
普段、何気なく街の中で目にする自動販売機たち。チャリンとコインを入れてドリンクを買う行為の中でも、よく考えてみると不思議なことも多い。
自動販売機のドリンクがぬるいことはある?
自動販売機で買ったドリンクといえば、ホット飲料は適度に熱く、コールド飲料はキンキンに冷えているのが当たり前。しかし、よく考えてみると、すごいことではないか。確かにこれまで、ぬるい中途半端な商品に当たった記憶はない。なぜこのようなことが実現できるのだろうか。
自販機にドリンクを補充しているシーンはよく見かけるが、補充直後はぬるいものが出てもおかしくないものである。そこで、日本自動販売機工業会の担当者に、ぬるいものが自販機から出てくる可能性はどれくらいあるのかを聞いてみた。
「最近の自販機ではオンラインによって販売状況を管理するようになっており、売切れになる前に商品を補充しています。このため、適温でない商品が出てくることはありません。
万が一、売切れになり適温の商品が庫内にない場合には、『冷却中』や『加温中』の貼り紙をしています」
「ぬるさ」はオンライン管理で回避されていたとは考えも及ばなかった。テクノロジーはすごいものである。
瓶飲料は割れないよう下段に配置されているのは本当か?

また自販機には次のような噂もある。「瓶タイプの飲料は落ちるときに衝撃が強いと割れてしまうので下段に配置されることが多い」というものである。
「日本の自販機は、上段、下段という構造ではありません。上から下まで縦に配列されています。缶やボトル飲料などの商品を収納する部分の構造は、『サーペンタイン』と呼ばれる構造になっています。サーペンタイン(serpentine)は、英語で『蛇』を意味するサーペント(serpent)の派生語で『蛇行する』と和訳されます。
この蛇行した構造により、商品の落下速度が吸収されることから、商品同士がぶつかったときの凹みなどが防がれ、容器の破損が防止できています」

ちなみに欧米では「直列」の構造だそうで、商品が「ドーン!」と落下するそうだ。その点、サーペンタイン方式は「コトッ…」程度で済む。また、サーペンタイン方式は収納効率の面でも優れているという。
日本の自販機は、オンライン管理やヘビ型の構造など、購入者にとって不快な思いをさせないよう、配慮が進んでいることが分かった。今度自販機から飲料を購入する際には、オンラインでぬるくならないよう管理されていることや、蛇行しながら出てくるのをイメージしてみよう。
(石原亜香利)
取材協力・画像提供
一般社団法人 日本自動販売機工業会
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