「ペットは家族」、よく聞かれる言葉である。ペットに服を着せてあげたり、同じベッドで眠りについたり。
飼い主と同じ生活を送って愛を確認し合い、絆を深める。

そんなペットの中でも、ワンちゃんの飼い主には気になるサービスが1月25日より東京都板橋区で始まった。その名も「犬の住民票」。“めだかの学校”など、童謡の世界とはワケが違う。こちらはガチなのだ。
内容は、もうその名の通り。ワンちゃんに発行する住民票のこと。

この斬新な試みを開始したのには理由がある。現在、飼い主による犬の登録は法律で義務付けられている。理由は、狂犬病が発生した時に備えるため。「狂犬病予防法」によって、自治体はどこで犬が飼われているかを把握しなくてはならない。
しかし、現時点で犬の登録はまだまだの状況なのだ。
なにしろ、板橋区には約5万匹の飼い犬がいるのに、現在登録されているのは約1万7千匹程度(2009年4月現在)。全体の、わずか3分の1!
そこで、考え出されたのが「犬の住民票」である。人と動物とが安心して共生できる地域社会をつくるため、飼い犬の登録率の向上を目指して考案された。

住民票の表面には、「犬の名前」「住所」「生年月日」「犬種」「毛色」「登録番号」「所有者の名前」の記入欄が設けられている。これらは、人間の住民票と大差のないシリアスな項目ばかり。
しかし、ここからが愛犬家の心をくすぐる。愛犬のベストショット写真を貼るスペースも設けられ、ワンちゃん愛好家はタマらない。裏面には「チャームポイント」なんて記入欄もあり、何を記入するかは飼い主の腕の見せどころか。
画像を見ていただければわかると思うが、住民票なのにデザインが非常にポップ。我先に登録してしまいそうな愛らしさである。

案の定、この愛らしさの成果は数字となって表れている。2月4日の時点で登録件数は381件。
その中には、これを機に初めて登録に訪れた29件も混じっているというから、幸先が良い。

反響も、家族想い(犬想い)の飼い主さんたちから続々と区に届いている。ワンちゃんを家族の一員と思っている方々にとって、こんなサービスは待望してたと言っても過言ではないのかも。なぜなら、「家族として、住民票が区からもらえるのは嬉しいです」という声が届いているというのだから。

この住民票の発行に必要な手順だが、元から登録していたワンちゃんにややこしい手続きは不要。飼い主さんが登録番号を控えて板橋区保健所に来れば、あっという間に発行される。
新規登録の場合は、ワンちゃんの名前・住所・犬種を記入。そうすれば登録番号が発行され、そこからはスグの発行だ。
ちなみに、料金は無料!

担当者は「住民票を持っている飼い主さんたちが、お互いの犬の情報を交換できるようなアイテムに育ってほしいです」と語っている。
区から発行される住民票である。持ってて満足するだけでなく、実用性も担うのだ。
(寺西ジャジューカ)
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