イラスト／ゆいざえもん
田中圭が動物モノマネ『キワドい2人-K2-』4話
「ふぇふぇふぇふぇ」『キワドい2人-K2- 池袋署刑事課神崎・黒木』（TBS系 毎週金よる10時〜）は冒頭が面白い。第4話は、「ふぇふぇふぇふぇ」という黒木（田中圭）のミーアキャットのモノマネからはじまった。
【レビュー】山田涼介
どんな姿・場面であっても、その瞳の輝きにいつも惹きつけられる“最高のアイドル”
ミーアキャットに似ていると言われて、モノマネをしていたのだが、木村（江口のりこ）が「ミーアキャットは自分の子孫を残すためによその子供を殺すんだって」と物騒なことを言う。
それははからずも、異母兄弟である黒木と神崎（山田涼介）の関係の不安を表しているようにも聞こえた。
だが神崎はすかさず、ミーアキャットは「自分の子供じゃなくても子育てするそうですよ」とフォロー。神崎にも他意はなく、ミーアキャットの話でしかないのだろうけれど、母違いの2人の子供・黒木と神崎を持つ神崎賢造（椎名桔平）はミーアキャットみたいな人物なのだろうかとも思わせた。『キワドい2人』はすきあらば、黒木と神崎の異母兄弟関係を暗喩するようなエピソードやセリフを入れてくる。
「俺じゃねーだろミーアだろ」と繰り返しながら、ミーアふうな可愛げな口調で始末書を書く黒木。なかなかのお調子者である。
短いエピソードだが田中圭の芸達者ぷりが遺憾なく発揮されていた。
一方、神崎を演じる山田涼介。相変わらずカチッとした表情を崩さない。がその前にテレビ朝日で放送されていた『ミュージックステーション』でHeySayJUMPとして歌っているときの表情は顔の筋肉が柔らかくなっていて、これが山田涼介であり、神崎を演じるときは顔の筋肉に力を入れることで堅物な人物感を出しているのがよくわかる。眉間にしわがよらない程度に力入れることはなかなかのテクニックだと思う。
山田涼介がサービス、サービスゥ〜
第4話は、神崎と黒木のキャラクターのおもしろさがこれまで以上に発揮された。神崎は手際よくチャーハンを作ったかと思えば、黒木の「青春プレイバック・プロジェクト」作戦のために学生服を着る。サービス、サービスゥ〜。制服つながりで、警察官の制服を着る場面まで。制服の似合う清潔感あふれる男・山田涼介。とにかくまだ学生服を着て通用する山田のすごさ。
そして神崎に「自分は何にもしないくせに」と言われると、「俺は計画を立てる役だろ。『三國志』で言ったら、諸葛亮孔明だよ」などと言い出す黒木。
彩乃（関水渚）の制服姿は年相応にハマっている。キラキラでおもしろな女子高生に美味しいものを食べさせて捜査する作戦。十代の少年少女が事件を解決する青春ミステリーのような感じは、いまはなき日本テレビの土9のようであった。
神崎と黒木のボーリング場面まであって、見どころがいっぱい。って、そこはメインでは当然ない。肝心の事件は、女子高生・橘望美（蒔田彩珠）の失踪。
母親・美咲（奥貫薫）が車に乗せて山道に置き去りにしたらしい。美咲はエリート官僚ながらいわゆる毒親らしく……。望美はそのストレスをSNSの裏垢に書き込んでいた（その裏垢を見つけたのは彩乃）。もしかして、毒親が娘を山道の崖から突き落としたのか……？
神崎は望美の裏垢を読み込んでいくにつれ、美咲は毒親でなく、望美には母親に対する想いがあったことに気づいていく。「あなたたち親子に何があったのか教えてください」と神崎。
傍から見たら、単純に片付けてしまいそうな関係性でも、いろいろ複雑なものである。
クラスメイトを虐めていたと噂のある望美を、女手ひとつで育ててきた責任と自負をもって厳しく当たった美咲。望美の虐めの噂は偽りだった。信じてほしい娘、娘を正しい方向に導きたい母。
神崎に現れた変化
母娘関係の不幸なねじれを元に戻そうと神崎は、ルール違反とわかりながら、美咲を一時的に拘束することで、じつは生きて隠れているに違いない望美に刺激を与えようと考える。これまでルールを破ることなど考えられなかった神崎が黒木の影響を受けて変わって来ていた。作戦は決行され、望美は母を心配して電話をかけてくる。公衆電話の場所を探知し、現場に向かう神崎と黒木。
望美は、ネットで知り合った男・濱中に自殺の手助けをしてもらおうとしていた。濱中はいわゆる、自殺願望のある者をネットで募って誘拐し、死に誘うことを趣味にしている人物。望美も危うく彼の誘惑にのって命を落としそうになったが、ぎりぎり神崎と黒木が止めに入る。
親にはわかってほしいと甘える娘に、黒木は親の気持ちを代弁する。黒木は美咲を毒親と思っていたが、神崎の考えに触れ、美咲の本当の心を知ったのだ。
傍から見たら、毒親と娘、あるいは母に反抗する娘などと、単純に片付けてしまいそうな関係性でも、眼をこらして見れば、そんなに簡単ではない。おそらくそれは、神崎賢造と、神崎と黒木の2人の息子との関係にもあるだろう。どうやら父を憎んでいる神崎だが、父には彼の知らないなにか事情があるのではないか。
第5話は10月9日放送。画像は番組サイトより
『キワドい2人』は毎回、親子の事件を描き、それが間接的に異母兄弟の神崎と黒木の謎の親子関係の真相に近づいていくようになっている。こっそり過去の事件を調べている末長（八嶋智人）が、詳細を知っているらしき警察学校の教官・植田（中村育二）に真相を聞こうと待ち合わせしていたところ……。神崎家の問題がキワドくなってきた。
（木俣冬）
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※次回5話のレビューを更新しましたら、以下のツイッターにてお知らせします。
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番組情報
TBS 金曜ドラマ『キワドい2人-K2-』毎週金曜よる10:00〜10:54
番組サイト：
https://www.tbs.co.jp/kiwadoifutari_TBS/
