声優とアイドルの活動を両立するハイブリッドユニット・i☆Risが、8月23日(水)に23rdシングル「Let you know!/あっぱれ!馬鹿騒ぎ」をリリース。デビュー10周年を迎えファンとより一致団結するために“i☆Ris 10th→NEXT キミと一緒に「Full Energy‼」”のキャッチコピーを掲げる彼女たちによるニューシングルには、TeddyLoid提供のエレクトロなガールズクラッシュ「Let you know!」と、今年開催の全国ツアーのテーマ曲ともなった前山田健一(ヒャダイン)によるハイテンションなお祭りソング「あっぱれ!馬鹿騒ぎ」が収録されている。


今回はメンバーの中から山北早紀・芹澤 優・若井友希へのインタビューを敢行。たゆまぬ研鑽を積んできた彼女たちとクリエイターの全力がぶつかることで生まれた各楽曲について、たっぷり語ってもらった。

INTERVIEW & TEXT BY 須永兼次

全力で駆け抜け続ける姿が与えた、「Let you know!」への説得力
――まずは「Let you know!」について、皆さんは最初に聴いたときにどんな印象を持ちました?

芹澤 優 びっくりしました(笑)。でもi☆Risって今まで、ほかのアーティストさんが結構やられている「有名アーティストさんに楽曲を書いていただく」みたいな、コラボらしいコラボをほとんどしていなかったんですよ。だから、せっかくやるなら御本人の色がバチバチに出た「i☆Risなんだけど、i☆Risっぽくない驚き」があったほうがコラボの意味があるかなぁと思っていたので、「良かったな」という気持ちにもなりましたね。

山北早紀 今どきの“THE K-POP”っていうイメージがして、「こうきたかぁ!」って思った。しかも、こういう感じの曲がシングルの表題曲になるっていうのもこの曲が初めてなので、ファンの皆さんもびっくりしたんじゃないでしょうか?

若井友希 TeddyLoidさんの曲の世界観は元々知っていたので、なんとなくサウンド感の予想はできたんですけど、聴いていくなかで「これをi☆Risで歌ったら、どんな化学反応が起きるんだろう!?」ってワクワクしてきたんですよ。そのぶん「どうやって歌えばいいんだろう?」っていっぱい考えもしましたけど、結果として意外性もありつつ、ファンの方にはちゃんと「i☆Risちゃんの声だな」と思ってもらえるような、“新境地”と言える楽曲に仕上がっています!

芹澤 やっぱりTeddyLoidさんは今すごく人気の方でもあるから、「自分の色の出し方をすごくよくわかってらっしゃる方だなぁ」って感じました。だからレコーディングでは「どこに転んでも、きっと上手く料理してくれるはず!」みたいな信頼もあって、ある意味Teddyさん任せみたいなところがあったくらい、安心して歌えました。

――おっしゃるように、サウンドにはTeddyLoidさんの色がすごく強く出ている一方で、歌詞からは「まさに今のi☆Risが歌うべきもの」といった印象も受けました。

若井 すごく自信満々な歌詞なので、自分を強く持って10年以上活動を続けてきたi☆Risちゃんが歌うのには合っていますよね。あと、すごく現代に歌うべき歌詞を提示されているような感じもします。
今の若い子たちには「やりたいこと、特にないなぁ」とか「ふわふわ生きちゃってるなぁ」みたいな子が多いという話をよく聞くので、そういう子たちにも刺さったらいいなと思っています。

山北 結構強い女性像が描かれてはいますけど、これを無理して歌わないことで結果としてすごく説得力のある歌になっているというか……それは本当に、10年活動を続けてきた私たちならではのものでもあると思うんです今回の楽曲はガールズクラッシュの要素がありますが、私たちは元々はそういう方向性ではなかったじゃないですか。

――そうですね。特に初期は『プリパラ』の主題歌などが多かったですし。

山北 そうなんです。だからこそ“狙っていないかっこよさ”みたいなものも出ているんじゃないかと思っています。背伸びしてないというか、ちょっと抜きを覚えたかっこよさというか……。

芹澤 だから、「強がり」じゃなくて「本当に強い人たち」みたいな感じがするよね。私、自分で歌詞を読んでいてもそう感じますもん。“「限界」はもういらない”って思ってなきゃ、11年もやってこれないですから(笑)。

――その「抜きを覚えたかっこよさ」を光らせるとなると、レコーディングで取り組まれたことも今までのほかの曲とかなり違ったのでは?

