『ヴィンチェンツォ』や『シスターズ』、『涙の女王』、『北極星』など、数々の作品をヒットに導き、「信じて見られるキム・ヒウォン」と韓国で絶大な信頼を得ているキム・ヒウォン監督。今回オリコンニュースでは、スタジオドラゴン創立10周年を記念し、キム・ヒウォン監督にインタビューを実施。
最近の韓ドラのトレンドから、ヒットの秘けつ、『涙の女王』の撮影秘話や監督が選ぶ名シーンまで、たっぷり語ってもらった。

――最近、韓国ドラマは短編化(8~12話)やグローバル配信が加速していますが、監督としてこのトレンドをどう感じていますか?

トレンドの初期には多少の混乱もありましたが、今ではすっかり自然なこととして受け入れられています。ドラマ産業が爆発的に発展し、運ばれる物語の質量、質感、速度などが変化したため、視聴者の皆さまが求める形態もそれだけ多様化しているのだと思います。むしろ、この傾向の中で「伝えたい物語のボリュームを収めるのに、適切なサイズの器は何か」をしっかり判断しなければならない宿題が増えたと考えています。私たちが描く人物にふさわしい、適度な長さを賢明に見つけ出してこそ、視聴者の方々の物足りなさを減らすことができるという判断です。

――グローバル配信が増えたことで、海外ファンの反応を意識した演出や設定の変化はありましたか?

最大限、普遍的に理解していただける表現を通じて伝えようと努力しています。海外のファンの皆さまは、それぞれ異なる文化圏や背景でドラマを鑑賞されることになりますが、私たち固有の感情や表現などを目にされたときに、困惑されたり首をかしげたりすることがないようにするためです。ドラマ市場がグローバル化するにつれ、より人間固有の感情や、変わることのない価値に集中するようになるのも、こうした理由からです。

――逆にグローバル化が進んでも「これは残したい韓国ドラマらしさ」という要素があれば教えてください。

この質問にはずいぶん悩みましたが、「情熱」という単語が思い浮かびました。本当に一生懸命に愛し、一生懸命に働き、一生懸命に遊ぶ、私たちならではの情緒が確かに存在すると考えており、その特有の熱さから来る印象があると感じています。ドラマは特に、人間の生を非常に間近で長い時間見せなければならないという特徴があるため、キャラクターとその人生を表現する上で、私たちならではのこうした特殊性がよく溶け込んでいるほど、興味深く見守っていただけるのではないかと思います。


―― 特に『ヴィンチェンツォ』(2021年)や『王になった男』(2019年)、『北極星』(2025年)など…監督の作品では、毎話ドラマタイトルが力強く出てくる演出がかっこいいと話題です。こだわっているポイントはありますか?

この悩みの始まりは、『カネの花~愛を閉ざした男~』(2017年)という長編デビュー作からでした。状況や感情が最高潮に達したとき、突然ドアを「バタン」と閉めてしまうようなエンディングにしたかったのです。そこで、何の修飾語もないブラックの画面にタイトルの文字だけを浮かび上がらせるエンディングを思いつきました。そうなると、どうしてもタイトルの書体やフォントに非常に気を遣うようになります。エンディングを飾る唯一のイメージであるため、文字のデザイン自体から受ける印象によって、ドラマの内容やスタイルまで感じていただけるようにしたかったからです。もう一つはエンディングシーンのサウンドです。タイトルが登場する決定的な瞬間に音楽と効果音が絶妙に合致した時の快感のために、音楽監督やミキシング室の方々と数多くの会議と修正を繰り返します。

――『王になった男』のような時代劇、『ヴィンチェンツォ』のような復讐劇、『シスターズ』(2022年)のようなサスペンス、『涙の女王』(2024年)のようなロマンスまで、さまざまなジャンルを手がけていますが、監督が一番好きなジャンルはどれですか?

私は本当に「雑食」です。このような質問をいただく度に、いつも「面白い物語」が好きだとお答えしていますが、逆説的に非常に面白みのない答えだとは思いつつも…やはりそうなのです。むしろジャンルよりは、この物語がどのような人間を扱っているのかが、常に私の関心事でありテーマです。最後まで彼が進む道が気になるか、彼を応援できるかが最も重要なポイントです。
そのような人物であれば、どのようなジャンルの中で動いても最後までついていくことができますから。人間の尊厳を損なうような物語でなければ、この世のすべての物語が好きです。

―― 監督が手がけた作品は軒並み大ヒットしていますが、監督が思う今の韓国ドラマ“ヒットの法則”はありますか?

以前は確かにそのようなルールもあったと感じていましたが、今はすべての法則が破壊されていると考えています。私はこうした傾向を非常に歓迎しています。多くの方々が似たような感情を抱くポイントは確かにありますが、今はそこからさらに進んで、「自分だけの感情」を大切に共有できる世界に変わったと感じています。長い間「騒がしいヒット」だけが存在していた世界で、今では「静かなヒット」も強力に響くようになりました。ですから、たった一つのヒット法則よりは、「多様なヒット法則」が生まれている、と申し上げられます。

――監督がこれまで作ってきた作品の中で、愛の描き方や表現は時代とともに変わってきたと感じますか?

