5日ロンドン市内でおこなわれた馬車パレードでフィナーレを迎えた英国エリザベス女王即位60周年ダイヤモンド・ジュビリーの記念行事。2日におこなわれたエプソム競馬場でのダービー観戦を皮切りに、3日の1000艘の船によるテムズ川の水上パレード、4日のバッキンガム宮殿前のコンサートと、期間中が祝日になったことも加わり英国全土はお祭りムードに包まれた。
4日間に催されたこれら一連のイベントはどれくらいの規模だったのか。

今回の記念行事にかかった総額は3200万ポンド(約40億円)。英イブニング・スタンダード紙によれば、ロンドン全体で1億8000万ポンド(約223億円)の経済効果があり、市内中心部ウエスト・エンド地区に限れば1億2000万ポンド(約150億円)の効果をもたらしたという。これは昨年4月におこなわれたウィリアム王子とキャサリン妃の結婚式ロイヤル・ウェディングの経済効果1億ポンド(約124億円)を上回る。

例えば、英大手スーパーマーケットのAsda(アスダ)によると、今回100万本の英国旗が販売され、合計サッカーコート462面分の大きさになったそうだ。また英国旗が全面にデザインされた靴下は、3秒に1足の割合で買われた。また英大手スーパーマーケットTesco(テスコ)では280万個のビクトリア・スポンジケーキが売れ、英総合高級食品店フォートナム・アンド・メイソンでは期間中の売り上げが通常と比べて40%上がった。あいにくだった空模様も飲食店にとっては功を奏した。アイスバー・ロンドンでは、イベントを見に外へ出かけた人が店舗内で雨宿りしたことにより売り上げが伸びた。一方で雨模様の天気は、行事を見物中に体調を崩す人を続出させた。患者の緊急搬送業務をおこなうロンドン・アンビュランス・サービスによると、3日におこなわれた水上パレードの日には、寒さと降り続く雨で50人が低体温症で処置を受けたという。その内6人が病院へ搬送された。


多数の人出で心配されたロンドン市内の交通機関も、一部で不都合が生じたものの大きな問題もなくイベント最終日を終えた。英タイムズ紙によれば、水上パレードは120万人がテムズ川沿いで見物し、6000人の警察官と7000人のガードマンが動員された。5日におこなわれた馬車パレードでもほぼ同数の人出を記録したそうだ。さらに期間中に催された路上パーティーは、イングランド全体で1万に上り、ロイヤル・ウェディングの時の倍となった。またロンドン市内バタシー・パークを会場に開催されたイベントの入場チケットは、定価5ポンド(約620円)で完売したものがインターネット・オークションサイト、イーベイで1500ポンド(約19万円)の値を付けた。

多くの人数をさばくという点では、五輪に向けての良いテストになった今回の記念行事。来月27日に開幕を迎える五輪に向けて、いよいよロンドン市内は動き出した。
(加藤亨延)
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