【ライブレポート】Dragon Ash、巨大なライブハウスと化した19年ぶりの横浜アリーナ公演

ロックバンドの誇りが鳴り響く
巨大なライブハウスと化した19年ぶりの横浜アリーナ公演


【ライブレポート】Dragon Ash、巨大なライブハウスと化した19年ぶりの横浜アリーナ公演

 デビュー20周年を迎えた2017年に行われた全国ツアー『Dragonash Live Tour 2017 MAJESTIC』。そのツアーファイナルを飾る『Dragonash Live Tour MAJESTIC Final』が、1月28日に横浜アリーナで開催された。Dragon Ashが横浜アリーナでワンマン公演を行うのは、1999年に行われた『Dragon Ash Tour Freedom of Expression』のファイナル以来、約19年ぶりとなる。

 開演前からすでに熱気に満ちた会場が暗転すると、ステージの上に設置されたスクリーンに、ターンテーブリスト、BOTSが映る。サンプリングしたディストーションギターを駆使して「威風堂々」を奏で、スクリーンに最新アルバム『MAJESTIC』のロゴが映し出されると、場内から割れんばかりの拍手と大歓声が沸き起った。そして、最新アルバム『MAJESTIC』の冒頭を飾るインスト曲「Majestic」が流れ、ダンサーのATSUSHIがスポットライトの下で羽ばたくように動き出し、続いてDRI-Vも力強いステップを踏み出すと、ステージにメンバー全員が登場。ベーシスト、KenKenの側には初代べーシスト、IKUZONEをイメージした赤と青のシャツが飾られている。スクリーンに大きな樹と飛び立つ鳥のイメージが映され、「Stardust」が力強く鳴り響いた瞬間、いくつものレーザーの光がアリーナを貫くと、地鳴りのような歓声が沸き起こる。デビューから20年を経てなおラウドな音を鳴らし続けるバンド、Dragon Ashによる巨大なロックショウの始まりだ。
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 生放送の音楽番組で演奏され、大反響を呼んだ「Mix it Up」のアグレッシヴな音が轟くと、最前エリアがモッシュとダイブの坩堝と化す。Dragon Ashのショウは、全身で音を楽しむ観客たちの熱狂と共に作られていく。Dragon Ashのライブスピリットを宣言する「Mix it Up」のリリックにも描かれているように、とことん熱狂しながらも、互いにマナーと思いやりを持って楽しむのがDragon Ashファンの心意気だ。今回のツアーの定番カバー曲となった、Dragon Ash全員が敬愛するTHE MAD CAPSULE MARKETSの「Pulse」では、会場中がシンガロング。後方エリアでも、ヘッドバンギングをしたり身体を揺らしたり、皆思い思いに楽しんでいる姿が見える。
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 それはステージの上も同様だった。昨年のツアー本篇では、ステージにメンバー7人全員が立ち並ぶのがやっとというキャパのハコもあったが、この日は大きなステージを存分に使い、バンドもダンサーたちもダイナミックに動く。「とびはねろ!」というKjの声が響いた「Ode to Joy」では、ミュージックビデオと同様にダンサーのDRI-Vが、デジタルポイでDragon Ashのロゴを描く光のパフォーマンスを披露。ダンサーのATSUSHIも得意の薄布を使ったパフォーマンスを見せる。激しいギターリフが轟き始まった「Singing’ in the Rain」では、赤いマスクをかぶったDRI-Vがダークな動きで客席を煽っていく。
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 IKUZONEのラストレコーディング曲「Walk with Dreams」の柔らかくも激しい音が会場を包むと、ATSUSHIがIKUZONEのイメージカラーである赤と青の布を大きく振りながら踊る。最前エリアの客も赤と青の布を高らかに掲げて応える。今もDragon AshはIKUZONEと共にステージに立っている。そんなIKUZONEの親友でもあるベーシスト、KenKenがベースを鳴らすと、その指先からレーザーが出現。スラップベースを合図に最強のライブチューンが始まると、スクリーンに赤と青のイメージが様々な形を描きながら映し出されていく。20周年を迎えた2017年に開催されたツアーの最後を飾るファイナルとはいえ、過去を振り返らずに本篇と同じく通常のアルバムツアーを貫くセットリスト(演奏曲目)に、革新し続けるロックバンドとしてのプライドが光る。

 それでも、20周年を迎えられたのは彼らを支持し続けてきたファンという、心強い存在があったからこそ。桜井誠の力強いドラムで始まった「Beside You」は、そんな”あなたたち”に向けられたDragon Ashからのラブソングだ。リリックをかみしめるように歌うKj。スクリーンに映るその瞳には、胸に強くこみ上げる思いが浮かぶ。「静かな日々の階段を」では、HIROKIが奏でる柔らかなギターに合わせ、ハンドマイクで歌うKj。それぞれの人生の浮き沈みに寄り添ってきたであろう歌と調べが響く中、ふと側を見ると、静かに涙を拭う人の横顔が見える。

 メランコリックなヘヴィーチューン「Jump」では、手拍子と共に会場中がジャンプ。「タオル持ってるんだろ?ぶん回せヘリコプター!」の声で全員がタオルを回す幸せな光景が広がっていく。そして、「百合の咲く場所で」のイントロが流れ、場内から熱い歓声が上がった瞬間、ふと、19年前の横浜アリーナでのステージの記憶が蘇る。デビューから2年。19歳でつかんだ大きな栄光。そこからのバンドの道程は決して平坦ではなかった。けれど、いくつもの嵐を超えたその歌と音は19年前よりもずっと力強く、はるかに美しい。