若井 はい。私、レコーディング順が最初だったんですけど、こういう楽曲が得意なタイプではないので……かなり焦ったし不安だったんです(笑)。
さきさま(=山北)とかひみちゃん(=茜屋日海夏)にはラップとかこういうガールズクラッシュが好きなイメージがあったけど、順番的には私が土台を作らないといけなかったので、普段はあまり聴かないK-POPのアイドルさんとかの曲をたくさん聴きまして。バキバキにかっこいい系のK-POPの雰囲気を意識しながら、レコーディングに行きました。

――実際レコーディング中には、特にどんな部分を意識されましたか?

若井 韓国のアイドルさんって語尾とかの歌い回しが特徴的なイメージがあるので、そこを近づけられるようにかなり意識しました。でもまったく自分じゃないものを出すのも嫌なので、ちゃんと若井っぽさも残しつつ。例えば2-Bメロの“絢爛な挑戦者”っていうフレーズには特に若井っぽさを出せたので、全体としては私らしさも新しい自分も両方出せたように思っています。

山北 私が個人的なポイントをあえて挙げるなら、ハモリですかね?1番と2番でハモリが違ううえに、過去イチキーが低かったんですよ。特にその“絢爛な挑戦者”のところなんて、もうありえないくらい低くて!そういう意味ではプチ挑戦もありましたけど、さっきゆうきちゃんが言ってくれたとおり私自身はこういう曲が結構好きなので、主線に関しては肩の力を抜いて歌っているうちにいつの間にかレコーディングが終わっていたような感覚でした。

芹澤 私はゆうきちゃんとは逆にレコーディング順が最後で、しかも結構期間が空いてしまったので、ほかのメンバー4人の歌声が入っている音源を使って練習したんです。そうしたら、みんな思ったよりクセが強い歌声でびっくりしたんですよ(笑)。

――それを受けて、芹澤さん自身はどうレコーディングに臨まれましたか?

芹澤 好きな韓国アイドルもそうなんですけど、「かっこいい曲を歌っていてもかわいさが滲み出る」ものが結構好きで。そういうテイストで歌っていたら、「もっともっと、かわいくやってください」と言われたんですね。それは全体のバランスを考えてのことだったみたいで、クセ強く歌うメンバーもいれば、私とかみゆたん(=久保田未夢)は“Aha”とか“Come on!”みたいな細かいポイントをすごくかわいらしく入れる担当になっていたので、「1曲の中でも、それぞれ役割があるんだなぁ」と思いました。


山北 だからか!私はゆうちゃんの前、4番目にレコーディングしたんですけど、自分が2番で歌っている“もっともっと ココロを キミを奪いたい”のラップの部分を、最初はもっとクセ強くやっていたんです。「“キ”ミを“奪”い“たぁ”い」みたいな感じで。そうしたら「もうちょっと普通でお願いしまーす」というオーダーがあったんです(笑)。

若井 でも逆に私は、「もっとクセ出してください」だったから……。

山北 きっと後半組は、全体のバランスを調整してたんだね(笑)。

――ハモといえば、サビの“Do you wanna ? × 3 どーする?”の部分がどう作られていったのかも非常に気になります。

若井 そこ、この曲の一番頭に残るポイントですよね!たしかあそこは元々3・2で高い・低いに分かれていて、声色とかトーンを変えながら、それぞれが3人分くらい重ねていた気がします。だから最終的には、10~15人ぐらいの声がギュッと詰まってるはず(笑)。

――そしてこの曲のMVは、こちらもi☆Risにとって初となるアニメMVというスタイルになりました。

芹澤 アニメMVだと、「アイドルなんだ」とか「女の子ユニットが歌ってるんだ」みたいな曲以外の情報が入ってきにくいので、純粋に曲で「良いな」と思ってくれる人に刺さりやすいような感じがしますよね。そのほうが、元々ファンでいてくれる人たち以外に向けて、曲が真っ直ぐ届きそうでますし……もちろんi☆Risちゃんだって、別に全然かわいいんですけどね(笑)。

若井 それにTeddyLoidさんが楽曲を手がけている方って、例えばAdoさんみたいにアニメMVの方が多い印象があるので、よりコラボ感が出たようにも思います。


山北 しかも、アニメMVではありますけど、割とお洒落な感じに仕上がっているんですよ。ほら、最近ってYouTubeを使ってオシャレなMVを流している飲食店もあるじゃないですか?だから、そういうところにも取り入れていただけたらいいなぁ……なんて思ってみたり(笑)。あと、曲もMVも、両方とも良い意味でスルメソング寄りだなぁという印象があるんですよね。最初の「わー!」っていう衝撃もありますけど、気がついたら“Do you wanna? Do you wanna? Do you wanna? ……”っていうフレーズとか、あのMVが脳内に流れてる……というように、きっとどんどんリピートしたくなってくるような気がしています。


ツアーにも多彩な表情を出せる5人にもピッタリ!な「あっぱれ!馬鹿騒ぎ」
――そしてもう1つの新曲「あっぱれ!馬鹿騒ぎ」は、今年開催された全国ツアーのテーマ曲でした。なのでまずは、この曲をライブで披露された際の会場の反響からお教えいただけますか?

