KD Market Insightsは、「頭頸部扁平上皮がん市場の将来動向および機会分析 ― 2025年~2035年」と題した市場調査レポートを発表いたします。本レポートの対象範囲には、現在の市場動向および将来の成長機会に関する情報が含まれており、読者が十分な情報に基づいた事業判断を行えるよう支援します。
本調査レポートでは、KD Market Insightsの研究者が一次調査および二次調査の分析手法を活用し、市場競争の評価、競合他社のベンチマーク分析、ならびに各社のGo-to-Market(GTM)戦略の理解を行っています。

頭頸部扁平上皮がん(HNSCC)市場は、従来の細胞障害性治療から免疫療法および精密医療への移行を背景に、大きな変革期を迎えています。HNSCCは世界で7番目に多いがんであり、口腔、咽頭、喉頭の粘膜上皮から発生します。この疾患は主に、タバコおよびアルコールへの累積曝露、ならびに高リスク型ヒトパピローマウイルス(HPV)感染という二つの異なる病因経路によって引き起こされます。2026年時点において、治療環境は免疫チェックポイント阻害剤の存在感拡大、有望な新規治療パイプライン、そしてバイオマーカーに基づく治療選択への戦略的注力によって特徴付けられています。

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市場規模および成長動向

世界の頭頸部扁平上皮がん市場規模は、2024年に26億米ドルでした。市場は2025年から2035年にかけて年平均成長率(CAGR)8.5%で成長すると予測されており、2035年末までに79億米ドルを超える見込みです。

地域別では、北米が主要市場となっており、2035年までに52%以上の市場シェアを占めると予測されています。この優位性は、アルコールおよびタバコ使用による頭頸部がん発症率の増加に加え、先進的な免疫療法の高い導入率によって支えられています。主要7市場(米国、EU4、英国、日本)の中では、米国が最大の患者人口を占めており、HPV16関連頭頸部がんの高い有病率を反映しています。日本では、2024年にHPV16陽性中咽頭扁平上皮がん(OPSCC)の新規症例数が約30,000件に達しました。

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市場セグメンテーション

HNSCC市場は、複数の重要な疾患および治療領域に基づいて分類することができます。


疾患状態別:

局所進行HNSCC(LA-HNSCC):
最大の患者セグメントであり、手術、放射線療法、または化学放射線療法による根治的治療を必要とします。集学的治療にもかかわらず、患者の約半数が最終的に局所再発または遠隔転移を経験します。

再発/転移性HNSCC(R/M HNSCC):
製薬企業による介入の主な対象領域であり、歴史的には生存期間中央値が12~15か月と極めて厳しい予後を特徴としていました。このセグメントは、免疫療法市場の主要な商業的推進力となっています。

HPV16陽性 vs. HPV陰性:
この分子学的区分は、予後および治療計画においてますます重要になっています。HPV陽性中咽頭がんは、大きなリンパ節転移を伴う場合が多いにもかかわらず、放射線感受性が非常に高く、HPV陰性症例と比較して大幅に良好な予後を示します。

治療タイプ別:

免疫療法(PD-1阻害剤):
KEYTRUDA(ペムブロリズマブ)およびOPDIVO(ニボルマブ)を含む、最大かつ最も急成長しているセグメントです。

化学療法(プラチナ製剤ベース):
免疫療法との併用、または化学放射線療法の基盤治療として使用されます。

EGFR阻害剤:
セツキシマブを含み、放射線療法との併用により局所進行疾患で引き続き価値を維持しています。

新規治療法(臨床パイプライン):
二重特異性抗体(Petosemtamab)、LAG-3アゴニスト(Eftilagimod alfa)、HPV標的治療ワクチン(Versamune HPV、PDS0101)などが含まれます。

流通チャネル別:

病院薬局:
静脈内投与型がん治療薬の主要流通チャネルです。

専門腫瘍クリニック:
外来免疫療法投与において、重要性が高まっています。


成長を促進する主な要因

HPV関連HNSCCの発症増加
HPV陽性中咽頭がんの疫学的増加は、患者集団を根本的に変化させる独立した臨床領域を形成しています。小児への予防接種導入が遅れたため、HPV陽性HNSCCの流行は2030年代までピークを迎えないと予測されています。これにより、対象患者数の長期的かつ持続的な増加が生じています。特にHPV-16は、現在中咽頭がん症例の70%以上を占めています。

