もじゃもじゃの新種の魚を南西太平洋で発見、セサミストリートのキャラにちなみ命名
新種のImage credit:David Harasti

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 全身がオレンジ色の細い糸状のもじゃもじゃの突起で覆われた、愛くるしい新種の魚が南西太平洋のサンゴ礁で発見された。

 その外見が米国の子ども向けテレビ番組「セサミストリート」に登場するもじゃもじゃキャラクター「ミスター・スナッフルパガス」にそっくりなことから、学名に「スナッフルパガス」の名がつけられた。

 体長34mmほどのユニークな外見を持つこの小さな魚は、卓越した擬態能力で長年にわたり科学者の目をかいくぐってきた。

 この研究成果は『Journal of Fish Biology[https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/jfb.70497]』誌(2026年5月10日付)に掲載された。

セサミストリートのキャラに似た新種の魚

 タツノオトシゴの仲間であるゴーストパイプフィッシュの仲間(カミソリウオ科:Solenostomidae)は、藻類やサンゴ、ウミユリ(花のような形の棘皮動物で、植物に見えるが動物だ)に体色と形を似せて海中に溶け込む擬態の達人として知られる。

 今回オーストラリアの研究チームが正式に記載した新種は、その仲間の中でも最ももじゃもじゃした外見を持つ。

 今回、オーストラリア、ポート・スティーブンス水産研究所の研究チームが正式に記載した新種は、そのグループの中でも特にもじゃもじゃした外見を持つ。

 体の表面から無数の細い糸状の突起が生えており、特に口先(吻部)、顎、頭部、ひれの先端に密集している。

 この突起は本物の毛ではなく皮膚が糸状に伸びたもので、生息域の紅藻類(赤い糸状の海藻)の中に溶け込む役割を果たしている。

 研究者たちは、その外見が、アメリカの子ども向けテレビ番組「セサミストリート」に登場するキャラクター「ミスター・スナッフルパガス」、通称「スナッフィー」にそっくりだと思ったという。

 スナッフィーはオオアリクイやマンモスに似た頭部を持ち、全身が茶色い毛皮で覆われた大型のマペットキャラクターで、黄色い鳥のビッグバードの親友として知られている。

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 研究チームは早速、セサミストリートの制作・運営団体「セサミ・ワークショップ」に命名の許可を求め、快諾を得た。

 こうして新種カミソリウオ科の魚には「ソレノストムス・スナッフルパガス(Solenostomus snuffleupagus)」という学名がつけられた。

 同団体グローバル教育担当上席副社長のロズマリー・トルグリオ氏は、スナッフルパガスが実在の海洋新種の命名にインスピレーションを与えたことへの喜びを表明し、科学と想像力をつなぐことこそセサミストリートが目指してきたことだと述べた。

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もじゃもじゃの小さな体が持つ、他の種にはない特徴

 体長は18~34mmと小型のソレノストムス・スナッフルパガスだが、カミソリウオ科の他の種にはない独自の特徴を複数持っている。

 脊椎骨の数は36個で、同属の他の種(32~34個)より多い。

 軟条背びれと臀びれ(しりびれ)の基部には錨型に変形した骨が2つあるが、最も近縁な種「ラフスナウト・ゴーストパイプフィッシュ(Solenostomus paegnius)」には3つある。

 頭蓋骨上部の骨である上後頭骨稜(じょうこうとうこつりょう)にも性別による形態差があり、オスでは高く突出しているのに対し、メスでは低く丸みを帯びている。

 近縁のラフスナウトではこれが逆転しており、メスの方が発達した稜を持つ。

 これらの骨格的な特徴は、標本を傷つけずに内部構造を3D画像で確認できる「マイクロCTスキャン」によって詳細に確認された。

 2標本のミトコンドリアDNA(細胞内のミトコンドリアに含まれるDNAで、種の進化的な距離を調べるのに使われる)を分析した結果、新種とラフスナウトの遺伝的距離は22%にのぼることがわかった。

 海産魚類の分子時計(DNA変異の蓄積速度から分岐年代を推定する方法)を適用すると、両種が枝分かれしたのは約1830万年前、中新世初期(地球が現在の気候に近づきつつあった時代)と推定される。

 系統解析では、ソレノストムス・スナッフルパガスはカミソリウオ属の中で最も古い系統に位置付けられており、長い独立した進化の歴史を持つことが示された。この発見により、正式に認識されるゴーストパイプフィッシュ(カミソリウオ科の魚の英名)の種数は6から7へと増えた。

