こんにちは、シューフィッター佐藤靖青(旧・こまつ)です。靴の設計、リペア、フィッティングの経験と知識を生かし、革靴からスニーカーまで、知られざる靴のイロハをみなさまにお伝えしていこうと思います。

ちょっといいスニーカーを買ってみようと思った時に、必ず候補に挙がるニューバランス。ネット記事でもYouTubeでもこぞって紹介され、大谷翔平をはじめとした一流アスリートも契約を結んでいます。しかし初心者には、どれも見た目が同じで、価格差がわからないという方も多いでしょう。かつての私もそうでした。今回は、過去に私が履いてきた無数のモデルのなかでも、「今でも買えるライフスタイル向けモデル」に限定して、個人的なおすすめを5つ紹介します。

第5位 「Made in USA 1300」4万4000円

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ニューバランス(以下、NB)といえば、「1300」を抜きに語れません。現行品は革靴より高い4万円超え。発売された1985年当時も日本価格で3万9000円で、著名人も愛用したことで知られています。「たかがスニーカー1足に、そこまでの価値があるのか?」と問われれば、あるのです。というのも、私が履いてきたNBのなかで、ぶっちぎりの長寿モデルだからです。

2万人の足を触った靴のプロが選ぶ「本当に買うべきニューバランス」5選。実際に“10年以上”履き続けているものも
筆者私物
13~14年履いている私物は、厳密にはオッシュマンズの別注品ですが、10年以上しっかり履けるスニーカーはなかなかないでしょう。履き心地のいいスニーカーの決まり文句である「雲の上を歩いているよう」という褒め言葉は、このモデルから始まりました。

とはいえ40年以上前のモデルなので、今ではそこまで突出した履き心地ではありません。
それでも、長持ちすること、そして飽きないことを考えれば、買う価値はあります。ただし、買ったら週1回は履くことが必須。ソールがポリウレタンなので、歩いて内部の水分を逃がさないと加水分解を起こします。

第4位 「574」1万3970円

2万人の足を触った靴のプロが選ぶ「本当に買うべきニューバランス」5選。実際に“10年以上”履き続けているものも
ニューバランス「574」。1万3970円。写真は公式HPより
庶民が買いやすいNBといえば、「574」。カラーバリエーションの展開が早く、店頭では少し前のカラーが8000円台で買えることもあります。筆者が20代後半ではじめて買った“ファーストNB”もこれでした。突出して何かがすごいわけではありませんが、歩くための靴の基礎がすべて詰め込まれているので、2年くらいで履き倒すならこれで十分です。

設計自体はこちらも40年近く前のものなので、現代のハイテクシューズには負けます。とはいえ、別に走るわけでもなく、日常生活のなかで使うのなら何も不便なことはありません。私も過去に、色違い・素材違いで3足買いました。

第3位 「Made in USA 993」4万2900円

2万人の足を触った靴のプロが選ぶ「本当に買うべきニューバランス」5選。実際に“10年以上”履き続けているものも
ニューバランス「Made in USA 993」。4万2900円。写真は公式HPより
2009年に発売されたモデルの復刻版である「993」。当時は2万3000円でしたが、高くなってしまいました……。私も2009年に買って、7~8年は履いていたと思います。当時はガチンコのハイテクスニーカーだったので、あらゆるスニーカーのなかでも最高レベルの履き心地・歩き心地でした。
かかとまわりから足首まわりにかけての完璧なフィット感と、つま先の複雑な骨格のどこにも当たらない設計の精密さは半端ではありません。

ハイテクとレトロのいいとこ取りなので、履き心地とおしゃれの両方を求める方にはおすすめです。唯一残念なのが、アッパーの一部に合皮が使われていて、ソールより先にそこから加水分解してしまうこと。私が泣く泣く手放したのも、それが原因でした。ということで第3位です。

第2位 「U2010V1」2万2000円

2万人の足を触った靴のプロが選ぶ「本当に買うべきニューバランス」5選。実際に“10年以上”履き続けているものも
ニューバランス「U2010V1」。2万2000円。写真は公式HPより
こちらは最新版のNB「U2010V1」。といっても、運動用ではなく、「生活のなかで好きに使ってください」というタイプのモデルです。スニーカー=運動という概念をひっくり返したコンセプトが気に入って、先日購入しましたが、使い勝手がすこぶるいい。

2万人の足を触った靴のプロが選ぶ「本当に買うべきニューバランス」5選。実際に“10年以上”履き続けているものも
筆者私物
私物は、ひもだけはサロモンの「クイックレース」に変更しましたが、履き心地もデザインも文句なし。厚底のハイテクシューズは、ふかふかと沈み込みすぎる点が賛否両論ですが、このモデルは沈みません。なのに、アブゾーブというゲル状の衝撃吸収材がソール全面に入っているので、突き上げ感は一切なし。膝の調子がいまひとつな時でも、しっかり長距離を歩けます。

表面のメッシュには、アウトドア用のリップストップメッシュを採用。
雨の日でも、防水スプレーを前の晩にかけておくと、笑えるくらい水を弾きます。ビジネスカジュアルで使える黒スニーカーを探している方には、強くおすすめします。

第1位 「2002R」1万9800円

2万人の足を触った靴のプロが選ぶ「本当に買うべきニューバランス」5選。実際に“10年以上”履き続けているものも
ニューバランス「2002R」。1万9800円。写真は公式HPより
ダサすぎず、子どもっぽくもなく、元気な時でも足を痛めている時でも歩けます。このモデルがなければ、第2位のモデルも、もしかしたら生まれなかったかもしれません。こちらも「走る」用ではなく、ライフスタイル向け。もともと4万円以上したアメリカ製の尖ったモデルを、機能は残したままアジア製にすることで、半額販売を達成しました。価格も品質のうちです。

私物は約1年半履いていますが、どこも壊れていません。メーカー非推奨ですが、洗濯機で何度も洗っています。それでも、革もメッシュも傷んでいません。衝撃吸収も安定性もパーツ配分も完璧。他メーカーもこぞって模倣品を発売するほどです。
持論ですが、スニーカーはパクられたら本物。ソールが加水分解することもなく、かかとの外側のいちばん削れる部分は、あらかじめカットされています。ひとまずこれを履いたら、ほかのスニーカーでは物足りなくなるでしょう。これでよく1万円台を維持できているな、と不思議に思えるほどです。

NBで迷っていたら、まず2002Rから試すのが最短ルートだと断言します。「320」や「576」、「1400」も愛用していましたが、現在は販売されていないので割愛しました。NBの面白いところは、「走る」ことに特化しているだけでなく、ライフスタイル用にも最新技術を惜しみなく転用しているところでしょう。決して安いラインナップではありませんが、そのぶんの価値はあります。品番や生産国に振り回されず、「自分の使い方に合っているか」まで吟味すれば、大きく外すことはありません。

【シューフィッター佐藤靖青】
イギリスのノーサンプトンで靴を学び、20代で靴の設計、30代からリペアの世界へ。現在「全国どこでもシューフィッター」として活動中。YouTube『足と靴のスペシャリスト』。
靴のブログを毎日書いてます『シューフィッター佐藤靖青(旧・こまつ)@毎日靴ブログ』。著書『予約の取れないシューフィッターが教える正しい靴の選びかた』
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