TEXT BY 北野 創
PHOTOGRAPHY BY ハタサトシ
アコースティックパートにも挑戦!進化を続けるMyGO!!!!!のライブ
本公演は、MyGO!!!!!にとって、1st LIVE「僕たちはここで叫ぶ」以来となるライブハウスでの開催。1階席は基本スタンディングとなっており、ホール会場とはまた違った熱気が感じられる。MyGO!!!!!のグッズやTシャツを身に着けたファンが期待の表情を浮かべて待つなか、照明が暗転してついに開演。暗闇の中、どこからともなくMyGO!!!!!の5人の会話が聴こえてくる。「雨、止んで良かった」(燈)、「それじゃあ撮るよー」(愛音)――そして会場に響き渡るスマホの録画ボタンを押したような音。それを合図に晴れ間のような光がステージと5人のメンバーを照らし出し、アニメ『BanG Dream! It’s MyGO!!!!!』のOPテーマ「壱雫空」でライブの幕が開ける。冒頭の会話はオープニングアニメの映像(バンドが屋外で演奏するMV風の映像)を撮影するときの様子だったのだろう。アニメとライブの同期を感じさせる心憎い演出だ。
サイドギターとして安定した演奏を聴かせつつ、「オイ!オイ!」と手を振って盛り上げる愛音(立石 凛)、時折クルッとターンしたかと思えばお立ち台に上がったりと自由に動きながらギターを弾く楽奈(青木陽菜)、リズムに身を揺らせながらノリの良いグルーヴを形成するベースのそよ(小日向美香)、2ビートなどを交えたパンキッシュかつ力強いドラムで楽曲に勢いをつける立希(林 鼓子)、そして清々しいほどの真っ直ぐさと透明感を湛えた歌声を響き渡らせる燈(羊宮妃那)。2022年7月の初ライブから約1年が経ち、数々の大舞台を経験してきた5人のアンサンブルは、間違いなく今が最高潮に感じられる。何より今回はキャスト名が伏せられていた過去の単独公演と違って、最初から顔出しでステージに立っているので、5人の嬉しそうな表情がこちら側にも伝播して思わず笑顔になってしまう。
続いて燈が「この雨も忘れずに、僕たちはここで叫ぶんだ」と語ると、次曲「迷星叫」へ。1st LIVEで初披露されたMyGO!!!!!にとって最初のオリジナル曲であり、迷うことを否定しない彼女たちのスタンスを象徴すると同時に、すべての迷える人を導く星と言うべき、まさに“迷い星のうた”だ。その後のMCで改めて(キャラクターとして)挨拶をすると、続いて燈と楽奈のダブルボーカルによる楽曲「無路矢」を披露。ブルージーなギターリフが牽引するワイルドなロックサウンドを土台に、燈のひと際パワーのこもった歌声と楽奈のホイッスルボイスが狼煙のように天高く上昇していく。そこから間髪入れず、バンドリ!の先輩バンドであるPoppin’Partyの人気曲「Time Lapse」のカバーに突入。5人の熱の入ったパフォーマンスに、オーディエンスも「oh oh…」と声を上げながら熱狂する。
冒頭から熱い楽曲で飛ばしてきたMyGO!!!!!だが、ここで一旦クールダウン。ワンマンライブでは初の試みとなる、アコースティックセットが披露される。最初に歌われたのは、アニメ『BanG Dream! It’s MyGO!!!!!』のEDテーマ「栞」。1番では愛音と楽奈がつま弾く2本のアコースティックギター、2番ではそよのベースと立希のカホン+シンバルが加わった涼やかなアンサンブルをバックに、燈の優しくも繊細な歌声が会場を包み込む。さらに爽やかな高揚感をもたらしてくれた「音一会」、落ちサビでのメンバーで呼吸を合わせての演奏に絆を感じさせた「迷星叫」を披露。
“迷うことに もう迷わない”――新曲「焚音打」に込められた意志
再び通常のバンドセットに戻っての一発目は、カンザキイオリ「君の神様になりたい。」のカバー。3rd LIVE「声を抱えて生きる」以来の披露となるが、心の叫びを叩きつけるようなエモーショナルな曲調がMyGO!!!!!の世界観にフィットする。特にサビ終わりの“僕は無力だ”というフレーズを連呼するパートは、燈の声を振り絞るような歌い方もあって心に迫るものがあった。そこからポエトリーリディングのパートを含む「潜在表明」で心の中に深く潜りつつ、溜め込んでいた感情を一気に爆発させると、続いては愛音が「皆さん、クラップをお願いします!」と呼びかけて、MyGO!!!!!屈指のダンサブルなナンバー「影色舞」へ。お立ち台に上がった楽奈が同曲のギターフレーズを弾いた瞬間、会場が一気に沸く。「皆さんも一緒に踊ってください」という燈の声に応えるように、サビでは客席のペンライトが左右に揺れてダンスフロアのように盛り上がる。動きを合わせてステップを踏む燈・愛音・楽奈、サビ入り前のキメの部分でお互い目を合わせて演奏するそよ・立希、ラストはエアギターで決める燈など、5人も心から楽しそうに音楽を届けていた。
