■お金のプロが教える「NISA貧乏」の本当の恐ろしさ
「将来が不安だから」「NISAの枠を早く埋めなきゃ」と投資を頑張り、将来を重視しすぎるあまり、日々の生活を軽視してしまっている人がいるようです。
最近はテレビやSNSなどで目にしない日はないくらい、NISA(少額投資非課税制度)が普及しつつあります。将来の備えとして資産形成を始める方が増える一方で、実は「NISA貧乏」という新しい問題が静かに広がっています。
せっかく将来のために始めた投資で、今の生活が苦しくなったり、心が不安定になってしまったりしては本末転倒です。この記事では「NISA貧乏」の正体と、私たちが本当に目指すべき「お金の面で満たされた状態」、そして人生100年時代における上手なお金の使い方について解説します。
NISA貧乏とは、漠然とした将来への強い不安から、今の生活を犠牲にしてまで過度な金額をNISAでの投資に回してしまう状態を指しています。
例えば、20代で手取り収入の大半を投資に回す人がいます。NISAの枠を埋めるのを優先するために友人の誘いを断り続け、毎日の食事も極限まで切り詰める……。こうした若者が増えているという話です。彼・彼女らを突き動かしているのは、「投資の枠を最速で埋めないと損をする」「老後資金が数千万円足りなくなる」といった強迫観念や、SNSから流れてくる過激な情報です。
お金は本来、人生を豊かにするための「手段」であり、投資はその中の1つです。しかし、NISAで積立投資をすること自体が「目的」にすり替わり、自己研鑽や多様な経験をするための貴重な「今という時間」を失ってしまう、これがNISA貧乏の恐ろしさです。
■「将来の後悔を最小限に抑えよう」
では、NISA貧乏に陥らないためにはどうすればよいのでしょうか。それは、自分にとっての幸せなお金の使い方を知り、「今」と「将来」のバランスを最適化することです。
一般的に資産形成は、次の式のように手取り収入から生活費としての支出を引いた金額とすでに保有している資産を運用していきます。
「将来」を優先するのであれば支出をできるだけ抑え、「今」を優先するのであれば可能な範囲で好きなだけ支出していくことになります。前者がまさにNISA貧乏、後者は「宵越しの銭は持たねぇ」という江戸っ子です。
これらは両極端ですので、一般的には、これらの間でご自身のライフプランに応じて「将来」と「今」のバランスを取っていくことが大切です。
ここで筆者が最近読んだ本にあった言葉をご紹介しましょう。
「良いアドバイスとは、『今日を大切に生きよう』または『将来のために貯蓄しよう』といった単純なものではない。唯一の良いアドバイスは、『将来の後悔を最小限に抑えよう』である。」
出所=『アート・オブ・スペンディングマネー 1度きりの人生で「お金」をどう使うべきか?』(モーガン・ハウセル)
■定年後に1.3億円は必要か
筆者はファイナンシャルプランナーとして様々なご相談をお受けしています。60代以降でも多額の資産を保有し続けている方がいらっしゃいます。
共働きということもあり、企業年金を含めて老後の年金収入は十分に確保されており、60歳以降も終身で家計収支は黒字になる見込みでした。若い頃からもう少し生活水準を上げ、人生を楽しむためにお金を使っていくという選択肢もあったかもしれません。
ここで多額というのは単純に金額ではありません。年間300万円で暮らしている方にとっては3000万円が多額かもしれない一方、年間1000万円を使っている方にとっては7000万円でも不十分かもしれません。生活水準と、収入や資産のバランスを考えた時に、極端になっている状態が「多額」なのです。
人生の後半に多額の資産を残して亡くなられる人が多いという現実があります。「将来」と「今」のバランスをしっかり考えていかないと、高齢になってから後悔する可能性が高まるのです。
私たちはつい「将来のため」と貯蓄や投資を優先しがちですが、若い時には若い時しかできない経験や体験もあるでしょう。幸福感という観点では、旅行や学習、友人との食事などの経験にお金を使うと、満足度が長続きする傾向があると言われています。
その時その時にしかできない経験を大切にしながら、長期的な視点でお金と向き合っていくことがより幸せな人生と言えるのではないでしょうか。
■本当のゴールは「お金持ち」ではない
このように今と将来のバランスを保ちながら、私たちが本当に目指すべきお金のゴールとは何でしょうか。
