おいしい紅茶の町として日本紅茶協会から日本一に認定された自治体がある。愛知県尾張旭市は、同協会が認定する「おいしい紅茶の店」を15店抱える、人口比でもっとも店舗数が多い町だ。
「事の発端は、生まれ育った尾張旭市の町おこしをしたいという思いからでした。私は市内で紅茶専門店を経営しています。地元のために何かできることはないかと探した時に、自分の好きな紅茶で故郷に貢献できればと考えました。まず私の店が日本紅茶協会から『おいしい紅茶の店』として認められました。その後、他店も認定されるよう定期的に市内のカフェ経営者を集めたり、一軒一軒回ったりしながら紅茶の勉強会を開きました。結果、昨年11月に市内で15店舗まで増えました」(顧問 堀田信幸さん)
同協会が認定した「おいしい紅茶の店」には、英ハロッズ・ティールーム、英フォートナム・アンド・メイソン・コンセプトショップ、仏フォション・サロン・ド・テなど、そうそうたる店がならぶ。認定店の数だけで比べると、人口約267万人の大阪市が17店でもっとも多い。しかし人口約8万人の尾張旭市は15店舗。いかに「おいしい紅茶の店」が集まっているかが分かる。
紅茶による町おこしは、お茶を提供するだけでは終わらない。愛知県が開発した新製品「凍茶(とうちゃ)」の普及にも一役買っている。
「凍茶とは、名古屋市にある食品工業技術センターが生み出した冷凍醗酵製茶法という方法で作った、全く新しいタイプの醗酵茶です。紅茶に近い味を持ちますが、風味は日本茶に似た特徴を持っています。市内にある6軒のカフェでは、その凍茶をメニューに載せ世間へ発信しようと取り組んでいます」(同)
加えて今年10月28日には、同市で「紅茶フェスティバル」が開かれる。日本の紅茶研究の第一人者が集う紅茶シンポジウムや、おいしい紅茶の入れ方を実習できる紅茶セミナーもおこなわれる予定だ。そこで、家庭でもおいしい紅茶をいれるためにはどのようなことに気をつければいいのか。コツを一つ教えてもらった。
「紅茶の入れ方として『フレッシュ・ボイルド・ウォーター』という言葉がよく使われます。これは文字通り、新鮮な沸かしたてのお湯という意味。この条件のお湯を使ってお茶を入れると、もっともおいしい状態で紅茶をいただけます。
一杯の紅茶から始まった尾張旭市の町おこし。その歩みは着実に広がっている。
(加藤亨延)
愛知県といえば、朝にコーヒーを頼むと無料でトーストなどが付くモーニングで有名であり、ともするとコーヒー文化圏と思われがちな地域。その県内にあってなぜ紅茶なのか。尾張旭カフェ学会でお話をうかがった。
「事の発端は、生まれ育った尾張旭市の町おこしをしたいという思いからでした。私は市内で紅茶専門店を経営しています。地元のために何かできることはないかと探した時に、自分の好きな紅茶で故郷に貢献できればと考えました。まず私の店が日本紅茶協会から『おいしい紅茶の店』として認められました。その後、他店も認定されるよう定期的に市内のカフェ経営者を集めたり、一軒一軒回ったりしながら紅茶の勉強会を開きました。結果、昨年11月に市内で15店舗まで増えました」(顧問 堀田信幸さん)
同協会が認定した「おいしい紅茶の店」には、英ハロッズ・ティールーム、英フォートナム・アンド・メイソン・コンセプトショップ、仏フォション・サロン・ド・テなど、そうそうたる店がならぶ。認定店の数だけで比べると、人口約267万人の大阪市が17店でもっとも多い。しかし人口約8万人の尾張旭市は15店舗。いかに「おいしい紅茶の店」が集まっているかが分かる。
ちなみに同市が日本一を取る前は長野県原村が人口7500人で1店舗と、人口比では1位だった。
紅茶による町おこしは、お茶を提供するだけでは終わらない。愛知県が開発した新製品「凍茶(とうちゃ)」の普及にも一役買っている。
「凍茶とは、名古屋市にある食品工業技術センターが生み出した冷凍醗酵製茶法という方法で作った、全く新しいタイプの醗酵茶です。紅茶に近い味を持ちますが、風味は日本茶に似た特徴を持っています。市内にある6軒のカフェでは、その凍茶をメニューに載せ世間へ発信しようと取り組んでいます」(同)
加えて今年10月28日には、同市で「紅茶フェスティバル」が開かれる。日本の紅茶研究の第一人者が集う紅茶シンポジウムや、おいしい紅茶の入れ方を実習できる紅茶セミナーもおこなわれる予定だ。そこで、家庭でもおいしい紅茶をいれるためにはどのようなことに気をつければいいのか。コツを一つ教えてもらった。
「紅茶の入れ方として『フレッシュ・ボイルド・ウォーター』という言葉がよく使われます。これは文字通り、新鮮な沸かしたてのお湯という意味。この条件のお湯を使ってお茶を入れると、もっともおいしい状態で紅茶をいただけます。
なぜなら紅茶の品評会やオークションでは、紅茶のバイヤーはその条件でテイスティングをおこないます。つまり、そこで良さを発揮できないものは高値が付きません。各茶葉はその条件で最高の状態になるよう作られているのです」(同)
一杯の紅茶から始まった尾張旭市の町おこし。その歩みは着実に広がっている。
(加藤亨延)
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