レビュー

ベンチャーキャピタルと聞いて何を思い浮かべるだろうか。将来性が見込めるスタートアップ企業に投資している会社、と辞書的に説明してみたところで、「よくわからない」と感じるのが本音ではなかろうか。

むしろ、利鞘を稼ごうとしている「ハゲタカ」、「経営の主導権を奪いに来る」存在などとネガティブに捉えている人もいるかもしれない。
本書は、現役のベンチャーキャピタリストであり、みずからそのための会社も立ち上げた著者によって明かされる、ベンチャーキャピタル運営のリアルが集められている。著者がこの仕事をやめられないと感じるのは、「新しい産業の幕開けに立ち会える喜び」「投資先の成長を間近でみられる喜び」があるからだという。そこには、「日本経済の発展を後押しする役割を担っている」という矜持がある。ベンチャーキャピタリストたちがときに厳しく起業家を叱咤するのは、伴走者として本気でそのサービス・プロダクトの実現にコミットしようとしているからだ。あくまで起業家を主人公としながらも、企業やプロダクト、ひいては産業が長く輝きつづけるために、ともに汗を流しているわけである。
そう考えると、思いのほか人間的な業態だと感じないだろうか。ベンチャーキャピタリストはインベスター(投資する人)と違って、「新しい産業をつくるための資本を司る専門家」だという。そのマインドをもった人たちが育つほど、世界の経済は明るくなるかもしれない。そう思わせてくれる一冊である。

本書の要点

・ベンチャーキャピタル(VC)とは、「まだ株式市場に上場していないスタートアップに資金を提供する投資会社」を指す。
・VCは投資先のスタートアップがIPOの先まで成長できるよう支援する。


・緊張感をもった入念な投資検討において、特に重要なのがデューデリジェンス(DD)だ。これには、「市場の証明」「プロダクトの証明」「実行の証明」という3つの観点がある。



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