「お前らがいたらライブハウスみたいなもんだ!」
 そう叫ぶKjの声を合図にアリーナが再びモッシュの坩堝と化した「Fantasista」を披露した後、Kjが観客に向かって言う。
【ライブレポート】Dragon Ash、巨大なライブハウスと化した19年ぶりの横浜アリーナ公演

「俺、20年ロックバンドをやってて、今の時代のロックバンドがいちばんかっこいいと思ってて。祭日だろうが平日だろうが、ライブハウスでは絶対カッコいいロックバンドがいる。もちろん俺らの仲間もいるけど、見たこともないバンドもいて。もし音楽が好きで、モッシュとかしてくれるなら、お願いです、そのままライブハウスに足を運んでください」

 20年前。意気揚々とデビューした直後、期待していたほどの集客が望めず、「ライブは嫌い」と言っていた10代のKj。やがて自分たちの音楽と存在が注目を集め、多くの人に支持されるようになり、今やDragon Ashは日本のロックシーンを代表するライブモンスターとなった。しかし、その始まりは小さなライブハウスだった。昨年開催された『Dragonash Live Tour 2017 MAJESTIC』で多くのライブハウスを回り、自らの原点を再確認したからこその言葉に、熱い歓声が轟く。観客の歌声で幕開けた「Lily」では、最後のサビに差し掛かると、HIROKIのギターだけをガイドに、観客の歌声が美しく響く。それは20年前、10代の少年たちが夢見ていた理想の光景だった。
【ライブレポート】Dragon Ash、巨大なライブハウスと化した19年ぶりの横浜アリーナ公演

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「ありがとうございました!」
 Kjの声を合図に、音楽へのモチベーションを歌い綴ったエモーショナルで美しいナンバー「A Hundred Emotions」が鳴り出す。その曲の最後、メンバーの背後から白い鳥が飛び立つ映像が映し出される。今回の映像を手がけたのは、Kjのインストユニット、nidoのメンバーでもある映像作家の吉川寛だ。

「Viva、Viva、la revolution!」
 おなじみのSEで再びステージに登場すると、Dragon Ashの象徴的な1曲「Viva la revolution」がスタート。会場を照らす照明がつき、ハンドマイクで歌うKjと観客が共に20年の轍を歌って祝う。背後ではメンバーが、この曲でいつもIKUZONEがしていた両腕をV字に広げるポーズをとる。ATSUSHIとDRI-Vがステージを降り、客席を練り歩きながら踊る。

「今日はずっと、やっぱバンドってカッコいいなと思って演奏してました。お客さんも輝いてるし、全国をツアーで回ってきて、いろいろ話かけて来てくれる人もいて。ラウドバンドでこんな大きいとこでやれてることは、稀有なことだと思う。交通費や宿泊費を払ったりして、遠くからもみんなが来てくれたことに対して感謝の気持ちでいっぱいです。19歳の時に初めて横アリでやって、今、38歳。あの日から人生のダブルスコアですよ。すごいことだと思いません? 19年後もこんなに愛されて、ロックバンドを続けてられると思ってなかった。最高です」
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 Kjと共に10代でDragon Ashを始めたドラムの桜井が客席に向かって話す。「横アリだから特別なことをやることも考えたけど、『Dragonash Live Tour 2017 MAJESTIC』が手応えのあるツアーだったからこそ、ツアーの雰囲気を味わってもらえるよう、ツアーと変わらないセットリストと雰囲気でやりました。でもせっかくなので、19歳の頃にやってた楽曲をやってみようかなと思ってます。まだ体力余ってるよね」と桜井が続けると、アルバム『Viva La Revolution』からのナンバー「Drugs can’t kill teens」を披露。観客の大合唱で始まった「繋がりSUNSET」は、Kjが20代で得たものを歌ったナンバーだが、大勢のオーディエンスたちの笑顔と歌声を前にして、20年の道程でDragon Ashが得たものを讃える歌へと塗り替えられていく。

「Curtain Call」の美しい轟音が名残りを惜しむように響いた後、「ありがとうございました~」と、マイクレスで叫ぶKjの肉声が会場にこだまする。KenKenが赤と青のステッカーが貼られたベースを高く掲げる。19年前に作ったグッズを客席に投げ込むBOTS。桜井もドラムのリムを客席に投げ入れる。フィーチャリングもゲストもなく、この夜はメンバー7人だけでステージに立ち、横浜アリーナを巨大なライブハウスにして見せたDragon Ash。彼らの旅はこれからも続くだろう。目の前のあなたたちの笑顔と情熱がある限り。

取材・文/早川加奈子
写真/shimboyuki、mao Yamamoto、michitogoto、TAKAHIRO TAKINAMI

『Dragonash Live Tour MAJESTIC Final』セットリスト


Majestic
1 Stardust
2 Mix it Up
3 Pulse
4 光りの街
5 Ode to Joy
6 Singin' in the Rain
7 Walk with Dreams
8 TIME OF YOUR LIFE 
9 Circle
10 Headbang
11 Faceless
12 The Live
13 Beside You
14 静かな日々の階段を
15 Jump
16 百合の咲く場所で
17 Fantasista
18 Lily
19 A Hundred Emotions
EN
1 Viva la revolution
2 Drugs can’t kill teens
3 繋がりSUNSET
4 Curtain Call
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