※本稿は、印南敦史『先のばしをなくす朝の習慣』(三笠書房)の一部を再編集したものです。
■その仕事をする必然性が優先される
「効率」について語られる際によくいわれることですが、仕事には「やりたい仕事」と「やらなければならない仕事」があります。
いうまでもなく後者は「嫌でもやらなければならない仕事」であり、だからこそ多くの人がそれらを先のばししてしまうのでしょう。やらなければならない事情や状況があるだけで、本音の部分ではやりたくないのですから当然の話です。
とはいえ仕事である以上、「やりたい仕事」や「好きな仕事」だけをやればいいわけではありません。好きか嫌いかという本人の意思よりも、その仕事をする必然性が優先されるに決まっているからです。
いいかえれば、どっちにしてもやらなければならないわけです。
■「やる必要がある」と前向きに自覚する
そして、ここが重要なのですが、どのみちやらなければいけないのであれば、少しでもストレスがかからない方法を見つけ出すべきです。
「ああ、嫌だなぁ。本当はこんなことやりたくないのになぁ」などと考え続けながら仕事を進めたら、どんどん苦しくなっていくのは当然です。でも、やる以上は少しでも穏やかな気分で臨みたいもの。
具体的にいえば、目の前に積み上げられた仕事の束を確認したうえで、まずはそれらの仕事を「やる必要がある」と自覚するのです。もちろん前向きに。
当たり前のことだと思われるかもしれませんが、じつはこの部分でつまずきかけているケースも少なくありません。「やる必要がある」と思うべきなのに、「やらなければならない」というネガティブな思いに左右されてしまっている人が多いわけです。
でも、やらなければならないのは疑いようのない事実なのですから、まずは頭を空っぽにして「やる必要がある」という“事実”だけを認識するのです。
「やらなければならない」などと深刻に考えてしまったら、つらくなっても無理はありません。だからこそ、前向きに「やる必要がある」と考えるべきなのです。同じことのように思えて、これはとても大切なことです。
■「たどり着く終点はひとつだけ」
つまらないことで悩んでいた10代のころ、ある人のことばに助けられたことがあります。目の前の現実に耐えきれずウジウジと苦悩している僕に向かって、その人はこういったのです。
「暗く悩んで苦しんだとしても、明るく前向きに考えたとしても、たどり着く終点はひとつだけ。
このときの悩みはプライベートな話で、仕事とは無関係だったのですが、仕事についてもあてはまると思います。やりたかろうがやりたくなかろうが、やらなければならないのなら気持ちを楽に持ったほうがいいに決まっているからです。
そこで、複数の仕事があった場合におすすめしたいのは、それらをまず「やりたい仕事」と「やるべき仕事」とに分けること。
いいかえれば現実を直視できる状態にして、それを客観的に捉えるわけです。先のばしとは正反対の発想であり、そこをスタートラインにすべきなのです。
■「やるべき仕事」から取りかかると軌道に乗る
さて、「やりたい仕事」と「やるべき仕事」を分けたら、重要なのはその次です。
嫌な仕事はつい先のばししてしまいがちですが、それは絶対に避けなくてはなりません。気が進まないのもわかりますけれど、そういう仕事こそ先に片づけてしまったほうが、あとあと気分的に楽だからです。
子どものころ、食事で「なにを先に食べるか問題」に直面したことがありませんか?
嫌いなものを先に食べて、好きなものはあとに残しておくか、それとも好きなものを先に食べ、そのあとで嫌いなものを片づけるかという問題です。
もちろん「好きなものから食べたい」という方もいらっしゃるでしょうが、僕の場合は前者。すなわち嫌いなものは先に食べ、好きなものを残しておきたいのです。
まず、好きなものに手をつけてしまうと「このあと、苦手なアレを食べなくてはならない……」という思いを抱きながら箸を進めることになってしまいますよね。それだと落ち着けません。だから、なるべく早めに、苦手なものを片づけたくなるのです。
同じことが、仕事にもあてはまると考えています。これから仕事をしようとする際、ましてや週の初めなど、仕事をする気にならないタイミングであればなおさら、楽な仕事から片づけていこうと考えてしまいがちです。
しかし、楽な仕事を先に片づけるということは、「楽ではない仕事」「やりたくない仕事」があとに残ってしまうということです。
すると、精神的なつらさが増大してしまいます。だから、「やるべき仕事(本当はやりたくない仕事)」から先に手をつけたほうがいいのです。
■「ポケットのなかの小銭」を減らせ
なお、そこにはもうひとつ大切な根拠があります。
仮に、どう転がってもやらなければならない仕事が3つあったとします。
そういう場合、最初のひとつを終えると「ひとつ終わらせたぞ」という達成感と安心感を覚えることになります。
3つ目を終えたときもまた同じで、つまりは「やるべき仕事」を終えるたびに気持ちが楽になっていくのです。
僕はそれを、「ポケットの小銭を減らすような感覚」だと捉えています。小銭は増えれば重たくなりますが、仕事をひとつ終わらせるごとに気持ちは軽くなっていくのです。
つまり、「やるべき仕事」をひとつひとつクリアしていけば、どんどん気持ちも楽になっていくということです。すると、その先に残っている「やりたい仕事」に、さらに楽しく臨めることになります。
と断言しているのは、実際に僕自身がそうやって日々の仕事をこなしているから。毎日締め切りがあるような生活を送っていれば、当然のことながら「やるべき」だとわかっていながら気の進まない仕事にも直面するものです。
しかし、だからこそあえて目を背けず、「やってやろうじゃん」と真正面から取り組む。そうすれば、結果的にポケットの小銭は減っていき、気持ちも安定してくるのです。
Point 「やらなければならない仕事」というものは存在しない
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印南 敦史(いんなみ・あつし)
作家、書評家、編集者
最新刊「遅読家のための読書術」(ダイヤモンド社)がベストセラーに。書評家として「ライフハッカー[日本版]」「ニューズウィーク日本版」「マイナビニュース」「Suzie」「WANI BOOKOUT」など多くの媒体に寄稿。
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(作家、書評家、編集者 印南 敦史)

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