若井 3年くらいファンの方のコールを聴いていなかったのもあってか、今まで聴いてきたものの何倍もの大きさの歓声をもらえたように感じて、「オタクってすごい!」って思いました(笑)!。きっと、みんなが溜め込んできた「声を出して応援したい」という想いを爆発させてくれたんでしょうね。なんかこう、圧がバッ!ってくるというか……想像を遥かに超えた、今でも思い出せるくらいの衝撃がありました。

芹澤 だから私、ツアーのテーマ曲を作ってくれたのがヒャダインさんで本当に良かったなぁ、ってすごく思ったんですよ。アイドルソングをたくさん手がけられてきた方というのもありますけど、コールのバランスがすごくちょうど良くて。コールって、実は塩梅が難しいんです。

――簡単すぎると仲間感みたいなものが薄れてしまうけど……。


芹澤 そう!逆に難しすぎると、「覚えていかなきゃいけない」っていう試練感が強くなりすぎちゃうんです。でも「あっぱれ!馬鹿騒ぎ」は「誰でもはできないけど、ファンならできる!」みたいな、すごくちょうど良いバランスのものになっていて。しかも元々そんなには難しくないうえに、慣れてくるとコールを入れられる場所が増えてくるんです!そういう意味でも、ツアーというものにすごくピッタリな曲だったと思っています。

山北 あと、ただの明るい曲じゃないのも良いですよね。例えば1-Aメロの“波乱万丈 現代世界”っていうフレーズでコロナ禍のちょっと陰な気持ちでスタートしてから、陽に持っていく感じが……。

若井 マジでヒャダインさん節だよね。

山北 うん。それがファンの人にもめちゃくちゃ刺さってるみたいなんです。私、この曲ではオタクの方の近くまで煽りに行くところが多いので、みんなの顔を見てるんですね。普段は私個人のファンの方たちは地蔵で観ている方が結構多いんですけど、この曲に関してはそういう人も何かが奮い立たされるのか、魂に訴えかけるものがあるのか……ちょっとニコニコしていたりして。それはライブならではのポイントかもしれませんけど、歌っている私も「ただの元気ソングじゃないな」という感じはしています。

――では、ツアーでの披露前に曲を受け取ったときには、どんな印象がありました?

若井 私はヒャダインさんが作られた曲が好きでよく聴いていて、ずっとi☆Risに曲を書いてほしかったので、私の好きなヒャダインさん節が詰まりに詰まっていて「やったぁー!」ってなりました(笑)。
しかも、自分の中で「こうだったらいいな」とイメージしていたものを超えてきてくださったので、もう「やっべぇー!」って思ってましたね(笑)。

山北 私も「わ、めっちゃたのしー!好きー!」と思ったし、「ツアー、盛り上がること間違いなしだわ」って本能で感じましたね。1回聴いただけで「これは、良いわ……!」っていう感じでした(笑)。

芹澤 そうだね。「ここから声出しが始まる」というのもわかっていたので、私も声出し解禁のツアーの一発目に歌うのにすごくピッタリだなと感じましたし、「お客さんが喜んでくれるだろうなぁ」とも思いました。やっぱり私の中ではi☆Risの活動って、ファンが喜んでナンボみたいなところがあるので。

――そういった想いやイメージも持ちつつ臨まれたレコーディングでは、どのようなことを意識されましたか?

若井 「いくらでも個性が出せる楽曲だな」とも感じた曲なので、声優もやっている私たちだからこそ色をつけられる部分があるように思ったんですよ。実際に掛け声などでそういうものを出せる部分も多いので、私はそこで上手く色を出せるように……キャラクターになるわけでもないですけど、この曲ではいつもの“若井らしさ”だけではなく、結構色んな若井を出しました。

――場所ごとにハマりそうな要素を、デフォルメしてちょっと拡大するような感じですか?

若井 そうですね。私、“今日もご飯美味しい ばんざーい!!”っていう自分のパートが好きで(笑)。歌詞自体もなんですけど……いつも「ごはんおいしい」って思う感情を、よりデフォルメさせて込めました(笑)。

芹澤 レコーディングは、いつものスタッフさんが録ってくれたんですけど、「きっとこの曲を完成させるのはヒャダインさんなんだろうなぁ」と思って……「ヒャダインさんが、私のことを好きになればいいなぁ」という気持ちも込めながら歌いました(笑)。

