普段の生活で「死」を意識することは少ない。当たり前に車を操り、モノレールに揺られる。
だが、日常のふとした瞬間に記憶のふたが開く。近所を歩けば数年前に逝った祖父を思い出し、母校に通う娘を迎えに行けば生徒会で共に活動した友の姿が浮かぶ。20歳で早世した彼女の笑顔は、今も鮮明なままだ。
 2000年3月に起きた営団日比谷線脱線事故。当たり前の日常で突然「死」が訪れた。本作は、事故で亡くなった高校生の遺族へ、20年後に一通の手紙が届いた実話を基にしている。両親が知らなかった息子の別の顔。手紙はあの日から止まったままの時計の針を静かに動かす。
 劇中、画面の端々から死の匂いが立ち上る。だが同時に、それは「生き続ける」ことの意味を問いかけてくる。
 死は、思っている以上にすぐそばにある。だからこそ、何の変哲もない「生きている」日常を大事にしたい。
(DX推進部・屋良朝輝)
◇シネマQ、ライカムで上映中
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