「バラクータ」ってブランドのスウィングトップ、御存知ですか? 映画『理由なき反抗』で、ジェームズ・ディーンが着てたみたいなやつ。あれ、大好きなんです。
家には、色違いで何着も所有してあるし。TPOと気分によって、気持ちよく使い分けています。

こんな風に“色違い”というと服なんかを連想しがちだけど、それだけじゃない。今、実はこんなものが話題になっているらしいですよ? 旬の野菜、果物を扱う「株式会社YAOYA倶楽部」が運営する直営店「808倶楽部」では、その名も『カラフルおろし』なる新商品を展開しているそうです。
これは、いわゆる大根おろし。色といえば、そりゃもう白に決まっています。
……と思いきや、商品名に「カラフル」と謳われている。

そう、この大根おろしはカラフルなんです。白い大根おろしはもちろん、他に「緑」(青首大根&大葉)、「橙」(青首大根&人参)、「赤(濃)」(青首大根&ビーツ)、「橙(濃)」(青首大根&ビーツ&ウコン)、「黄」(青首大根&ウコン)、「黒」(黒大根)、「紫」(紅しぐれ大根)、「ピンク(桃)」(青首大根&紅しぐれ大根&レモン)、「ピンク(濃)」(レモン&紅しぐれ大根)と、全10色がラインナップされている模様。色鮮やかな食材を大根と共におろすことで、このようなカラーリングが可能になっているらしく。

ところで、どうしてこのようなポップな大根おろしを開発したのか? 実はそこには、切実な状況と起死回生の一念発起があったみたいなんです。
「当店では千葉、山形、福島、茨城の野菜を扱っているのですが、震災以降もろに風評被害の影響を受けてしまいました。
そこで『ターゲット層を変え、新たにやっていこう!』と模索し、その一環として“鍋セット”を始めたんですね」(同店・大塚さん)
そして、大塚さんはこのセットを自身でも試してみる。すると、セット内に設置されていたネギ系統の薬味に関し「すごい、便利だな!」と確信。ここで勢いに乗り「薬味だけではつまらないだろう」と大根おろしの販売もスタート。すると、こちらは売れ残ってしまい……。
「でも、おろしを自分で使ったら『やっぱ、便利じゃん!』って思ったんです。そこで『何かを変えれば売れるし、お客さんに喜んでもらえるんじゃないか』と、またそこから色々考えたんですね」(大塚さん)
この試行錯誤が、まさにきっかけとなる。
まず大葉と共におろした“緑色の大根おろし”と、人参と共におろした“オレンジ色の大根おろし”を開発。店頭に並べてみると、反響も上々。そこで、今度は「赤(濃)」(青首大根&ビーツ)と「ピンク(桃)」(青首大根&紅しぐれ大根&レモン)を追加。
……このように人気を獲得していくごとに色も増えていき、今では10色もの大根おろしが扱われるようになったようだ。
「今後、もっと全然増えていくと思います」(大塚さん)
「こんな色を作ってほしい」というリクエストがあれば、どんどん作っていけるそうなので、期待は膨らむ一方である。(食欲減退色の青系は除く)

ところで、気になるのは味じゃないですか? 特にウコン(「橙(濃)」と「黄」に混ぜられている)なんて、一体全体どんな味がするのか……。

「ちょっと好き嫌いはあるかもしれませんが、僕は個人的にはイケる味です。面白いスパイスのある大根の味とでも言いましょうか(笑)。大根おろしだけど大根おろしじゃなく、でもやっぱり大根おろし。表現すると、そんな感じです」(大塚さん)
ウコンはカレー等でも色を付けるために用いられることが多いそうで、その味には清涼感がある。そう考えると、大根おろしとの相性はピッタリ。また「橙(濃)」と「黄」には、後を引く美味しさがあるようだ。


そんな『カラフルおろし』の、主な購入層について。
「私が思うに、面白いものにすぐ飛びついてくれるのがOLやサラリーマンだという気がするんです」(大塚さん)
『カラフルおろし』のターゲット層としても、その辺りに狙いを定めている。そして、結果的には狙い通りだった模様。思うにこの素早い反応が、周囲の評判を参考にしがちな主婦と対照的である。風評被害を跳ね返すための試みなのだから、そういう意味でもこの戦略は正解だった。

ちなみに『カラフルおろし』が店頭に並ぶのは、夕方の5時半以降だそう。

「できるだけ新鮮なものをお届けしたいので、実は接客をしながら作っているんです」(大塚さん)
よって、一日の限定数は全30個。人気も高まっているのだが、時間の制約もあるだけにこの個数が限度のようだ。そして、言うまでもなく購入できるのは店頭でのみ。だって、新鮮なおろしを届けたいんだもの。価格は一個50円で三個100円。

とにかく、こんなカラフルなおろしが食卓に並んでいたら、単純に楽しくないですか? その場の雰囲気だって、明るく一変するし。単純だけど、味なアイデアです。
(寺西ジャジューカ)