山北 それ自分で言うんだ(笑)。

芹澤 でも、造り手が喜ぶってクリエイトとしてもすごく大事なことじゃないですか?だから「ヒャダインさんはこの曲を作ったときに、ここはこう言ってほしいって思ってるんじゃないでしょうか!?」みたいな気分で。それをちゃんと汲み取って想像の100点を超えて……結果として「芹澤 優ちゃん、やっぱ上手いなぁ。かわいいなぁ」っていう気持ちになってくれたらいいな、って(笑)。あわよくば芹澤 優ちゃんのソロも書いてくれないかなぁ……なんて思ってます(笑)。

山北 私はヒャダインさんに気に入られたいなぁっていう気持ちは1ミリもなく(笑)。ありのままに歌ったので、さっきゆうきちゃんが言っていたような感覚に近かったですね。色んなパートを振り分けていただいていますけど、全部違う山北というか……“感情ジェットコースター”みたいな感じでした。1-Bメロの“咲くら 咲くら”とかはいつもの“艶やかさきさま”な感じでしたけど、後半ではリーダーっぽく“最後はみなさま 御手を拝借!”みたいに音頭を取ったりもしましたし、ほかには明るい“ふざけ山北”な部分もあったりと、とにかく楽しく歌わせてもらいました。……結果的に、ヒャダインさんに気に入ってもらえたら(笑)。っていうか、ヒャダインさんにi☆Risみんなを気に入ってほしいです!

――さて、今回のシングルのリリース後にも、11月のパシフィコ横浜でのデビュー11周年ライブや来年公開予定の劇場アニメなど、i☆Risはさらに加速していきます。そんなこの先の活動への意気込みを、最後にお聞かせいただけますでしょうか?

若井 長く続けているアイドルって、どうしても「あのときがピークだったよね」みたいに思われるときってある気がするんです。でも11年目に入った今感じているのは「今のi☆Ris、マジ最高だね!」という空気で。それを感じられていることって、めっちゃすごいことなのではないか?と思うんですよ。

芹澤 たしかに!10周年を超えると世の中的には「お疲れ!」みたいにちょっと下がりがちなところですごく良い流れが来ているのって、本当にありがたいよね。

若井 そういう「今のi☆Ris、すごい勢いあるんだよ!」っていう空気感をたくさんの人に感じてもらうことが、私は結構大事だなと思うので、今は具体的に「これ!」というよりも「i☆Ris今すごいね!良いね!」って空気をさらに広げていきたいです。

芹澤 それに私たちも、良い意味で肩の力が抜けているというか……嫌なプレッシャーがないんですよね。おかげで本当に自分たちの好きなライブを自分たちの好きな形でお客さんに届けられるという、すごくのびのびやらせてもらえる状況にいるんです。今回のツアーも好き勝手やっちゃうツアーでしたけど、ここから先も11年積み重ねてきた実力と「楽しい!」っていう気持ちの両方を持って、好き勝手やっていきたいです(笑)。

山北 2人が良いことを言ってくれたから、まとめると……好き勝手やり続けた結果まだ伸びしろがありそうなので、これからもやり続けて。パシフィコでの11周年ライブも、同じ会場での7周年ライブ“七福万来”以上に盛り上げて……アリーナクラスの会場で、ワンマンライブをやってみたいですね。i☆Risはもうちょっとでかくなれるグループのはずだから、もうちょっと上に行ってもいいんじゃないかな?と思っています!

●リリース情報
i☆Ris 23rd両A面シングル
「Let you know! / あっぱれ!馬鹿騒ぎ」
8月23日(水)発売

【CD+Blu-ray】

品番:EYCA-14161/B
価格:¥2,700+税

【CD+DVD】

品番:EYCA-14160/B
価格:¥2,500+税

【CD】

品番:EYCA-14162
価格:¥1,700+税

<CD>
M-01. Let you know!(TeddyLoid提供楽曲)
M-02. あっぱれ!馬鹿騒ぎ(前山田健一(ヒャダイン)提供楽曲)
*i☆Ris 8th Live Tour 2023 ~わっしょい!!!!!~ ツアーテーマ曲
M-03. Queens Bluff -TeddyLoid Remix-
M-04. Let you know! -Instrumental-
M-05. あっぱれ!馬鹿騒ぎ-Instrumental-
M-06. Let you know! -Off Main Vocal-
M-07. あっぱれ!馬鹿騒ぎ-Off Main Vocal-

<Blu-ray&DVD>
・ Let you know! -Music Video-
・あっぱれ!馬鹿騒ぎ -Live Music Video-
・i☆Ris 8th Live Tour 2023 ~わっしょい!!!!!~ -1st day @ 三郷市民文化会館 Off Shot Movie –

●ライブ情報
i☆Ris 2023年『11周年ライブ』
2023年11月26日(日)開場17:00 / 開演18:00
会場:パシフィコ横浜国立大ホール
詳細はこちら

関連リンク
i☆Risオフィシャルサイト
https://iris.dive2ent.com/
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