レビュー

分断。これは現代社会の深刻な病理になっている。

SNSの普及は、それまで知り合うはずのなかった人たちを引き合わせた。その結果、新たな知見や知識が拡散するという正の作用と、社会の分断という負の作用をもたらした。異なる立場が鋭く対立し、怒りの感情は増幅され、同じ意見を持つ者だけが集まって他の声には耳を貸さなくなる。今や異なる社会層の分断は、インテリジェンスの世界でも主要な攻撃目標になっている。
しかし、ここで根本的な疑問が生じる。そもそも、私たちはSNSが出現する前から対立の解決法を知っていたのだろうか。気に入らない管理職。生意気な部下。嫌いな先生。いけ好かないクラスの異性。誰にでも対立の経験はあるはずだ。そこで生じたフラストレーションは、だいたいの場合に陰口や露骨な態度の表明などに変換され、対立はそのまま捨て置かれるか、さらに深まってしまう。

本書はそのタイトルの通り、「『わかりあえない』を越える」方法が書かれており、NVC(非暴力コミュニケーション)を題材としている。著者のマーシャル・B・ローゼンバーグは世界中でNVCを広める活動を続けてきた。しかもその活動の場は企業や地域コミュニティだけにとどまらず、紛争地域や部族対立のような、死者が発生するほどの過酷な現場も含まれている。
それゆえに、解決不能に思える対立を解きほぐすための説得力あるヒントで満ちている。その意味で本書は、“「わかりあえない」を越えていく”のである。

本書の要点

・NVC(非暴力コミュニケーション)で重要なのは自分の内面を言語化することだ。そして相手のことを伝える時は評価を交えないことが大事である。
・NVCでは感情を見つけなくてはならない。意外と自分の感情を言語化するのは難しい。そして、自分自身のニーズを見つけることが大切だ。
・ビジネスでも対立は悩みの種だ。互いの感情とニーズに深く目を向け、敵のイメージを乗り越えられれば、互いのニーズを満たす方法を考えるという次のステップに進みやすい。



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