bit

「人生100年時代」に死とどう向き合うべきか 宗教学者に聞いてみた

       

死者との距離感は、遠すぎず近すぎないのが大切


――最近は昔ながらのお通夜&お葬式が減り、宗教色を排した密葬&お別れ会が増えてきましたね。また、墓守をする子孫がいないことから墓じまいをする人が増え、遺骨などの加工品をお守りのように身に着ける人もふえました。
先生は「死者とつながるモノと常に一緒にいることで、いつまでも死者との距離がとれない状態になるのは、あまり好ましいことではない」と著書で懸念されていましたが、それはなぜですか?


正木 大事なのは、死者との距離感です。遠すぎても近すぎても良くありません。私たちが生きていくためには、死んだ人といつまでも付き合っているわけにはいかないのです。その点からすると、古代から人が死者に対して愛惜の念と恐怖の念、両方を抱いてきたことはとても重要な事実です。
死者との関係をより良くするために、昔から行われてきたのが「遺品整理」です。「形見分け」もあります。いずれにしても、生前の持ち物、つまり遺品などを、いつまでも、たくさん持っていないことが大切なのです。
「モノ」は、やはり力があります。とくに遺品には、他の「モノ」にはない不思議な力があります。
それを考えられれば、死者と直につながっている遺骨の加工品などは、尋常ではない力を秘めている可能性があります。ですから、そういう「モノ」を身につけたり、身近に置いたりするのは、死者の呪縛から逃れられないという事態につながりかねません。やめておいた方が無難です。


チベットの「鳥葬」は単に燃やす木がないから


――また、最近は葬儀の内容についても、生前から準備して個性を出そうという傾向になっていますよね。
先生は未来のご自身の葬儀について、何かこんなふうにしたいという希望はあるのでしょうか? チベット仏教をご専門とされている先生が、個人的な部分ではどのようなお考えをお持ちなのか興味があります。

正木 自分のお葬式は、ごく普通でよいと考えています。あまり変わったことをする気はありません。
チベット仏教では、偉大な僧侶はミイラにして、仏塔に祀る伝統がありますが、あくまで特殊な事例です。一般の方は、「鳥葬」といって、鳥に食べさせて、それでお終いです。
よく誤解されていますが、「鳥葬」はチベット人にとって決して好ましいことではありません。火葬したくても、燃やす木がないので、「鳥葬」にしているというのが実態のようです。鳥に食べさせて、霊魂を天界へ運んでもらうと思っている人もあるようですが、誤解です。チベット人の大半は輪廻転生を信じているので、死後49日以内に他の生命体に生まれ変わるというのが常識です。霊魂を鳥に運んでもらうという発想はありません。


死にまつわる課題に、おしきせの正解はない


――今回は『しししのはなし』のアウトテイクともいうべき、密度の濃いトークをありがとうございました。最後に、これから本書を手にとる読者へのメッセージなどありましたらぜひ。

正木 本が完成したとき、これまでお世話になってきた先生方やお寺に贈呈しました。お礼の手紙やメールもいただいています。
日本仏教研究の第一人者である末木文美士先生(東京大学名誉教授)やインド・チベット宗教研究の世界的な権威である立川武蔵先生(国立民族学博物館名誉教授)からは、とても高い評価をいただきました。

とくに、末木先生からは「とても面白く読みました。今は、若い人にもっと死の教育が必要なのに、本当にそれが欠けています。本書は特定の立場を押しつけるのでなく、柔軟に読者に自分で考えさせるという方向がよいと思います」という言葉をいただいています。また、仏教界で布教の現場で頑張っているお坊さんたちにも、非常に好評でした。
末木先生の言葉にあるように、私がこの本で提供したのは、死にまつわる素材です。あとは、読んでくださった方々が、自分の頭で考え、心の中で反すうしていただきたいのです。死にまつわる課題に、おしきせの正解はありません。自分自身の課題と思って、解明に努力してください。


なお、本書ではクリハラタカシ氏によるキャラクター、「しししの死太郎」が、全編を可愛らしく彩る構成となっているのも見どころ。帯で死太郎が「死の菓子折り、どうぞ、めしあがれ」とのし紙付きの箱を差し出しているが、まさに「死」をあらゆる視点からアソートした不思議な1冊であった。
またタイトルの<44+1>にも実は意味があり、帯でその意味を解説している。そして、実はこの死太郎くんが最後に別の生き物に変身!そんな細かい仕掛けも含め、ぜひ楽しんでいただきたい。
(野崎 泉)

あわせて読みたい

コネタの記事をもっと見る

トピックス

今日の主要ニュース 国内の主要ニュース 海外の主要ニュース 芸能の主要ニュース スポーツの主要ニュース トレンドの主要ニュース おもしろの主要ニュース コラムの主要ニュース 特集・インタビューの主要ニュース
「「人生100年時代」に死とどう向き合うべきか 宗教学者に聞いてみた」の みんなの反応 36
  • 匿名さん 通報

    宗教のイメージが悪い?そりゃあ、○価学会のせいでしょ。

    19
  • 匿名さん 通報

    宗教のイメージが悪い?そりゃそうだろ しつこい勧誘、信者はただの集金マシーンか財布なんだから

    16
  • 匿名さん 通報

    宗教のイメージが悪い?そりゃそうだろ 毒ガスまいたり、知らないやつと強制的に結婚させられたりするんだから

    14
この記事にコメントする

もっと読む

おもしろニュース

おもしろランキングをもっと見る

コメントランキング

コメントランキングをもっと見る
2018年9月18日のコネタ記事

キーワード一覧

コネタとは?

B級グルメやネットで話題のネタを徹底リサーチ! 流行トレンドをおもしろい視点と大きな写真で毎日お届け。

その他のオリジナルニュース

通知(Web Push)について

Web Pushは、エキサイトニュースを開いていない状態でも、事件事故などの速報ニュースや読まれている芸能トピックなど、関心の高い話題をお届けする機能です。 登録方法や通知を解除する方法はこちら。