review

朝ドラ『おちょやん』団結せねばならぬ局面にギスギスし始める家庭劇

『おちょやん』第14週「兄弟喧嘩」

第67回〈3月9日(火)放送 作:八津弘幸、演出:小谷高義〉

朝ドラ『おちょやん』団結せねばならぬ局面にギスギスし始める家庭劇
イラスト/おうか
※本文にネタバレを含みます

本物の芝居ってなんだ?

世界の喜劇王チャップリン来日に端を発し、鶴亀家庭劇に軋みが生じてくる。

【前話レビュー】『おちょやん』ハナが亡くなりチャップリン来日 そしてみつえには長男・一福

鶴亀株式会社のなかでいちばんおもしろい劇団をチャップリンに会わせる。大山社長(中村雁治郎)の考えで、有力候補の万太郎一座と家庭劇が争うことになった。

20年来の万太郎(板尾創路)千之助(星田英利)の確執が再燃。そのうえ、家庭劇の千之助と女優陣が対立しはじめる。家庭劇は結成時、寄せ集め集団だったためギスギスしていた(第9週)。それが結成3年にしてまたギスギスしてきた。いや、『おちょやん』はもはやギスギスが基本という印象だ。ギスギスした世の中でいかに生き抜いていくか、それが『おちょやん』。

万太郎一座に対抗心を燃やす千之助は、家庭劇は本物の芝居にほど遠いと批判。それを女優たちのせいにする。女優が見世物として家庭劇の人気の一端を担ってきたとはいえ、万太郎一座には女優がいないにもかかわらず不動の人気。家庭劇の女優は実力不足だと断じられて、ルリ子(明日海りお)香里(松本妃代)はやる気をなくす。

女優起用は、これまで男性のみで芝居をしてきた演劇界への一平(成田凌)のアンチテーゼ。女性の心情は女性が演じることで本物に近づくという考えだ。とはいえ、女性が女性のままいればいいものではない。演技力が大事と千之助は言う。とりわけ、香里は若さとかわいさだけを売りにしていて、千之助には見ていられないものだった。

ルリ子と香里を引き留めようとする千代(杉咲花)。だが香里は千代に、座長の奥さんだから安泰だと嫌味を言い、ルリ子は、女優としての誇りがあるなら劇団員に媚を売るのはやめたほうがいいと釘を刺す。「あんた、ほんまに座長のこと好きなんか。そないなふうには見えへんけど」と言う香里。家庭劇3年めの危機には、千代が座長・一平の妻であることが影響していることをうっすら潜ませる。

稽古場の外で3人が語る場面。ちらほらと舞う花びらは、女の若さと美の儚さのようで、林芙美子の詩の一遍「花の命は短くて 苦しきことのみ多かりき」を思わせた。

花びらは、千代の家の前でも舞っている。家の中で、一平が今日も劇団員たちと飲んでいる。千代は、外に出て七輪で何かを焼いている。媚を売っている自覚のなかった千代。一平や劇団員たちの食事や飲みの世話をして、気楽にお酌なんかをしていることが媚と思われることに気づく。

「これか…」
長年お茶子をやって来たから、世話することが苦でないのだろうけれど……。

「損な性格やな、千代ちゃん」と黒衣(桂吉弥)がやさしくフォローするが、千代のようにかいがいしく男たちの世話をする(御酌したり)のは、現代ではジェンダー問題の俎上に上げられるだろう。回を追うごとに、千代が『半沢直樹』の上戸彩と似てきている。

朝ドラ『おちょやん』団結せねばならぬ局面にギスギスし始める家庭劇
写真提供/NHK

あわせて読みたい

レビューの記事をもっと見る

トピックス

今日の主要ニュース 国内の主要ニュース 海外の主要ニュース 芸能の主要ニュース スポーツの主要ニュース トレンドの主要ニュース おもしろの主要ニュース コラムの主要ニュース 特集・インタビューの主要ニュース

もっと読む

トレンドニュースランキング

トレンドランキングをもっと見る

コメントランキング

コメントランキングをもっと見る

おちょやん

おちょやん

NHK「連続テレビ小説」第103作目の作品。女優の道にすべてを懸ける杉咲花演じるヒロインが、喜劇界のプリンスと結婚。昭和の激動の時代に、大家族のような劇団生活を経て、自分らしい生き方と居場所を見つけていく。2020年11月30日~放送中。

2021年3月9日のレビュー記事

キーワード一覧

エキサイトレビューとは?

エキレビ!では人気のドラマやテレビアニメ、話題の書籍を人気ライターがレビュー、解説! 人気ドラマのあらすじや、話題の書籍が支持される理由の考察、国民的アニメに隠された謎の解明など話題の作品の裏話を紹介。エキサイトニュースは、最新ニュースをすばやくお届け。

その他のオリジナルニュース

通知(Web Push)について

Web Pushは、エキサイトニュースを開いていない状態でも、事件事故などの速報ニュースや読まれている芸能トピックなど、関心の高い話題をお届けする機能です。 登録方法や通知を解除する方法はこちら。