「ハロウィンの仮装でエアガン見せないで」玩具メーカーが注意喚起する切実な事情

エアソフトガンの製造・販売で知られる玩具メーカーの東京マルイが、ハロウィンの小道具としてエアソフトガンを使用する場合の「お願い」をTwitterに投稿した。「銃の形をしたエアガン(エアソフトガン)を『怖い』と思う人もいます」といった呼びかけに対して、大きな反響が寄せられている。

※BB弾を発射する銃の形をしたオモチャのことを一般的に“エアガン”と呼ぶが、正しい名称は“エアソフトガン”。

「公共の場ではエアソフトガンを見せないで」


凝った衣装に身を包んだ人を街中で見かける機会も増えてきた。SNS上では、「どんな仮装で街に繰り出そうか」と相談する人々も少なくない。ハロウィンが迫り、盛り上がりが高まる中、東京マルイは10月24日、「ハロウィンでのお願い」と題したツイートを投稿した。



ハロウィンの仮装でエアソフトガンを小道具として使用する人が増えてきたとして、同社は、「公道など、人や車が通る公共の場では『エアガン(エアソフトガン)』を見せないでください。※銃の形をしたエアガン(エアソフトガン)を『怖い』と思う人もいます」「ハロウィンイベントに参加する時には、必ずイベントのルールを確認してください。※エアガン(エアソフトガン)を持ち込めないイベントも多いのです」「なによりも、『エアガン(エアソフトガン)』を買ったらまず説明書をお読みください」と3つの「お願い」を呼びかけている。

販売元からの注意喚起は注目を集めて、10月25日現在、当該ツイートは1万8,000リツイート以上拡散されている。


東京マルイ担当者「ルールが存在しないからこそメーカーが線引きを」


とはいえ、東京マルイの「『エアガン(エアソフトガン)』は日本発祥の文化です。長年、たくさんのファンが大切にその文化を守って楽しんできました。しかし、1つの事故・事件がキッカケで規制されてしまう可能性があります」という切実なメッセージを読んでも、「気をつけないといけないのはわかるけれど、エアソフトガンはオモチャなんだから……」と正直ピンと来ない人もいることだろう。担当者の“デカ広報”に問い合わせて、詳しい話を聞かせてもらった。

「約10年前、法改正によってエアソフトガンにパワーの上限が設けられることになりました。というのも、高速道路で走行中の自動車を撃つなど、改造したエアソフトガンを使った悪質な事件がいくつも発生したからです。そういった時代を僕自身も経験しました。今はサバイバルゲームがブームになったことで、昔に比べてエアソフトガンが市民権を得られてはいます。それでも、いくらオモチャだとしても銃の形をしたものに恐ろしさを感じる人はいます。弾が発射されない状態にしていたとしても、往来でパッとエアソフトガンを取り出すとなると、誰かに怖い思いをさせてしまうかもしれません。不特定多数の場で“銃”を見せることが、エアソフトガンが規制されるきっかけになる可能性は充分にあります」

東京マルイでは、エアソフトガンの説明書にも「持ち運びのときはバッグに入れて」ということをずっと書き続けている。デカ広報は、「お祭りでコスプレをしたい気持ちはよくわかります」と仮装する側の心情にも理解を示した上で、「正直なところ、『仮装以外の人も通る場所で剥き身の鉄砲を持ち歩く』というのは、メーカー側の人間としては、あまり気持ちのいいものではないですね」と本音をもらした。

難しいのは、東京・渋谷を始めとした繁華街に仮装をした人が集まるのは、あくまで自然発生的な盛り上がりということだ。どこかが主催しているイベントであれば、はっきりとした規約が存在するだろう。とくに多くのコスプレイベントでは、衣装や小道具に関して細かいルールが設けられており、「銃を始めとした武器状の小道具の持ち込み禁止」と定めているところも少なくない。

「ハロウィンの街中でのコスプレは、はっきりとしたルールが存在しないからこそ、なおさらメーカーが線引きを設ける必要があるのかなと考えています。我々は鉄砲というものを一番よくわかっているメーカーとして、『ルールを守ればエアソフトガンは楽しいものですよ』と伝えていきたいです」

(原田イチボ@HEW)
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