踏み切った。1枚の写真が告げた圧倒的な「自由」。北朝鮮の洗脳と厳しい現実の中で生きていたエリート女性の運命は、南からの風によって一瞬にして変えられたのである。








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