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自分に近いサイズの魚も食べる待ち伏せハンター

 ゴーストパイプフィッシュの仲間はこれまで、小型甲殻類のアミ類やエビ類、動物プランクトンだけを食べると考えられてきた。

 しかし今回の研究で、メス標本の消化管内から体長約8~10mmの小型魚の骨格と尾びれの消化残骸が見つかった。ゴーストパイプフィッシュの仲間で魚を捕食した記録はこれが初めてだ。

 発見した新種の体長は33mm。自分の体の3分の1近いサイズの魚を丸呑みしていたことになる。

 紅藻類に完璧に擬態して待ち構え、近づいた獲物を一気に捕らえる待ち伏せ型の狩りが、この捕食を可能にしたと研究者らは考えている。

 少なくともこの種については、仔魚や幼魚を食べることで食事を補っている可能性がある。

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 体色は通常、生息する紅藻類に合わせたオレンジ色や赤色だが、個体による色の変異は著しい。

 オーストラリア北東岸に広がる世界最大のサンゴ礁地帯、グレートバリアリーフでは緑色の個体が1例記録されており、パプアニューギニアでは紫色のペアも観察されている。

 これは、それぞれの生息域に優占する藻類の色に個体が合わせる「表現型可塑性(同じ遺伝子を持ちながら環境に応じて外見を変える能力)」によるものだ。

 第1背びれ、胸びれ、尾びれに現れるオレンジ・白・紫のいずれかの色をした3つの楕円形の斑点も、種の同定に役立つ特徴とされている。

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市民ダイバーの記録が新種発見を支えた

 ソレノストムス・スナッフルパガスはオーストラリア、パプアニューギニア、ニューカレドニア(南太平洋に位置するフランスの特別集合体の島)、フィジー、トンガにかけての南西太平洋のサンゴ礁に生息する。

 水深5~31mの範囲で確認されているが、観察の大半は10~30mに集中している。

 密な紅藻類が育つサンゴの塊の下部や隣接する礫地帯を好み、単独またはオスとメスのペアで見られることが多い。

 あるダイバーが同じ個体が6日間同じ場所にとどまっているのを記録しており、強い定住性があることがわかっている。

 繁殖の面でも独特の特徴がある。

 タツノオトシゴの仲間ではオスが育児嚢(卵を保護する袋状の器官)で卵を孵化させることで知られているが、カミソリウオ科ではメスが骨盤鰭(腹部のひれ)を合わせて形成した育児嚢に卵を抱える。

 新種の分布域や体色変異の記録において大きな貢献をしたのが、アマチュアダイバーたちによる市民科学の活動だ。

 2005年以降、グレートバリアリーフのサクソン礁とノーマン礁で定期的に目撃記録が積み上がってきたのは、iNaturalist[https://www.inaturalist.org/](生物の観察記録を投稿・共有できる世界的な市民科学プラットフォーム)やFacebookグループに投稿されたダイバーたちの写真のおかげだ。

 研究者らはこれらの画像が新種の記載に不可欠だったと論文内で明示している。

 世界中の科学標本コレクションに保管されているこの種の標本は現在わずか2点だ。

 シドニーのオーストラリア博物館に保管された正基準標本(ホロタイプ、メス)と、ノーザンテリトリー博物館・美術館の副基準標本(パラタイプ、オス)のみである。

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 標本が少ない理由はこの魚が稀少だからではなく、密な藻類の中に完璧に溶け込む擬態能力が高すぎて採集が極めて困難なためだ。

 グレートバリアリーフのような、世界でも有数の調査が進んだ海域でさえまだ知られていない種が潜んでいる可能性を、この発見は示している。

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References: Solenostomus snuffleupagus sp. nov., a hairy ghost pipefish (Teleostei: Solenostomidae) from the Southwest Pacific, with an integrative comparison to S. paegnius[https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/jfb.70497] / Hairy new fish species discovered in the Great Barrier Reef[https://phys.org/news/2026-05-hairy-fish-species-great-barrier.html] / A new species of “hairy” ghost pipefish discovered in the southwestern Pacific that disguises itself as algae to hide[https://www.labrujulaverde.com/en/2026/05/a-new-species-of-hairy-ghost-pipefish-discovered-in-the-southwestern-pacific-that-disguises-itself-as-algae-to-hide/]

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