私の場合、愛そのものに対する表現は一貫して行ってきたと考えています。愛に落ちる瞬間、愛を楽しむ瞬間、愛から抜け出す瞬間といった固有の感情は、大きくは変わらないと信じている方です。ただ、変わったと感じる点があるとするならば、キャラクターたちが愛以外にも重要に考える価値が増えたという点です。愛が始まると「直進」でそこに向かって突き進んでいた感性から、今では他の価値、例えば社会での関係、仕事、友情、未来を見据えた計画といった価値も共に引き上げられなければならない方向に変貌したと感じています。キャラクターがそれだけ多彩で生き生きとした目標を持つことを要求される時代になったため、愛の中で人物が色を失わず、自身の舞台で真の主人公になれる方向を模索しているところです。


―― 『涙の女王』、『北極星』などは、ロマンス、財閥の相続争いや復讐、家族ドラマなどいろんなジャンルが混ざっています。監督はジャンルを混ぜるのがとても上手いですが、バランスをとるのに意識していることは?

やはりキャラクターの一貫性です。その中でも特に、キャラクターが強く追求するものに向かうまっすぐな「芯(信念)」が最も重要だと感じています。演出や俳優が状況によって異なる「質感」を追求してしまうと、一貫性から遠ざかるケースが生じます。質問のジャンルはすべて強烈な感情を含んでいますが、この強烈さがそれぞれ異なる方向に飛んでしまうと、一人の人間を堪能していると感じていただくことが難しくなるからです。撮影時には最大限この部分を俳優と話し合い、基本となるトーンを合わせていきます。ポストプロダクションでは、編集と音楽でこの部分をさらに強化します。そのシーンだけで良い編集や音楽を追求してしまうと、全く異なるものをつなぎ合わせたようになってしまうことがあります。そのため、編集技師や音楽監督と、この作品全体を一つのトーンとして感じさせてくれる枠組みを作ることに、かなりの時間と労力を注ぎます。

――『涙の女王』では、これまでの作品のオマージュやカメオ出演が話題となりました。どのように構成しているのですか?

当然、脚本家の方との深い議論の結果です。脚本家の方が執筆しながら考えた状況やキャラクターのイメージにぴったりと合致する部分があれば、それに合わせてカメオのキャスティングや演出のトーンを構成します。
特にカメオ出演の場合は、登場が視聴者の皆さまにとって喜ばしいものでなければならず、インパクトのある演技をしていただける方でなければならないため、脚本家の方と深化させた議論を重ねます。『涙の女王』の時に『ヴィンチェンツォ』のパロディシーンがありましたが、台本の段階から非常に面白かったですし、ありがたいことに出演を快諾してくださったソン・ジュンギさんのおかげで、幸せに撮影することができました。「これほど偉大な作品に私のドラマがパロディされるなんて!」と光栄な瞬間でした。

――脚本家パク・ジウンさんとのお仕事は、どんなところが印象的でしたか?脚本を読んで「ここがすごい!」と思ったエピソードがあれば教えてください。

脚本家の方の作品に参加して衝撃的に感じたのは、ごく小さなキャラクター一つまで逃さず息吹を吹き込まれるという点でした。数多くのキャラクターが運ばれる状況の中で、その人物や俳優が疎かに登場するという感じを、一瞬たりとも受けたことがありません。おかげで脚本家の方の作品には素晴らしい俳優たちが常に参加したいと願い、その優れた俳優たちを実際にお迎えした時のシナジーは凄まじいです。このような好循環がなされているからこそ、脚本家の方の作品には常に隙のない卓越した俳優たちが集まることができるのではないかと思います。また、台本を見たすべてのスタッフが、一つの感情、一つの目標を持てるようにしてくださるという点でも印象深かったです。これは脚本家の方が熾烈(しれつ)に人間を研究し努力された結果物であることを知っているため、作品を作りながら安らかな信頼の中で演出をすることができました。

――『涙の女王』を通して、視聴者に伝えたい一番のメッセージや、監督が一番大事に思っていることは何ですか?

家族。やはり家族です。
昨今のトレンドの中で「家族」の存在を盛り込むことは、ますます難しくなっています。ドラマの呼吸が短くなった中で、キャラクターが抱えるたった一つの課題を解くだけでも時間がタイトであるため、家族まで描き出すには余力がない場合も多いです。しかし、この作品には私たち誰もが持っている祖父母、父母、兄弟姉妹、子どもに対する多様な感情が込められています。私もクラシックなドラマを勉強した世代なので、常にこのような価値に対する郷愁がありますが、これを韓国最高の俳優たちのアンサンブルで見られるということだけでも感激的な現場でした。家族に対する情緒こそが全世界で最も普遍的な感情であるという点で、このようなタッチが途切れることなく続いてほしいという願いを持っています。

――『涙の女王』で最も印象に残っているシーンを教えてください。

チャン・ヨンウ監督がドイツで撮影された大部分のシーンが記憶に残っています。特に、ヒョヌの離婚合意書を見たヘインが衝撃を受ける第6話のエンディングは、本当に圧巻だと思います。どうしても同じ演出家の立場として、海外での撮影がスタッフ、俳優の全員にとって多大な苦労とストレスであることを知っているため、より感動的だったようです。俳優たちの圧倒的な演技、撮影チームの美しいミザンセーヌ、監督の細やかな演出まで、三拍子が完璧に合致した快感のシーンでした。それまでも作品の反応は良かったのですが、このエンディングを起点により爆発的なリアクションをいただくようになり、うれしかった思い出があります。

(文:DramaWriter Nana)
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