うれしいニュース。絶滅危惧種のオオカワウソに赤ちゃんが3匹誕生(英動物園)
絶滅危惧種のオオカワウソ Image by Istock <a href="https://www.istockphoto.com/jp/portfolio/OSTILL?mediatype=photography" target="_blank">OSTILL</a>

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 2026年2月9日、イギリスのリバプール郊外にあるチェスター動物園[https://www.chesterzoo.org/]で、オオカワウソの赤ちゃんが3匹誕生した。

 現在このオオカワウソは絶滅の危機に瀕しており、今回の三つ子の誕生は、各国の動物園が取り組んで来た、繁殖プログラムの成果でもある。

 三つ子たちは両親に見守られてすくすくと成長しており、今は元気に泳ぎの練習をしているそうだ。

7年ぶりに誕生したオオカワウソの赤ちゃんたち

 チェスター動物園の肉食動物担当アシスタントチームマネージャー、レイチェル・ボートライトさんは、今回のおめでたについて、次のように語っている。

この3匹のオオカワウソの赤ちゃんが誕生したことは、非常に特別な出来事であり、この種がここで生まれたのは7年ぶりのことです

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 この三つ子の赤ちゃんたちは、母親のボニータと父親のマヌの間に生まれた。体重はわずか200gほど。

 飼育員のフレイザー・ウォルシュさんは、「そこそこの大きさのチョコレートバーとほぼ同じ重さ」だと説明する。

 この出産に先立ち、スタッフはオオカワウソのエリアを立ち入り禁止にし、カメラを使って生まれてくる家族の様子を見守っていた。

 実際にカメラを通して赤ちゃんが生まれたことを知ることになったのだが、職員たちは赤ちゃんが生まれてからも、家族のプライバシーを尊重し続けたという。

私たちはできる限り自然な状態を保つように心がけています。親たちが出産前後に自然な行動を続けられるようにし、飼育員は巣穴には入りません。

オオカワウソの親が子供と、そして親同士で絆を深めることはとても大切なのです。特に彼らは初めての子育てなので、様子を見守る必要がありました

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繁殖プログラムで出会った両親のもとに生まれた三つ子

 子供たちの両親のボニータとマヌは、それぞれ別のヨーロッパの動物園から連れてこられ、絶滅危惧種の繁殖プログラムを通じてペアになった。

 このプログラムではオオカワウソの個体数を維持するために、遺伝子などの情報に基づいて、ペアの組み合わせが選ばれるという。

 スタッフの心配は、父親のマヌにあった。オオカワウソの父親は、巣穴で子育てをしている母親に、餌を運んで食べさせる役割を担う。

 研究チームは当初、マヌが夫としての務めを忘れ、ボニータの分の魚を自分が食べてしまうのではないかと心配していたんだそうだ。

 だが幸いなことに、彼は素晴らしい夫ぶりを発揮したため、スタッフの心配は杞憂に終わったとのことだ。

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健康診断の結果、三つ子たちは元気いっぱい

 子供たちは両親に見守られてすくすくと大きくなり、健康診断の結果も極めて順調だったようだ。レイチェルさんは三つ子の様子についてこう報告している。

子供たちは先日、生後8週目で初めての健康診断を受けました。動物園の獣医が体重測定、心臓、歯、そして全体的な健康状態を検査しました。

3匹とも健康で元気に育っていることをご報告できて大変嬉しく思います。オス2匹とメス1匹です。

生後8週間になると、子供たちは両親のボニータとマヌと一緒に外に出始め、水に慣れさせたり、成長に必要なあらゆるスキルを教え始めます

 フレイザーさんも、カワウソたちの育児についてこう付け加える。

数週間以内に、親は子供たちを水に慣れさせ始めます。少し荒っぽく見えるかもしれませんが、親は子供を口でくわえてプールに飛び込むんです。

重要なのは、子供たちが泳ぎに慣れることです。そこからの子供たちは、どんどん大きくなっていきますよ

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アマゾン川流域から姿を消しつつあるオオカワウソ

 オオカワウソ(Pteronura brasiliensis)は、南米のアマゾン川流域に生息するイタチ科の肉食動物で、「世界で最も絶滅の危機に瀕している種」の一つである。

 世界最大のカワウソとして知られているが、森林破壊や水質汚染、密猟などにより、個体数が減少し続けているのだ。

 ウルグアイでは既に絶滅したとみなされており、他の生息地である5カ国でも、個体数の推定値すら存在しないのだそうだ。

 水質汚染や狩猟の影響で、野生のオオカワウソは、現在では5,000~6,000頭程度しか残っていないと推測されている。

 だがこの情報は生息域全体ではなく、個体群の変動を観察する研究に基づいているため、オオカワウソに関する正確なデータはよくわかっていないのが現状だ。

 IUCNのレッドリストでは絶滅危惧種に指定されていて、これは緊急の保護対策が講じられなかった場合、絶滅の危機に瀕していることを意味している。

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種の保全を図るための繁殖プログラム

 そこでヨーロッパの動物園では、オオカワウソの遺伝的多様性を維持するため、繁殖個体の組み合わせを管理する国際的な繁殖プログラムを行っている。

 それぞれの個体の血統や年齢、相性などを考慮しながら、動物園間での個体の移動や、ペアの組み替えも適宜行われてるそうだ。

 マヌももともとは、「ティビリ」という別のメスの相手として、この動物園にやって来たのだそうだ。

 だがティビリはその後、サウザンプトンにある別の動物園にいるオスのもとへ移り、ボニータが新たにマヌの相手に選ばれた。

 フレイザーさんは、このオオカワウソ繁殖プログラムの目的について、以下のように説明している。

チェスター動物園での私たちの仕事は、最悪の事態が発生し、再導入が必要になった場合に備え、健康で遺伝的に多様なオオカワウソの個体群を人間の管理下で確保しておくことなのです

 この取り組みの成果として、飼育下での繁殖成功例は少しずつ積み重なっており、今回の三つ子誕生もその成功例とされている。

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 チェスター動物園の主任自然保護官、キルステン・プレンさんはこう語る。

どの出産も、この絶滅の危機にある種にとって、本物の希望を意味しています。

この3頭のオオカワウソの赤ちゃんは、世界中で行われている保全活動がどれほどの成果をもたらし得るかを示す重要な例です。

野生のオオカワウソの個体群は、広範な生息地の喪失や、淡水生態系における環境汚染によって、大きなプレッシャーにさらされています。

そのため、国際的な保護繁殖プログラムは、この種にとって不可欠なセーフティネットとなっているのです。.

当園のような保全動物園で、健康で遺伝的に多様性のある個体群を維持するとともに、野生での生息地の保護と回復に向けた取り組みを支援することで、オオカワウソが将来にわたって繁栄できるよう願っています

 赤ちゃんたちの名前はまだ決まっていないそうだ。チェスター動物園を訪れれば、可愛い姿に出会えるみたい。

 いっぱい食べていっぱい寝て、いっぱい遊んですくすく大きくなってほしいね。

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References: Earth’s largest otters have chocolate bar-sized babies[https://www.popsci.com/environment/new-otter-babies/]

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