免疫チェックポイント阻害剤の役割拡大
R/M HNSCCにおける一次治療の標準は、全身性免疫チェックポイント阻害剤(PD-1阻害)の導入へと明確に移行しており、単剤療法または細胞障害性化学療法との併用により、持続的な疾患制御と全生存期間延長を実現しています。KEYTRUDA(ペムブロリズマブ)およびOPDIVO(ニボルマブ)は標準治療選択肢となっており、PD-L1バイオマーカー検査およびガイドライン改訂に基づいて採用が進んでいます。2025年6月には、FDAが切除可能な局所進行HNSCC成人患者に対する術前治療としてKEYTRUDAを承認しました。これはHNSCCにおける6年ぶりの新規承認となります。

大規模なパイプライン革新と併用戦略
HNSCCの開発パイプラインは非常に活発であり、80社以上が100以上の治療候補を開発しています。主な新規作用機序には以下が含まれます。

HPV標的治療ワクチン:
PDS BiotechnologyのVersamune HPV(PDS0101)は、R/M HPV16陽性HNSCCの一次治療として、ペムブロリズマブとの併用による第III相臨床試験で評価されています。

二重特異性抗体:
Merus社のPetosemtamab(MCLA-158)はEGFRおよびLGR5を標的としており、第III相試験が進行中です。


LAG-3アゴニスト:
Eftilagimod alfa(Immutep)は、一次治療HNSCC向けにファストトラック指定を受けています。

個別化医療およびバイオマーカー選択への移行
市場は、PD-L1発現(Combined Positive Score)に基づいて免疫療法を選択する精密医療モデルへ移行しています。KEYTRUDA単剤療法は、高PD-L1発現を有するR/M HNSCCに対する推奨一次治療となっています。しかし、反応を示す患者は約20%にとどまっており、より適切な患者選択および新規併用戦略の必要性が高まっています。

術前および周術期領域への拡大
R/M HNSCCにおける免疫チェックポイント阻害剤の有効性が確立されたことで、術前療法としての利用に対する関心が高まっています。術前免疫療法は局所再発および遠隔転移のリスクを低減し、全生存期間を改善する可能性があります。現在、この治療パラダイムの転換を検証する臨床試験が積極的に進められています。

市場が直面する課題

高い再発率と治療抵抗性
集学的治療にもかかわらず、頭頸部がん患者の半数以上が再発または転移を経験しており、これは治療抵抗性の高さを反映しています。このことは、治療成績を改善するために、より効果的で忍容性の高い標的治療の必要性が急務であることを示しています。再発および転移率は、特に進行期で依然として大きな課題となっています。HPV16陽性早期腫瘍患者の最大10%~25%は、2年以内に再発する可能性があります。

PD-1阻害剤に対する限定的な奏効率
PD-1阻害剤は治療環境を大きく変革しましたが、R/M HNSCCにおけるKEYTRUDA単剤療法に反応する患者は約20%にとどまります。
HPV陽性HNSCCは、免疫回避および腫瘍微小環境(TME)の抑制により、PD-1阻害に対して部分的な抵抗性を示します。また、HPVステータスによる有意な反応差が確認されていないことも、治療選択を複雑にしています。

新規治療法の高コスト
免疫療法および標的治療に関連する高額な費用は、医療システムおよび患者双方にとって大きな課題となっています。高い治療費は、特に発展途上国においてアクセスを制限し、先進国であっても患者に経済的負担をもたらします。市場拡大
には、有利な償還政策が不可欠です。

規制上の障壁と長期化する承認プロセス
新規治療法、特に併用療法や治療ワクチンに関する規制枠組みは、国・地域によって異なります。新規治療法の承認プロセスが長期化することで、革新的治療への患者アクセスが遅れ、製薬企業の開発コストも増加しています。

代替治療法との競争
HNSCC市場は非常に競争が激しく、複数の企業が異なる治療セグメントで市場シェア獲得を競っています。PD-1阻害剤、EGFR阻害剤、化学療法、新規標的治療などが治療アルゴリズム内で競合しており、価格競争圧力や臨床試験登録の加速を引き起こしています。

新たなトレンドと機会

HPV16陽性HNSCC向け治療ワクチン
HPV標的ワクチンは、最も有望な新規治療法の一つです。これらのワクチンは、再発または転移性疾患に対する一次治療として、チェックポイント阻害剤との併用時に最も有望な結果を示しています。主要な開発候補には、PDS BiotechnologyのVersamune HPV(PDS0101)、BioNTechのBNT113、ISA PharmaceuticalsのISA101b、Cue BiopharmaのCUE-101などがあります。


二重特異性抗体および新規免疫調節剤
EGFRおよびLGR5を標的とする二重特異性抗体Petosemtamab(MCLA-158)は、第III相試験が進行中であり、2026年に主要試験結果が発表される予定です。Eftilagimod alfaは、世界初のMHCクラスIIアゴニストとして、KEYTRUDAとの併用で有望性を示し、FDAからファストトラック指定を受けています。

