盲導犬として8年間、石垣愛華さん(37)と生活を共にしてきた10歳のトウハが3日、その役目を終えた。那覇市内で開かれた引退式に多くの関係者が集まり、長年の活躍をねぎらった。
「楽しい思い出ばかりだよ。トウハ、ありがとう」。石垣さんは何度も感謝の言葉をかけた。
 一番の思い出は、当時住んでいた大阪・鶴見区から沖縄まで他の人の手を借りずに行き来できたこと。電車を乗り継ぎ伊丹空港へ向かい、那覇空港に到着後はバスで目的地までたどり着いた。「一緒だと、どこへでも行けると自信になった。側にいてくれるだけで安心できた」と振り返る。
 失敗もたくさんあった。一緒に暮らし始めて2カ月ほどたったころのこと。大阪・難波で買い物中、足元で伏せをさせていたが、商品を見るのに夢中になるうち、側からいなくなってしまった。「改札をくぐろうとしていたのを保護されたらしく、駅員室にいると知ってほっとした」と笑う。
 盲導犬は10歳を目安に引退することが多い。
普段はお調子者でも、高い集中力で石垣さんを安全にリードし続けたトウハ。徐々に周囲に気を取られる場面が増え、石垣さんは引退の時期が近いと感じていた。それでも「大きな病気もなく、健康でこの日を迎えられて本当によかった」と目を潤ませた。
 石垣さんは17日から新たな盲導犬と訓練を始める。県内に施設はないため大阪で2週間、生活を共にして信頼関係を一から築く。
 トウハは県内の新たな飼い主の元で穏やかな日々を送ることになる。「好きな物をたくさん食べて、たくさん遊んで、残りの生涯、楽しく元気いっぱいに過ごしてね」。石垣さんはトウハの第二の“犬生”に笑顔でエールを送った。(社会部・山城響)
盲導犬トウハと8年「楽しい思い出ばかりだよ。ありがとう」 役...の画像はこちら >>
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