これまで「オブザーバー」に留まっていた自衛隊は、2025年に発効した日比円滑化協定(RAA)を背景に、実戦的な共同訓練の枠組みに完全に組み込まれた。マニラ湾に入港した護衛艦を歓迎する市民やメディアの熱気は、中国の南シナ海での圧力を念頭に、日米比3カ国の結束が新たな段階に入ったことを鮮明に示している。


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 2026年4月、マニラ南港に入港した護衛艦を迎えたのは、フィリピン軍楽隊の演奏と両国の旗を振る市民の歓声だった。フィリピン主要紙「フィリピン・スター」は一面で「信頼できるパートナーの帰還」と報じ、自衛隊が単なる支援者ではなく地域の平和を共に守る「同志」として受け入れられたと強調した。開会式でフィリピン軍のロメオ・ブラウナー参謀総長は「自衛隊の専門知識と規律は我々の防衛能力を飛躍的に高める。自由で開かれたインド太平洋を守る鍵だ」と述べ、最大限の敬意を示した。

 今回の演習には日本から約1400名の隊員が派遣され、最新鋭護衛艦も投入された。ルソン島沖やパラワン島周辺では米比海軍と連携した対潜戦や海上領域把握(MDA)の訓練が行われ、日本が供与した沿岸レーダーシステムの情報を日米比で共有し、不審船舶を封じ込めるシミュレーションも実施された。これは中国による一方的な現状変更への強力な抑止力として機能している。

 「マニラ・ブレティン」紙は、日本との防衛協力が支持される背景に南シナ海の緊張を挙げる。中国船による妨害行為が常態化する中、同紙の世論調査では国民の8割以上が日本との協力強化を「非常に好ましい」と回答。ある市民は「護衛艦が近くにいるだけで心強い」と語り、自衛隊の存在が安心感をもたらしていることを示した。

 自衛隊は戦闘訓練の合間に学校建設や医療支援にも従事し、その姿はSNSで広く拡散された。「守る力」と「助ける心」を兼ね備えた組織として若い世代からも支持を集め、国民レベルで信頼が浸透している。


 米軍高官は「自衛隊の参加で即応体制は完璧になった」と評価。日本政府もRAAを活用し、派遣の定例化を目指す方針だ。今後は多国間パトロールや電子戦を含む演習への参加も計画されている。マニラ市内には日米比の国旗が掲げられ、街全体が祝祭の雰囲気に包まれている。

 フィリピン政府閣僚は「日本との絆は戦略を超え、家族のようなものだ」と語った。夕日に照らされる護衛艦のシルエットは、この地域の新しい夜明けを象徴している。
【編集:af】
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