その題材は懐かしのコミックやアニメキャラ。
Tシャツのボディ(生地色)は、題材によってカラフルだったりもするが、だいたいはブラックが多い。黒地に白。もしくはキーになるカラーがもう一色。これらの要素を、パンキッシュにまとめ上げている。
最初に「街で見かける」と書いたが、このごろはテレビでタレントさんが着ているのを目にすることも多い。先日の『アメトーーク!』(テレビ朝日)の「ウルトラマン芸人」でも、博多大吉さんがエースキラー、バキシム、ツインテールといったウルトラ怪獣のTシャツを着用していた。
これ全部、ハードコアチョコレート(通称:コアチョコ)というブランドのTシャツだ。
Tシャツは自分の手で作れる!
コアチョコの代表であり、自らデザイナーも務めるMUNE氏は、若い頃からパンクロックやプロレスが好きだった。
ある日、愛読していたパンク雑誌で「オリジナルTシャツを作る!」といった記事を目にする。それまで、好きなバンドやレスラーのTシャツを集めることに熱中していたMUNE氏は、自分の手でTシャツが作れることを知ったのだ。
好きな映画や漫画を題材にして原稿を作り、市販のプリントキットでTシャツに刷る。メーカー品に比べてクオリティはそう高いものではなかったが、自分で着るためだけなら、それで十分だ。
自作のTシャツを着てライブやイベントに顔を出していると、そのTシャツを見た相手から「お金を払うから俺にも作ってくれ」と言われることが度々あった。それに応えているうちに、少しずつデザインのスキルは上がり、Tシャツ作りのコツもわかってきた。
やがてインターネット時代が到来し、簡単に販売用のサイトが作れるようになったことで、Tシャツブランドを立ち上げた。それがコアチョコだ。
スタートした当初は宣伝資金がないので、友人の芸人やプロレスラーにプレゼントして着てもらった。彼らが歩く宣伝マンとなってくれるからだ。試写会で見て気に入った映画があれば、配給会社に掛け合ってオフィシャルTシャツを作らせてもらった。Tシャツブランドをやっている友人と一緒に、自作Tシャツの販売イベントを開催し、積極的にシーンを盛り上げることもした。
そうやって、少しずつブランドの知名度を上げていった。口から口へ、噂が広がる。
その結果が、街でもテレビでも頻繁にコアチョコのTシャツを見かけるという、現在の状況だ。

Tシャツ作りのノウハウをすべて公開
……というわけで、やっとこのレビューの本題にたどりついたが、このたび刊行された『コアチョコ流Tシャツブランドの作り方』(著:MUNE、構成:カトウカジカ、発行:鉄人社)は、そんなコアチョコの成り立ちを紹介した本だ。
MUNE氏がどのようにしてオリジナルTシャツを作ってきたのか、いかにしてブランドを育ててきたのか。シルクスリーンの基礎、デザインのコツ、プリント業者の選択、販売方法、SNSの活用術など、そのノウハウがすべて公開されている。
本の帯には「資金10万円で今日から開業できる!」とあるが、その言葉に嘘はない。身に付けて楽しいTシャツは、自分で作るともっと楽しい。
(とみさわ昭仁)