その後のMCで、客席からの「りっきー(立希のあだ名)、かわいい!」という声を燈が拾って「立希ちゃん」と呼びかけると、立希が「かわいいのは燈でしょ」と返して燈が戸惑う場面も。さらに愛音が「ねえねえ、りっきー、次の曲にいくまえに、私にもかわいいって言ってよ」と懇願し、立希は「はあ?なんで?」と冷たくあしらうも、燈からの「立希ちゃん、お願い」との声に「燈が言うなら……」と渋々応じ、「まあ、かわいい、ほうなんじゃない」とそっけないながらも愛音を褒める珍しい一幕もあった。その後、客席から楽奈にも「かわいいよ」という声が上がったのだが、楽奈は「ねえ、ライブまだ?」とマイペースぶりを発揮。ステージ上ではキャラクターとしての振る舞いを崩さない姿勢に、彼女たちのプロフェッショナルな意識とキャラクターへの愛が伝わってきた(キャラクターを演じたままほぼアドリブで収録されるラジオ番組「迷子集会」での経験も大きいのかもしれない)。
ここからライブは早くも終盤戦へ。まずは彼女たちが1st LIVEの頃からレパートリーにしている04 Limited Sazabys「swim」のカバーを披露。ライブでの定番曲となっていることもあってか、メンバーはお互いの方を向き合ったりと、これまで以上に親密な雰囲気でパフォーマンスを繰り広げる。特に2番では全員が(ポジションの移動ができない)ドラムの立希のほうに近寄って輪になって演奏したり、間奏の楽奈のギターソロでは燈と背中合わせになるなど(離れるときにお互い指をさし合うのも良かった)、メンバー同士の結び付きを感じさせるシーンが多数見られた。
そして燈の「新曲です」という言葉に続いて演奏されたのは「碧天伴走」。アニメ『BanG Dream! It’s MyGO!!!!!』第7話の、5人で初めてのライブシーンで披露された楽曲だ。エモーショナルかつどこか開放感を感じさせる曲調、サビの“迷っても 君と進んでみたいよ”といった言葉を含め、聴き手の背中を押してくれるようなメッセージが込められており、笑顔を浮かべて溌剌と演奏するメンバーや燈の明るい歌声もまた、明日を走るための元気や勇気を与えてくれる。そしてライブ本編の最後に歌われたのは、リリースされたばかりの3rdシングルに収録されている新曲「焚音打」。歌詞に“このパンクロックの中で同じ熱になれるいまがすべて”とあるように、メロコア~ポストハードコア路線のアグレッシブなサウンドに乗せて届けられるのは、例え今はまだ進むべき道がわからないとしても、自らの心の中に灯る種火と、共に迷ってくれる仲間を信じて前に進もうとする強い意志だ。掛け合いによる歌唱パートがバンドの一体感をさらに高めるなか、燈は“大丈夫 僕たちは進もう”と力強く呼びかけ、最後は今回のライブのタイトルにも引用された“迷うことに もう迷わない”という言葉を伝えて締め括った。
“僕”の歌から“僕たち”の歌へ――握りしめたこぶしが繋ぐ絆
オーディエンスの熱狂的なMyGO!!!!!コールに応えて再びステージに上がった5人は、「名無声」でアンコールをスタート。メンバーはお揃いのライブTシャツ姿で、“何者でもない”自分たちの歌を紡いでいく。
そして燈役の羊宮は、「焚音打」の歌詞にある“それぞれの拳の中に 握っているものは 違ったっていいんだよ”というフレーズを引用しつつ、アニメの物語の中で各々が色んな想いを抱えながら迷っているMyGO!!!!!の5人、そしてMyGO!!!!!の音楽を受け取り共鳴するファンの1人1人にもそれぞれのこぶしがあるはずだと語る。夢や目標に向けて頑張るなかで力強く握るこぶし、苦しみを耐え忍ぶために握りしめるこぶし、大事なものを守るためのこぶし。彼女は「MyGO!!!!!の音楽を通して、皆さんが持つこぶしを一緒に掲げて、迷いながらでも、皆さんと一緒に歩んでいければと思っています」と伝える。迷っていたからこその出会いもあるし、わかり合える気持ちもある。MyGO!!!!!が奏でるのは、迷子を一人ぼっちにしない音楽なのだ。
この日のライブのラストを飾ったのは「音一会」。前回の4th LIVEでも締めに披露された、彼女たちの2ndシングルの表題曲であり、歌詞に“「ありがとう」”という言葉が含まれた、“君”への感謝の気持ちをダイレクトに伝える楽曲だ。スタンバイするなかで再びMyGO!!!!!のキャラクターとしての声音に戻る5人。楽曲を届けるのはあくまでもMyGO!!!!!であり、その歌詞に綴られているのは燈の心の声だ。
