アオリイカファンなら周知のとおり、4月後半~6月は2kgオーバーのビッグサイズが飛び出す好シーズン。
マニアならば知る人ぞ知る相模湾腰越港の蒼信丸は、そんな憧れの1杯を毎年狙って実績を上げている船宿だ。
釣り方は中オモリを介した餌木シャクリ。
中オモリを利用して指示ダナまで餌木を沈め、一定の間隔でシャクり続ける。
狭いポイントに寄る乗っ込みアオリの直上に船を付け、じっくり攻めていけるのが利点といえよう。
今回はウネリの影響でちょっと乗り渋った相模湾で、ライターの丸岡が人生初の餌木シャクリに挑んだレポートをお届け。
興味はあるけどティップランしか経験がない……と二の足を踏む釣り人の一助となれば幸いだ。
▲釣り場は江ノ島~葉山沖。タナは上から20m前後
乗っ込みアオリに備えて餌木シャクリに初挑戦!
20度を超える日も増え、すっかり春らんまん。
別れと出会いの季節でもあるが、私の新たな出会いとなったのは餌木シャクリのアオリイカだ。
エギング系はやったことがあるものの、釣法が変われば同じターゲットでも全く違った景色が見えてくるもの。
今回は縁あって、餌木シャクリに造詣の深い腰越港の蒼信丸にお世話になった。
3つの基本を厳守せよ
近年流行のティップランエギングは、風に任せたドテラ流しで横方向に餌木を引っ張りながらイカを狙う。
対して餌木シャクリは中オモリの先4mほどに餌木をセットし、バーチカル(垂直)に沈めて釣る。
アオリイカの寿命は基本1年で、4月後半~7月あたりが産卵期。
最大クラスが出現する特別な時期でもある。
この乗っ込みのアオリイカは警戒心が強く、産卵場に適した一定の場所に陣取り、近づいてきたエサを捕食する傾向が強いようだ。
広域を遊泳してエサを追う秋のパターンとは大きく異なる。
アオリが集まるピンポイントに船を着け、その目前でバーチカルな誘いが行える餌木シャクリは乗っ込みシーズンにうってつけなのだ。
関塚一浩船長によれば、「ひと昔前は深場で越冬したアオリイカが水温上昇に合わせて一気に乗っ込み突入という感じ。でも近年は冬でもさほど水温が下がらないので乗っ込みにメリハリがなく、春から夏までダラダラとロングランで続きます」
長期にわたる乗っ込みシーズンの前半と後半で生まれたイカは、サイズにも大きく差があるそうだ。
また、取材した3月23日は乗っ込み前のプレ釣行ではあったが、「バラバラのサイズが交じって数もわりと出てますよ」とのこと。
初めての餌木シャクリでもイケるかも!?
タックルについてホームページで事前確認するとライトゲーム系のロッドも可とあったので、タイラバタックルを持参して挑んでみた。
船長に「初めてです」と伝えると非常に細かく教えてくれた。
重要な点は3点だ。
1・餌木を自然に泳がせることが肝。
餌木につなぐスナップが重いと姿勢が変わるので、軽いスナップサルカンもしくはハリス直結がよい。
2・タナキープは絶対条件。
中オモリの位置でタナを海面から指示するので、道糸の色できちんと合わせる。
3・飽きずにシャクリ続ける。
タナ取り直後は餌木が潮になじむまで15秒ほど待つ。
その後は7~8秒に1回のペースでシャクリを入れる。
船長の格言を頭にたたき込み午前6時にいざ出船、最初のポイントは港から10分の江ノ島沖。
春特有の濁り潮、しかも薄暗い朝マヅメはチャンスタイムだ。
7名の餌木シャクリフリークが一斉に餌木を投入。
アナウンスされる指示ダナは20m前後だが、海底の起伏に沿って1~2m刻みでと刻々と変わっていく。
私はしばしカメラマンに徹し、皆さんのシャクリを船首から目で勉強。
しかし……期待とは裏腹に盛り上がりなく時間だけが過ぎていく。
船長から教わった格言3の「飽きずに」を皆さん守ってシャクリ続けるも1時間たってもアタリなく、船長は葉山沖への移動を告げた。
