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杏といえば、174センチの高身長とモデル出身ならではのクールさ、女優としての評価の高さもあって、どこか「完璧な女性」という印象が先行しやすい存在だった。だが最近は、そうした完璧さだけでは語れない存在になっている。
その変化を象徴したのが、4月12日に東京都内で行われた著書の刊行記念イベントだった。杏は青の襟付きシャツにジーンズ、動きやすそうな白のスニーカー、髪を後ろでまとめた活動的なママスタイルで登場。もともとの華やかさはそのままに、気負いのないファッションが印象的だった。トップモデルのような非日常感よりも、母親としての自然な雰囲気が伝わったことで、以前よりも身近な印象を与えた。
バラエティで見せた素顔も大きい。『Golden SixTONES』では、仲のいいハリセンボン・近藤春菜とともにゲスト出演し、クイズ企画でマラカスを両手に「ウ~!マンボ!」と踊って大騒ぎ。膝スライディングまで飛び出すなど、クールな美女という従来のイメージからは想像できないような、全力ではしゃぐ姿を見せた。こうした気取らなさは、従来の完璧な女性という印象に、いい意味で人間味を加えている。
杏の背景を考えれば、本来はもっと近寄りがたい存在になっていても不思議ではない。
それでも杏が「強い女性」「理想のママ」だけで終わらないのは、本人が弱さや限界を隠さないからだろう。2025年のインタビューでは「頼れる存在でありつつ、失敗や苦手もある等身大の母でいたい」と語り、子どもに片付けを頼むこともあるなど、一人で抱え込まず、子どもたちにもできることはお願いしていると明かした。さらに別のインタビューでは、「私の子育ては徹頭徹尾、人に頼っている」「超人のような印象を受けるかもしれませんが、実際はシッターさんに頼ったり、犬も子育てに参加したり。周囲を巻き込んでの子育てなんです」と話している。無理を重ねず、周囲の力を借りながら子育てに向き合う姿勢が、かえって杏の等身大の魅力につながっている。
その生活スタイルは、2023年放送のバラエティ番組『マツコ会議』(日本テレビ系)でもうかがえた。杏は「私も、私自身の力でなんとかしてるのではなくて、めちゃくちゃいろんな人に頼りに頼って、のたうち回っていろんな人にすがって生きている」と本音を吐露し、テレビの前のママたちに向けて「お母さん、人の手を頼りましょう。私は一人では子育てしてません。
だからこそ今の杏への支持は、単なる"ママタレ人気"では片付けにくい。美しくて、仕事もできて、日本と海外を行き来しながら3人の子どもを育てる。それだけ見れば完璧に見えるのに、本人はその完璧さをことさら強調しない。むしろ「実際はみんなと変わらない普通の人間であり、普通のママでもある」と赤裸々に見せていくことで、視聴者に親しみやすさを抱かせる。
今の時代、支持されるのは無敵の母親ではなく、周囲に頼りながら、失敗しながら、それでも前向きに子どもたちと歩んでいける母親なのかもしれない。完璧な母親を演じて消耗しなくていい──そう思わせるところに、今の杏の強さがあるのではないだろうか。
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