「痛車」って、ありますよね。あれは、紛れもなくイタい。
そして以前コネタで「痛印」ってのも取り上げたことがあります。あれも、イタかった。

そして、これもイタい。昨年12月、ドン・キホーテ秋葉原店の1Fにオープンした「痛color's yellow」は、「痛ネイル」の専門店なんです。
というか「痛ネイル」とは、何ぞや。……もちろん、皆さんのご想像通りです。「痛車」は、ボディにアニメのキャラクターを描いた車を指す。そして「痛ネイル」とは、爪にアニメ等のキャラクターを描くネイルアートのことなのです。

しかし、何故こんなネイルを始めようと思ったのか? 事の顛末には、意外な有名人が登場する模様……。
「color'sには渋谷店と越谷店もあり、秋葉原店オープン以前から『どんなオーダーが来ても断らない』を信条としておりました」(「color's」担当者)
そこで注目したい、color'sの客層について。実は同社代表の松井美飛里氏が中川翔子さんのネイルを担当しており、その縁でしょこたんファンによる来店が頻繁だったらしく。ってことは、自ずとアニメファンによる利用も多くなる。

「アニメのイラストを手に『こういうのは描けないんですか?』という問い合わせも多く、我々もそういったオーダーにはお応えしておりました」(担当者)
元々、同社には細かい作業を得意とするネイリストが多く在籍しており、アニメに対する造詣の深さにも自信があったとのこと。要するに、この分野は苦手じゃなかった。
そしてその勢いのまま、秋葉原店をオープン。こうして、世界初の“痛ネイル専門店"が誕生したのです!

では痛ネイル文化について、少し突っ込んでみましょうか。「このアニメのキャラを描いてください」といったリクエスト、一体どの作品に人気が集中しているのでしょう? ……そうですか、やっぱりですか。まず挙げられるのは、何と言っても『新世紀エヴァンゲリオン』だそう。
「女の子からのオーダーが主で、特に“カヲル君"のリクエストが多いです」(担当者)
次いで『ジョジョの奇妙な冒険』の人気も、かなり高いという。
「以前開催された“ジョジョ展"ですが、実はその時のデザインを当社のデザイナーが担当しているんです。ですのでジョジョの痛ネイルにし、荒木先生に見せに行ったりもしました(笑)」(担当者)
その他、『うたのプリンスさまっ』、『進撃の巨人』、『黒子のバスケ』といった作品の人気も高いようだ。
「当社代表の松井が“黒バス"のネイルを施術し、その画像をTwitter(@colors_midori)にアップしたら、3500以上のリツイートと1300以上のファボがありました(笑)」(担当者)

そして、同店の今後の展望について。
「男性ネイルを流行らせたいという思いが、ずーっとあるんです。ただ、抵抗を感じる男性も少なくなく……。
そこで“痛ネイル"をきっかけに間口を広げられればと考えています」(担当者)
そして、確実に間口は広がっている模様。しょこたんファンがマミタス(しょこたんの愛猫)をネイルに描いてライブに向かったり、AKBファンが推しメンのイラストをネイルに施したり……。
「リアルなタッチでも、ポップなイラストでも、どちらでもネイルにすることはできます!」(担当者)

なるほど。どうやら、どんなワガママも聞いてくれそうだ。過去に施術された痛ネイルの写真を見せていただくと、そのバリエーションがあまりにも幅広い。嵐だったり、韓流スターだったり、アップルのジョブズだったり、秋葉原の風景だったり。
……あっ、このネイルには抵抗感を感じない。TwitterとかFacebookとか、いわゆるSNSのアイコン。日々の生活で、よく目にするやつ。これ、私の爪に施術してもらうことって可能ですかね?
「ぜひ、是非!」(担当者)
ひょんな事から、私も痛ネイルを体験することになりました!

ところで同店、狙い通りに男性による利用が多いとのこと。平均して週一回は、実際にメンズネイルを施しているそうだ。
「女性より男性の方が爪が大きいので、出来上がりの迫力がやはり違いますね。
アートとしては、やり甲斐があります(笑)」(施術していただいたネイリストさん)

しかし男性の場合、勝手が分からない。施術中、我々はどのようにしていれば良いのですか?
「ネイル中は、お客様の仕事のこととか趣味のこととか色んなお話をします。特にここはアニメファンの方が多いので、面白い作品を教えていただいたりもあります」(ネイリスト)
また、あまりの心地良さに寝てしまうお客さんも少なくないらしい。かなり自由気ままに過ごすことができそうです。……私ですか? 私はAKBとかももクロの話をしてました。

しかし、今回は取材だ。そこで、ネイリストさんに痛ネイルのお勧め活用法を伺ってみます。
「会社のロゴを入れ、痛ネイルを営業に活用していただきたいんです! 特に名刺のやり取りの際、親指は必ず相手に見えますしね」(ネイリスト)
愛社精神の表れとなるし、相手へのインパクトにもなる。……ただ、それも裏腹。せっかくの休日、自身の爪を見て仕事を思い出し、どんよりするのは困っちゃう。覚悟のある営業さんは、どうぞ! 事実、同社の広報さんは「color's」のロゴをネイルに入れているそうですよ!!

さて、ここで突っ込みを入れたい。ネイリストさん、やっぱりアニメの知識にも自信はあるんですか?
「当店にはアニメに詳しいスタッフもいれば、そうでもないスタッフもいます。
私も元々は詳しくなかったのですが、今ではすっかりオタクです(笑)」(ネイリスト)
詳しいネイリストさんの場合、お客さんと趣味が合えば会話も弾みまくりに。そうでもないスタッフさんの場合、未知の作品の施術をしながらそのアニメが好きになり、お客様に勧められてファンになることもあるという。それはそれで、お客さんもモチベーションが上がりそうじゃないですか。

そして痛ネイルには、こんな効用もあるらしい。
「お客さん同士がお店の外で偶然出会い、『それ、color'sでやったネイルですか?』と知り合ったというケースがありました」(ネイリスト)
痛ネイルならば、爪に趣味が反映されまくる。ひょっとしたら相手の爪を見るだけで、自分とピッタリな存在なのか分かるかもしれないですね。いや、もしかしたら。

……と言ってる間に、私のネイルも仕上がってきた模様。ネイリストさんも、施術しながら「カワイイー!」という言葉を連発しています。そんなですか、どれどれ……? カワイイー!! 実際のTwitterやFacebookアイコンより可愛らしく見える。っていうか、自分の指じゃないみたい。もう、このままの状態でずっといたいと思ってしまう。

「こりゃあ、モテちゃいますよ(笑)」(ネイリスト)
事実、数日後に名刺交換した際、先方(女性)から「カワイイー!」と黄色い歓声をいただきました。これ、モテキ来たな。名刺、たくさん渡したくなってきた!! というか、ワンポイントとして普通にオシャレです。
ちなみに料金設定は時間制となっており、10分で1,000円だそう。私の場合、2本で40分ほどかかったので4,000円となります。

「メイドをやりたくて地方から上京してきた、アキバ文化に強いネイリストがcolor'sにはいます。他にも、絵を描くのが好きでネイリストになった者、元はウチの常連で好きが高じてスタッフになったネイリスト等もいます」(担当者)
なるほど、痛ネイル欲求を満たしてくれるネイリストばかり在籍しているみたいだ。アニメ好きも、興味を持った方も、キャーキャー言われたい方も、是非!
(寺西ジャジューカ)
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