これは単にお金がたくさんあること(客観的な状態)ではなく、「お金の面で現在も将来も安心して、自分らしく多様な幸せを実現できている状態(主観的な満足度)」を指します。
ファイナンシャル・ウェルビーイングには、大きく分けて以下の4つのポイントがあります。
・ 家計管理:毎月の支払いをしっかりと管理できている
・ ショック対応:急な病気や失業などの金銭的ショックに耐えられる
・ 将来見通し:子どもの教育費や老後などの目標に向け、資金計画が軌道に乗っている
・ 選択の自由:人生を楽しむために、お金の面で幅広い選択ができる
まず安心感という意味では、日々の家計管理をしっかりと行い、将来のリスク(世帯主の死亡や長期就業不能、マイホームの火災など)に備えられていることが大切です。その上で、将来のライフイベントに向けた資金計画を立て、それに向けて進捗していること、そして人生を楽しむためにお金の面で幅広い選択を持てる状態、これがファイナンシャル・ウェルビーイング(お金の面で満たされた状態)と言えます。
■資産額が同じでも幸福度が違うワケ
興味深いことに、資産額が同じであっても、お金の知識(金融リテラシー)が高い人ほど、このファイナンシャル・ウェルビーイングの満足度が高くなるという調査結果もあります。つまり、ただ闇雲に預金額や投資額を増やすことより、自分のお金と上手に付き合う「知恵」を持つことの方が幸せへの近道と言えるのです。
ファイナンシャル・ウェルビーイングを実現するために最も大切な考え方が、「足るを知る」ということです。
「1億円貯めなければ」「もっともっと増やさなければ」と他人と比較し、際限なく上を目指しても、心はいつまでも満たされません。大切なのは、周りの声に惑わされるのではなく、自分が「どのくらいあれば満足できるのか」という自分なりの基準(等身大のライフプラン)を持つことです。
「豪華客船の旅でなくても、夫婦で近場の温泉旅行に行ければ十分幸せだ」「高級スポーツカーでなくても、レンタカーで恋人とドライブできたら幸せだ」と心から思えれば、過剰に投資に走りすぎることもなくなるのではないでしょうか。
■お金は道具に過ぎない
お金は、あなたが自分らしく幸せに生きるための「道具」に過ぎません。
1.家計を整え、万が一の備えを持つ(安心感)
2.将来の目標(ライフイベント)を明確にしながら、適切な金額で積立投資に取り組む(将来見通し)
3.手元のお金は、今の人生を彩る「経験」を中心に使っていく(選択の自由)
このバランスをうまく取っていくことが、NISA貧乏を避けてお金の面で不安なく、充実した人生を送っていく鍵となります。
自分を追い詰めすぎず、今と未来の両方を大切にしながら将来の後悔を最小限に抑える、等身大のライフプランニングから始めてみてはいかがでしょうか。
----------
横田 健一(よこた・けんいち)
ファイナンシャルプランナー
1976年生まれ。東京大学理学部物理学科卒業、同大学院修士課程修了。マンチェスター・ビジネススクール経営学修士(MBA)。野村證券でデリバティブ商品の開発やトレーディング、フィンテックの企画・調査などを経験後独立。情報サイト「資産形成ハンドブック」やYouTubeなどで情報発信しながら、個人の資産形成をサポート。CFP®、ウェルビーイング学会会員(ファイナンシャル・ウェルビーイング分科会所属)。「ファイナンシャル・ウェルビーイング検定」監修。著書に『新しいNISA かんたん最強のお金づくり』(河出書房新社)、『増やしながらしっかり使う 60歳からの賢い「お金の回し方」』(KADOKAWA)がある。
----------
(ファイナンシャルプランナー 横田 健一)

![[のどぬ~るぬれマスク] 【Amazon.co.jp限定】 【まとめ買い】 昼夜兼用立体 ハーブ&ユーカリの香り 3セット×4個(おまけ付き)](https://m.media-amazon.com/images/I/51Q-T7qhTGL._SL500_.jpg)
![[のどぬ~るぬれマスク] 【Amazon.co.jp限定】 【まとめ買い】 就寝立体タイプ 無香料 3セット×4個(おまけ付き)](https://m.media-amazon.com/images/I/51pV-1+GeGL._SL500_.jpg)







![NHKラジオ ラジオビジネス英語 2024年 9月号 [雑誌] (NHKテキスト)](https://m.media-amazon.com/images/I/51Ku32P5LhL._SL500_.jpg)
