え! コンパクトな骨って何!? みんな一緒じゃないの!? と驚いて聞いてみたところ、やっぱり人によって体格差があるらしく、いい年こいてちんちくりんとして名を馳せている私は人より骨が小さめにできているらしかった。
なるほど、と妙に感心すると同時に人生で一番長く付き合っている自分の体のことについて、普段は酒を飲みまくり好きなものを食べ、自堕落な生活を送りまったく気にかけていないなぁと改めて認識をした。
これから先も長い付き合いになるだろうし、知っておかないとなぁと思っていた矢先、ふらりと立ち寄った本屋で『面白くて眠れなくなる人体』という書籍を発見した。
高校生のときより、「宇宙の端っこがどうなっている?」とか、「男性はなぜ巨乳でメガネの美少女が自分の前で転んでパンツを見せるシチュエーションが好きなのか?」とか、「女性の言う何でもいいよ、は何でも良くない」とか、眠れなくなるほど気になることは山ほどあるが、今一番気になっているのは体のことだ! と早速手にとってみた。
読み進めるほどに、普段気にかけていない自分の体が如何に精密に動いていて、頑張って無理をしている自分のために働いてくれているのかを痛感させられた。また、それ以外にも「ほほう!」と思う話が満載だった。
出版元のPHPエディターズ・グループでは、人体の他にもたくさんの「面白くて眠れなくなる」シリーズを出版しているが、この度人体についての書籍を出版するに至った経緯について編集者の田畑博文さんに聞いてみた。
「『面白くて眠れなくなる』シリーズは、身近なテーマを入り口に、科学の奥深さ、面白さを伝えることを意図しています。そういった意味で「人体」は、私たち人間にとってもっとも身近なもの(なにせ自分自身の話ですから)です。サイエンスの精妙さ、奥深さを実感できる「人体」というテーマは、是非手がけたい一冊でした。人体の仕組みを、魅力的に解き明かす・語ることができる解剖学者の坂井先生にご執筆をお引き受けいただき、本書が成立しました」
確かに、この本では人体の仕組みを魅力的に説明している。例えば、クシャミの速度は新幹線並みの時速300キロメートルだとか、男性に比べて女性がむくみやすい理由、脳のシワが多いと頭がいいというのは俗説という話や、鼻の穴は交互に呼吸している、冷たいものを食べて頭が痛くなる現象は医学用語で「アイスクリーム頭痛」と言うなどなど。
話しのネタとして知っておきたい事項や、ついつい他人に自慢したくなるトリビア、子供に聞かれても困らない知識にと、読んでおいて損のない一冊だ。老若男女、誰でも楽しめて勉強できる内容ではあるが、どのような人に読んでもらいたいか、著者の坂井建雄先生に聞いてみた。
「人間の体は、誰にとってもかけがえのない大切なものなのです。その体がただ漠然と動いたり働いたりしているのではなく、詳しく見ると機械のように精密にできていることを、誰にでも関心をもってもらいたいと思います。とくに若い人たち、高校生や中学生なんかにも読んでもらえるといいですね」
個人的な話だが、一昨年に父が癌で他界した。体調が芳しくないと思いつつ、仕事や日々の生活を優先し精密検査を受けなかったことで発見が遅れ、長い闘病生活の末にこの世を去った。
仕事のことで悩んだりダメな男に引っかかったり、今の年齢だからこそ相談したいことがたくさん出てきたが、もう父はいない。そういうときに今さらだが必ず思う。父ちゃん、あの時に検査いっとけば良かったのに! と。
そんなことも手伝い大切な体は一つだ、と思うようになったが、本格的に体調を崩すことが一年に一回程度のため、なかなか体に興味を持ったり気を使ったりすることがないまま日々を過ごしてしまっていた。若い人は特にそうだろうと思う。
しかし、この本を読んだことがいいきっかけになった。
ちなみに皆さんご存知かと思うが、オナラは我慢すると血液に戻り一部は呼気から排出されてしまう。つまり我慢は体に良くないのだが、人前ですることはマナーとしてよくないことも事実だ。
もし、あなたのパートナーが我慢できずにうっかりオナラをしてしまったのに気づいたときには、「素敵な人だと、オナラも素敵な音だね」と言っておけばいいような気もするが、我慢をすると呼気から排出されるから我慢しないほうがいいんだよ!と言えたほうがモテる気がするので、やっぱり本書の一読をお勧めしたい所存です。
(梶原みのり/boox)
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