HPV陽性疾患における治療強度低減戦略
HPV陽性HNSCCは予後が良好であることから、高い治癒率を維持しつつ長期毒性を軽減する「治療強度低減戦略」への関心が高まっています。これらの新しいアプローチは、機能温存および生活の質向上を目指しています。

標的治療による放射線抵抗性克服
放射線療法はHNSCC治療の中心ですが、PI3K/AKT/mTOR、EGFR、VEGFなどの経路異常活性化による放射線抵抗性が治癒可能性を低下させています。これらのシグナル伝達ネットワークを阻害する治療戦略が、抵抗性克服の有望な手法として注目されています。

研究協力の拡大
製薬企業と研究機関との連携が、新たな治療戦略の開発を後押ししています。主要企業は、革新的治療法および個別化治療アプローチを導入するため、研究開発投資を拡大しています。

主要企業と競争環境

HNSCC市場は、PD-1阻害剤分野の大手企業と、急成長するバイオテクノロジー企業群によって形成される非常に競争の激しい市場です。

市場リーダー(免疫腫瘍領域):

Merck & Co.(米国):
KEYTRUDA(ペムブロリズマブ)の開発企業であり、2024年にHNSCC市場全体で最大シェアを獲得しました。KEYTRUDAは、PD-L1陽性腫瘍に対する単剤療法、または化学療法との併用によるR/M HNSCCの標準一次治療となっています。2025年6月、Merckは切除可能な局所進行HNSCCに対する周術期治療としてFDA承認を取得しました。


Bristol Myers Squibb(米国):
OPDIVO(ニボルマブ)の開発企業であり、プラチナ製剤治療後に進行したR/M HNSCC向けに承認されています。2025年6月には、第III相NIVOPOSTOP試験において、高リスク局所進行HNSCC患者における術後ニボルマブ投与が3年無病生存率を改善した結果を発表しました。

こちらから調査レポートをご覧ください@ https://www.kdmarketinsights.jp/report-analysis/head-and-neck-squamous-cell-carcinoma-market/343

新興バイオテクノロジー企業:

PDS Biotechnology(米国):
Versamune HPV(PDS0101)を開発中であり、R/M HPV16陽性HNSCC一次治療としてペムブロリズマブとの併用による第III相試験が進行中です。3剤併用療法では、少なくとも60%の客観的奏効率が確認されています。

Merus N.V.(オランダ):
EGFR/LGR5二重特異性抗体Petosemtamab(MCLA-158)の開発企業であり、一次治療および二次/三次治療R/M HNSCC向け第III相試験を実施しています。

Immutep(オーストラリア):
MHCクラスIIアゴニストかつLAG-3タンパク質であるEftilagimod alfa(Efti)の開発企業です。KEYTRUDAとの併用療法は、一次治療HNSCC向けにファストトラック指定を受けています。

Cue Biopharma(米国):
HPV16陽性R/M HNSCC向けT細胞活性化剤CUE-101を開発しており、現在第I/II相試験中です。

BioNTech SE(ドイツ):
HPV16標的mRNA治療ワクチンBNT113を開発しています。

その他の注目企業:

Coherus BioSciences(米国):PD-1阻害剤LOQTORZIを開発。

NANOBIOTIXおよびJohnson & Johnson:放射線増感剤HENSIFY(NBTXR3)を開発。

Eisai、Sinocelltech、Adlai Nortye Biopharma、Incyte Corporation、AbbVie、Agenus:活発な開発パイプラインを持つその他企業。

新興企業(パイプライン):

80社以上が、HNSCC向け100以上の治療候補を開発しています。

有望な治療候補には、RiMO-301、Dostarlimab、Belrestotug、Nelistotug、Methotrexate、Afatinibなどがあります。

競争環境は、併用療法における激しいイノベーション、製薬企業と研究機関との戦略的提携、新興市場への地域拡大、そしてバイオマーカー選択型患者集団への移行によって特徴付けられています。

将来展望

HNSCC市場は、2035年以降に向けても持続的かつ変革的な成長が期待されています。この見通しを支える主な要因には、HPV関連HNSCC発症率の上昇、PD-1阻害剤の術前・術後適応拡大、新規免疫療法および標的治療の豊富な開発パイプライン、バイオマーカー主導型治療選択の普及、新興市場における医療支出拡大などがあります。

HPV標的治療ワクチン、二重特異性抗体、併用免疫療法レジメンへの移行が、次世代HNSCC治療を定義することになるでしょう。市場は、画一的な化学療法中心モデルから、HPVステータス、PD-L1発現、分子バイオマーカーに基づいて治療を選択する精密免疫療法モデルへと移行しています。


配信元企業:KDマーケットインサイツ株式会社
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