ところがここも同様に厳しい。
海は前日吹いた風の影響でウネリが残っている。
この状況では海中で餌木の姿勢が安定しない。
知っ得!シャクリ方のコツ考察
シャクリ方は「ピシッとシャープに餌木を跳ね上げたほうがアタリも多く、数も出る」とか。
ベテランさんたちもメリハリの利いたきれいなシャクリだった。
ところが案外、乗っ込みの大型を掛けるのはビギナーが多いそう。
慣れていないのでゆっくり大きなシャクリになりがちだが、警戒心の強い大型はこの「ゆっくり動く餌木」に反応することもあるらしい。
Tackle Guide
使える竿は1.8~3m前後と幅広く、当日は1.2mの短竿の方もいた。
船長いわく「シャクリやすいのは長い竿。ちょっと動かしただけでしっかり誘い幅が出ます。短竿は上下に大きくシャクる必要がありますよ」。
長い竿はイカの引きをいなし、バレにくい利点もあるとか。
とはいえタイラバタックルでも楽しめます。
メモリアルな出会い!
このままでは新たな出会いも不完全燃焼で終わるのではないか……そんな不安が頭をよぎりだした9時30分。
徐々にウネリが収まり、ひときわ短い竿でシャクり続けていた磯崎さんの短竿がドンと大きくしなる。
かなりの重量感だ。
この釣りに行くにあたって「竿のしなりが特徴的だから楽しみに」と言われたが、正にそれ。
取り込まれたのは本命ではないものの、巨大なモンゴウ(カミナリイカ)だった。
15分後、右舷ミヨシの鈴木さんのライトゲームロッドも弧を描く。
サイズこそ小ぶりながらも、正真正銘、本日初のアオリイカだ。
時合が訪れたとばかりに私も実釣開始。
船長の格言2の指示ダナをしっかりと糸の色で確認。
中オモリを19mちょうどの位置で止めて15秒待機。
そして下から上に大きくシャクる。
あとは同じ位置で7~8秒間隔のシャクリを無心に続けていく……と、なにげなくシャクリ上げた竿がドシッと何かに引っ掛かったように止められた。
すかさず糸を巻くと下に引き込むイカの引き!
イカが水を吐いたときは竿でタメながら巻き上げてくると、格言を忠実に守ったビギナーにラッキーパンチの1杯が船長のタモに収まった。
感覚としてはジグで誘ってズドンのあの感じ、なるほどハマる人がいるはずだ。
10分後、右舷で2杯が連発。
明らかに時合だ。
欲を言えば乗っ込みを感じさせるサイズが乗ってくれないものか……。
そんな私の期待に応えてくれたのが右舷トモの江上さん。
すでに小型を釣っていたが、明らかに異なる強い引きだ。
指示ダナ10mと浅いこともあって、海面に大きな直径のスミを吐きながらあっという間に現れたシルエットはかなりの良型。
トリを飾るにふさわしい1.3kgのアオリイカであった。
この1杯を最後に終了時刻を迎え、船中5杯で幕切れ。
かなり厳しい一日となってしまったが、ウネリの悪条件下で善戦したのでは?
悔しいことに翌日は1~3杯の船中11杯、しかも半数が1kgオーバーだったらしい。
本誌発売の4月中旬以降はいよいよ乗っ込みシーズン、良型サイズを中心に沸いていることだろう。
新たな出会いで貴重な1杯を手にした私も2度目はいつにしよう、願わくば1~2kg級をとワクワクしているところだ。
▲ウネリで乗り渋る中、うれしい1杯
船宿INFORMATION
相模湾腰越港
蒼信丸
0467・91・0323
▼備考=予約乗合、6時出船
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隔週刊つり情報(2025年5月1号)※無断複製・転載禁止



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