今回のライブを観て特に印象深かったのは、メンバーがみんな心から楽しそうに歌い演奏していたことだ(キャラクターの性格上、基本真顔でいることの多い燈も、客席の反応などを見て微笑みを浮かべる場面があった)。これまでの単独公演では、キャスト名を伏せていた関係上、ステージに立つ彼女たちの表情がはっきりと見える機会はあまりなかったので、最初からその姿がはっきり見えることに新鮮さを感じたし、ようやく本当のMyGO!!!!!を見られたような感覚もあった。一方で、アニメのオープニング映像で「壱雫空」を楽しそうに演奏する5人の姿と重なるようにも思えて、そこに雨が止んだ後のMyGO!!!!!の絆、「雨降って地固まる」という言葉通りの景色を感じたのは自分だけではないはずだ。
MyGO!!!!!の音楽は“君”に向けても届けられているが、その根本にあるのは“僕”の気持ちであり、それは燈の心の声と同義でもある。だが、今回披露された新曲「焚音打」で彼女は“僕たち”という言葉を使っている。思い返すと、MyGO!!!!!はライブ中にメンバーの方を向いて、輪になって演奏することが多く、アンコールの「音一会」でも、最後は燈・愛音・楽奈が後ろで演奏するそよ・立希の方を向いてこぶしを突き出す場面があった。バラバラだった5人が、長く憂鬱な雨の期間を経て結んだ絆は、今やバンドによって強固に束ねられている。「焚音打」の冒頭で燈が“やっと繋いだ手を もう僕は離さない 何があっても 握りしめていく”と語るように、彼女はもう1人ではないし、“一緒に迷ってくれる人”と共に前に進んでいくことを選んだのだ。“僕(=燈)”の歌から“僕たち(=MyGO!!!!!)”の歌へ。
■MyGO!!!!! 5th LIVE「迷うことに迷わない」
<セットリスト>
M1 壱雫空
M2 迷星叫
M3 無路矢
M4 Time Lapse
M5 栞
M6 音一会 ~Acoustic Ver.~
M7 迷星叫 ~Acoustic Ver.~
M8 君の神様になりたい。
M9 潜在表明
M10 影色舞
M11 swim
M12 碧天伴走
M13 焚音打
EN1 名無声
EN2 音一会
■MyGO!!!!! 5th LIVE「迷うことに迷わない」アーカイブ配信受付中
【チケット】
視聴価格:¥4,900円(税込)
受付URL:https://eplus.jp/mygo5th-st/
海外配信購入URL:https://ib.eplus.jp/mygo5th-st
販売期間:2023年8月19日(土)22:00まで
配信期間:2023年8月19日(土)23:59まで
●リリース情報
MyGO!!!!! 1st Album
『迷跡波』
11月1日(水)発売
価格:Blu-ray付生産限定盤:9,900円(税込)
通常盤:3,850円(税込)
詳しくはこちら:https://bang-dream.com/discographies/3457
●ライブ情報
BanG Dream! 12th☆LIVE DAY2 : MyGO!!!!!「ちいさな一瞬」
日時:2023年11月4日(土) 開場17:00 / 開演18:00(予定)
会場:東京ガーデンシアター
価格:プレミアムシート(特製グッズ付き):22,000円(税込)/一般指定席:9,900円(税込)
チケット最速先行抽選申込 受付中:
受付期間:~2023年9月18日(月)23:59
※MyGO!!!!! 3rd Single「壱雫空」初回生産分に封入の申込券でご応募いただけます。
詳しくはこちら:https://bang-dream.com/12th-live
「TOKYO GAME SHOW 2023」MyGO!!!!!のアコースティックライブが決定!
2023年9月21日(木)~24日(日)にかけて開催される「TOKYO GAME SHOW 2023」にて、24日(日)に幕張メッセ イベントホールで開催される「ブシロードスペシャルステージ&ミニライブ 出陣」内で、MyGO!!!!!によるアコースティックライブが決定しました。
Vo.高松燈役 羊宮妃那 Gt. 千早愛音役 立石凛 Gt. 要楽奈役 青木陽菜の3名での出演となります。
「TOKYO GAME SHOW 2023」公式サイトはこちら:
https://tokyogameshow.jp/
©BanG Dream! Project
関連リンク
BanG Dream!(バンドリ!)公式サイト
https://bang-dream.com/
アニメ『BanG Dream! It’s MyGO!!!!!』公式サイト
https://anime.bang-dream.com/mygo/
MyGO!!!!! 公式Twitter
https://twitter.com/bang_dream_mygo