旅行先で買ったり、お土産としてもらった、木彫りの熊、こけし、張子の虎、赤べこ等の民芸品の置き場所第1位といえば……「テレビの上」だった。しかし、それももう過去の話。
上にたっぷり物を置けたブラウン管テレビは、地デジ化の影響もあり、上にあまり物を置けない液晶テレビやプラズマテレビなどの薄型テレビに置き変わってしまった。
こうして、日本の家庭から、テレビの上に民芸品を置くという文化は消えさってしまうのだろうか……。いいえ、ご心配なく。時代に合わせて「薄型化」された民芸品が商品化されているのだ。

その名は、薄型テレビならぬ「薄型民芸」
木の板でつくられている「薄い」民芸品なので、薄型テレビの上にも置けてしまうわけだ。現在、「こけし」、「木彫りの熊」、「赤べこ」そして「パンダ」がラインナップされている(各税込945円)。

この薄型民芸の生みの親は、普段はポスターやCMのデザインをしているグラフィックデザイナーのツチヤヒロノブ氏。
「薄型テレビに買い換えた人たちは、テレビの上に置いていたものをどこに移動させたのか?」という疑問を飲み会で話したときに、「薄型のこけし」というアイデアを思いつき、それがウケたのが、きっかけだとか。それ以降、周囲の人のプッシュもあり(「後輩に制作を催促され続けた」とのこと)、地デジ化まで1年を控えた2010年に、ついに本腰を入れてデザインを始めたそうだ。
当初は、材質は紙でつくるつもりだったものの、民芸品ということで木製にすることに。神社に奉納する絵馬の印刷をしている木工工場で生産することとなった。
そして、製品化についてブックディレクターの幅允孝氏(Bach代表)に相談したところ、「薄型民芸」というネーミングと、卸先の紹介を受け、2010年12月に販売が実現した。
個人で製作、発送しているものの、取扱店はミュージアムショップ等、実店舗・オンラインあわせて約30店舗、いままでの販売数は3,500個で、売れ行きも評判も上々とのこと。

製品は板状で販売されていて、模型のように組み立てて使う。大きさ、重さともに定型内で設計されているので、プレゼントとしても最適だ。コンパクトで日本らしいということで、特にお年寄りや外国の友人へのプレゼントとしては最適だという。

なお筆者も、日本らしい・コンパクト(薄型)・可愛いイラスト、と三拍子揃っているので、現代日本を代表する土産物になると睨んでいる。
(もがみ)
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