2026年7月17日、タイ政府は昨年実施された地方公務員採用試験において、合格者の3分の1以上にあたる5800人超が不正に関与していたと発表した。得点の水増しや順位操作が確認され、社会に大きな衝撃を与えている。
アヌティン首相兼内務相の指示の下、政府は過去10年間の試験結果を全面的に再調査する方針を示し、関係者の大量解雇と刑事訴追に踏み切る構えだ。

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 バンコク・ポストなど現地報道によれば、地方行政局と汚職対策委員会が素点と公式発表を照合した結果、合格者約15520人のうち5814人に不自然な加点が判明。3600人以上は本来不合格水準であったにもかかわらず大幅な得点操作で合格枠に入り、さらに職種や赴任地を確保する目的で順位を上げたケースも1000件以上確認された。受験者は仲介者や自治体職員に最大80万バーツ(約386万円)の賄賂を支払っていたとされる。

 政府が自ら不祥事を公表した背景には、「汚職撲滅」を国内外に示す狙いがある。内部告発やデータ不整合により隠蔽は困難と判断し、透明性を確保することで政権の統治能力を強調する戦略に出た。電子化された採点システムを対象に過去10年分を再調査することで、既に公務員として勤務している者からも新たな不正合格者が多数発覚する見通しだ。

 処遇は厳格である。不正合格者は即時解雇のうえ、贈賄や公文書偽造で逮捕・起訴される。安定した職を得るために支払った多額の賄賂は、結果として刑務所行きにつながる。さらに不正に協力した職員は懲戒免職と収賄・職権乱用での刑事訴追が待ち受け、主犯格には重刑が科される見通しだ。

 タイ社会には古くから「パトロン・クライエント関係」や「セン」と呼ばれる縁故ネットワークが存在し、採用試験でも現金の直接授受や答案すり替えといった手法が横行してきた。
近年の行政デジタル化は皮肉にも不正のシステム化を招き、権限者がデータを一括改ざんする環境を生み出した。

 こうした構造はタイに限らず、カンボジア、インドネシア、フィリピンなど東南アジア諸国にも共通する。公務員制度が血縁・地縁・金銭に左右される現状は地域全体に根深く残る課題である。今回のタイ政府による遡及調査と徹底処分は、東南アジアに蔓延する縁故採用文化を断ち切る試金石となる可能性が高い。
【編集:af】
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