これは、浅草寺本堂落慶50周年記念の浅草大観光祭の催しの一つ。
浅草寺西側は、江戸時代に「奥山」と親しまれた盛り場だったそうで、江戸時代の街並みを再現したのだという。
まず雷門をくぐり、仲見世の入り口付近にある「両替所」で、300円を「小判」1枚と両替した。
両替所は、この他、浅草奥山風景入り口にもあるほか、仲見世の人ごみを移動している両替所も見られた。
さて、肝心の小判だが、もっとオモチャのようなものを想像していたのだが、渋みのある金色で、1枚ずつ小さな袋に入っていて、手にとると、ズシリと確かな重みがある。袋には、こんな文句が書かれていた。
「此小判は平成二十年十月一日より同十一月二十五日迄『小判通用店』の表示された店で一両三百円で通用致し候 ただし現金には取替えられぬ事御承知おき願いたく候 浅草勘定奉行」
この小判は、奥山風景や仲見世で使えるほか、浅草寺で祈祷済みのため、記念として持ち帰っても良いのだという。買い物用に、また、お土産用にと、何枚か買って行く人の姿が目立つ。ちなみに、現金には替えられないが、お釣りはちゃんと出る。
小判を持って、仲見世を歩くと、いつもの店もちょっと違った趣である。冷やし抹茶や人形焼き、せんべい、あげ饅頭など、浅草の定番のものを小判で買うという楽しみ。
また、「浅草奥山風景」には、江戸小物や版画、玩具、提灯、指物、手拭いなどの見世が六十店あまりも並んでいた。
時間帯などによっては、ガマの油売り、口上売り、こま回しなどの大道芸も見られて、ずいぶん賑やかになるらしい。
江戸時代風の衣装をまとった職人さんが、べっこう飴をつくっていたり、団子屋や茶屋があったり、矢場で遊べたりと、時代劇で見るような光景に、心躍るひとときだった。
小判で遊べるのは、11月25日まで。どうせなら、浅草寺の一つの定番にしても良いのではないかと思うほどで、ちょっと惜しい気もする。
せっかくの良い季節。10月15日から11月16日までは記念大開帳も行われることだし、「浅草はもう何度も行った」という人も、もちろん初めての人も、ぜひ小判で買い物やお茶をしに、足を運んでみては?
(田幸和歌子)