※本稿は、中川浩一『英語を最短で身につけた総理通訳の勉強法』(青春出版社)の一部を再編集したものです。
■英語の「聞き流し」が絶対にダメな理由
本稿では、英語の「インプット」のコツについて触れていきたいと思います。
まずは、インプットで最も難しいと言われる「リスニング」のコツです。
よく英語の学習教材で、「1日何分『聞き流す』だけで、みるみる上達」などのフレーズを目にしますが、英語を聞くのを楽しみたい人ならともかく、英語で会話をしたい人、なかでもビジネスパーソンは絶対にやってはいけません。
なぜでしょうか。
あなたのゴールは、「英語を使って日常会話やビジネスで交渉ができること」だとします。
それでは、実際にその場面を思い描いてみてください。
たとえば、日常会話においても、外国人とのデートの約束場所や時間を間違えたら大変なことになりますよね。次の出会いは来ないかもしれません。それがビジネス交渉となったらさらに「聞き流し」は許されません。
社運をかけた交渉では、外国人の相手の言うことを一言一句聞き漏らさず的確に対応していかなければ、商談があなたの会社に有利に進むわけがありません。
にもかかわらず、ふだんから「聞き流す」癖をつけてしまうと、ビジネス本番で最も重要な「集中力」が養われず、「聞き流す」癖が出てしまい、致命傷を負ってしまうことにもなります。
■アウトプットよりインプットが多いのはダメ
それでは、聞き流さないようにするにはどうすればよいのでしょうか。
答えは、簡単です。知らない単語やフレーズが出てくるから「聞き流す」しかなくなるのです。
わかりやすく言えば、「私はりんごが好きです」という英文を読めて理解できるようになったら、それを耳で確認するのです。けっして別の「私はみかんが好きです」という文章をリスニングしてはいけません。
読めない、わからない文章を聞いて理解することなどできるはずがありません。日本語で考えればあたりまえのことなのに、なぜ外国語学習ではこのような方法がとられているのでしょうか。
これも、日本人はなまじ英語を知ってしまっているから、「推測でなんとなく意味はとれるのではないか」と勘違いしている面が大きいと思います。そして、インプットありきの勉強法を信じて疑ってこなかったことも影響しているでしょう。
しつこいようですが、アウトプットすることを、日本語でまず考える。それに見合う内容の英語に置き換えて、音に出す。
けっして、リスニングだけを先行させてはいけません。アウトプットの量よりインプットの量が多くなっているうちは、英語を話せるようにならないのです。
■話したい日本語を英語に置き換える
そのためにも、まずは自己発信ノートを充実させることを心がけてください。日本語であなたが話したいことだけを書いたノート、そしてそれを英語に「置き換えて」「言い換えて」発声をしていく。
翻訳アプリなどでは、オリジナルの英文を入れると発声してくれるものがあるので、それを活用してもいいでしょう。
この段階では、発音は流暢である必要はまったくありません、ネイティブの発音である必要もありません(もちろんネイティブのようにまねるのは構いません)。このプロセスを終えてはじめて、その書いた文章に相当する部分のリスニングを「解禁」してください。
ようは、あなたが口に出した後で聞く音と、黙読しただけで聞く音では、まったく違ってくるということです。
私はアラビア語で、発音のみならず流暢さもアラブ人以上であると、お世辞ですが言われることもあります。仮にそれが本当だとしたら、それは、このプロセスを愚直に貫いたからだと思います。
日本の英語教育の思想のもとで学んだあなたは、リスニングを後回しにすることには相当な抵抗があると思いますが、どうか、「口に出してから、聞く」というプロセスを進んでください。
■リスニングは本来「音を出す」こととセット
そもそもリスニングって、どのような場面で必要でしょうか。
それはビジネスシーンであれ日常会話であれ、外国人とコミュニケーションをとる、つまりあなたが何かを話して、そして外国人の話を聞く場面が一般的ですよね。
海外の映画を字幕なしで観られるようになりたい、といった目的でなければ、英語は聞けさえすればいい、ということはないはずです。
その意味で、リスニングは本来、スピーキング、つまり「音を出す」こととセットで考えなければならないものです。
それなのに、スピーキング(アウトプット)は大変だからといって、ある意味、受け身で学べるリスニング(インプット)を単独でおこなっている人が多いのではないでしょうか。
実際のビジネスシーンで、あるいは日常会話で、あなたがあまり外国語を話せないのに、外国人があなたに外国語でペラペラと話してくることはまずないでしょう。
あなたは、日本語が話せない外国人に日本語でペラペラと話しませんよね。それと同じです。
だから、リスニングはあくまでもスピーキングを補完するくらいの考えでいないと、結局、あなたの勉強法はこれまでどおり、安易なリスニング・ファーストになってしまうでしょう。
ですので、アウトプットをしないで、インプットのリスニングだけをやることは絶対にやってはいけません。その時点で、あなたは「話す」能力を自ら崩壊させてしまっているとすら言えます。
■ネイティブとの会話が発音を上書きする
リスニング能力を伸ばすには、音を「聞く」ことから入るのではなく、先に音を出すこと、まさにスピーキング・ファーストが上達の秘訣です。
なぜなら、自分が実際に声に出すことで脳にインプットされた音は、まず忘れないからです。
ある単語やフレーズを、自分の声で外に何度も発信していると、「脳」がその音を覚え、同じ単語やフレーズを外国人から受信する能力、察知する能力も上がっていきます。
残念ながら、その逆は成立しません。どんなに良い音で(ネイティブの発音で)あっても、自分で声に出さずに、一方的に聞くだけでは、発音はうまくならないのです。
スポーツ観戦だけしていても、スポーツがうまくならないのと一緒です。
さらに、自分の「脳」を通じて音を発信して、その単語の音の受け入れの態勢、感度を高めておくと、相手のよりきれいな発音が自分の発音を上書きしてくれるようになります。
私はアラビア語学習でそれを実体験しましたし、英語でもトライして成功を実感しましたので、ぜひ試してみてください。その意味でも、「きれいな」発音は後からついてくるのです。
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中川 浩一(なかがわ・こういち)
ビジネスコンサルタント
1969年京都府生まれ。慶應義塾大学卒業後、1994年外務省入省。1998~2001年、在イスラエル日本国大使館、対パレスチナ日本政府代表事務所(ガザ)、PLOアラファト議長の通訳を務める。その後、天皇陛下、総理大臣のアラビア語通訳官(小泉総理、安倍総理〈第1次〉)や在アメリカ合衆国日本国大使館、在エジプト日本国大使館、大臣官房報道課首席事務官などを経て2020年7月、外務省退職。
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(ビジネスコンサルタント 中川 浩一)

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