【テレビ局に代わり勝手に「情報開示」】


 はい、間違いなく関わります。世界的な潮流を見ても、例えばネット社会化が日本よりも先行していると言われる韓国でも、数々のタレントが過去のイジメ遍歴などを暴かれて炎上したり、キャスティングされなくなったりというケースが多発した時期が以前にありましたよね。

そういうことから考えると、これからどんどん「イジメ告発」や「問題のある過去の暴露」のようなことは増加していく傾向になるはずです。


 こう言っては何ですが、変な話芸能界もテレビ業界も「イジメ体質」です。ひとつには「徒弟制度的な先輩後輩関係」が非常に色濃く残っている業界ですので、先輩が後輩をイジメたりするのは、「愛の鞭だ」くらいの話で許容され、当たり前のように存在している業界です。少なくとも数年~十年くらい前までは、「番組はひとりイジメられ役がいると、スタッフ間の結束が強くなる」くらいのことがよく言われていましたし、ADはイジメられてナンボ、みたいな感じで、怒鳴り声がスタッフルームでもよく聞かれました。もっと以前、僕がこの業界に入ったころは、文字通り「殴る蹴る」をよく目にしました。だから「告発すべき話」は山のようにあるのです。


 そしてもうひとつ大きな問題があります。ネット上でそうしたことを告発したり、あるいは過去の行状を調査したりする人が増加すると思われる状況下で、いったんそうした告発がなされてしまえば、残念ながらその真偽を調査する能力はテレビ局にはほとんどありません。そして当然、芸能事務所やスポンサー企業にもそういう能力はないと思われますから、「本当かどうかわからない告発」であったとしても、「もし本当だとしたら問題があるから念のため」ということでテレビに出られなくなる可能性が非常に高くなります。


 極端な話でいうと、あるタレントについて「過去を大袈裟に証言する、ないしは虚偽の証言をする」悪意ある証言をすれば、タレント生命に深刻な打撃を与えられる状況にあるということですから、告発を悪用する人が出てくる可能性は否定できません。これはかなりの恐怖社会であると言えるかもしれません。こういう問題にどう対応すべきなのか、という答えは残念ながらまだあまり無いと思われます。


「匿名の証言であることが、騒動を大きくし、かついろんな無関係の人を巻き込んだ」ことも今回恐ろしかったですよね。SNS社会化の負の側面が、いろいろな恐ろしい状況を作り出しているのは間違いないでしょう。


(鎮目博道/テレビプロデューサー、コラムニスト、顔ハメ旅人)


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