先の衆院選の期間中、自民党の複数候補が違法の疑いのある「有料広告動画」に出演していた──。公職選挙法では、選挙期間中に候補者本人による有料広告のネット配信を禁じているが、日刊ゲンダイの調べで、これまで自民の8候補が有料広告動画に出ていたことが分かっている。
日刊ゲンダイはこれまで、鷲尾英一郎(新潟4区)、宮崎政久(沖縄2区)両衆院議員に加え、宮城県内の全5選挙区から出馬した5人と丸川珠代(東京7区)の8氏が違法な広告動画に出演していた疑惑を報じた。
宮城県の5人については、全員が動画冒頭で顔と名前出しで挨拶。その後、高市首相が「日本列島を、強く豊かに」などと語る政党動画に切り替わる内容だった。全員の動画の構成がピタリと一致。県連が主導していたことが分かり、組織的関与がアリアリだった。
今回、明らかになった北海道の12人もやはり、動画の構成は全員同じ。例えば、7区の鈴木貴子・党広報本部長が出演する動画は、冒頭で高市首相が「自民党総裁の高市早苗です」と挨拶。その後、10秒ほどで鈴木氏の動画にスイッチ。「7区の鈴木貴子です」との本人のナレーションと共に、地元で活動したり、会見に応じたりする様子が映し出される。
■投開票当日も「放映」していた
続いて、鈴木氏本人がカメラ目線で「これからも皆さんと共に、地域の未来を切り開いてまいります」と語る場面に切り替わり、最後は高市首相の政党動画で締めている。画面上下には、赤地の白抜きで「自由民主党 北海道第七選挙区支部長 鈴木たかこ」との文字がクッキリ。
広告の出稿者は「自由民主党」で、スポンサーとして費用を拠出したのは「自由民主党北海道支部連合会」。12人の広告動画は、示し合わせたかのように全て投開票日の2月8日にストップされており、やはり組織的な関与が疑われる。
公選法は選挙期間中の候補者本人による有料ネット広告を禁じているが、例外として、政党の政治活動の一環と位置づけられる有料広告の配信は許可。しかし、今回の動画は選挙中に本人が出ているのだから「選挙運動」としか思えない。
公選法を所管する総務省のガイドラインによると、選挙期間中に許容されるネット広告は、有権者が自らクリックして初めて政党のHPにたどり着く小さなバナー形式。候補者の顔と名前が大写しされた動画を一方的に流す広告は、ガイドラインから逸脱しているのは明らかだ。
日刊ゲンダイは、道連と12議員の事務所に質問状を送付。動画の作成者や目的、金額、違法性の認識などを聞くと、12議員の事務所の見解をまとめた道連が、「選挙期間中は政党等のサイトにリンクを張った政治活動用有料ネット広告が認められている。(今回の動画も)公選法に従った適正なもの」と答えた。総務省ガイドラインについては「ガイドラインの解説は、バナー広告以外は許容しないとする解釈ではない。(日刊ゲンダイ指摘の)バナー広告以外は許されないという理解は違います」と違法性を否定した。
しかし、これがOKなら、候補者本人の動画を配信しようが、写真を流そうが何でも許されてしまう。結果的に資金力のある陣営ばかりが有利になり、選挙の公平性を歪めかねない。いずれにせよ、今回で違法疑惑議員は計20人。まだまだ拡大する可能性がある。
(取材協力=桜井杏里/ジャーナリスト)
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衆院選での違法な「広告動画」疑惑について日刊ゲンダイはスクープを連発。関連記事【もっと読む】【さらに読む】などで詳しく報じている。





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