※本稿は、森豊、松生恒夫『血糖値は「腸」で下がる』(青春出版社)の一部を再編集したものです。
■食事のとり方で糖尿病の薬いらずの状態に
糖尿病の治療はみなさんもご存じの通り、食事を制限する「食事療法」、体内のブドウ糖の代謝を促す「運動療法」、飲み薬でインスリン分泌を促進したり、インスリンを直接注射したりする「薬物療法」の三つが「三大療法」と称され、いまも基本です。
この中でも最も大切であり、根幹をなすのが食事療法です。なぜかというと、いくら薬で血糖値を下げたり、インスリンを補てんしたりしても、食事療法が守られていないと、良好な血糖コントロールができないからです。野球でどんなにピッチャーが抑えても、守備陣がエラーばかりするようなものであり、穴の空いたバケツと一緒です。
「食事療法に勝る薬はなし」なのです。
したがって私が患者さんと向き合う際には、まずは時間をかけて丁寧に食事の重要性を訴えています。それが治療に向けての第一歩であり、患者さんに納得していただかないと、治療の効果も得られません。
糖尿病とすでに診断されて薬を服用している人でも、食事のとり方で薬いらずの状態に改善することも可能です。
そのためのポイントとして、本稿で紹介するのは「昼食をそば、丼ものでパッと済ませないこと」です。
昼食のそば、丼ものも、血糖値の観点からすると、決しておすすめできません。
「え、そばは体にいいんじゃないの?」
という声が聞こえてきそうです。
■昼のそば、丼もの「早食い、大食い」の盲点
たしかに、そばは食物繊維を多く含み、血糖値の上がりやすさを数値化したGI値(グリセミック・インデックス)も54と、白米(うるち米)の84、うどんの80よりも低く、血糖値の上昇を抑えられます。主食は白米の代わりにそば、うどんよりもそば、というチョイスは正しく思えます。
しかし、気をつけなければならないのは、食べる量の問題です。成人男性なら、ざるそば1枚ではちょっと物足りず、つい大盛りにしてしまう人も多いでしょう。そうなれば、たちまち白米1杯分を上回りかねません。
とくに夏場のそうめんなど、ツルツルと知らぬ間に3~5束と食べていませんか。その量はご飯1.5~2杯分の糖質量・カロリーに相当します。
また、そばもそうめんもすするだけで早食いになってしまいがちです。早食いは血糖値の急上昇を招きます。短時間で多くのカロリーを摂取することになり、肥満リスクを高めます。
そしてさらに問題なのは、ざるそばやそうめんの場合、ほぼ麺しか食べない点です。
一方、天丼やカツ丼などの丼ものも、麺類同様、かき込むように早食いになってしまう傾向があります。また、ざるそば、そうめん同様、栄養バランスの悪さもマイナス点です。
さらに丼ものの多くは糖質+脂質。この二つが合わさると、上昇した血糖値が下がりにくくなります。血糖値の観点からすると、避けるべき食べ物といえます。
■「糖質+脂質」が血糖値にとってよくない理由
なぜ、糖質+脂質が血糖値から見て、NGなのでしょうか。
一般的には脂質をとると、消化しにくいため、胃から腸への排出に時間がかかるようになり(胃に長くとどまるようになり)、食べたものの吸収がゆるやかになるとされています。
それは事実であり、食べたものの吸収がゆるやかになれば血糖値の上昇も抑えられます。丼ものが腹持ちがいいのもそのためです。
しかし、糖質+脂質の組み合わせは、血糖値の上昇はゆるやかでも、上がった血糖値がなかなか下がらないのが特徴です。その理由は、脂質によってインスリン抵抗性が増大し、インスリンの効き目が弱まるためだと考えられます。血糖値が下がりにくいため、インスリンを過剰に分泌することにもつながります。
たとえば、同じスイーツでも脂質がほとんどない和菓子(大福など)と脂質を含む洋菓子(ショートケーキなど)を食べ比べると、大福は食後にグーンと血糖値が上がりますが、インスリンの働きで、すっと落ちます。
片やショートケーキは、大福よりは上昇はゆるやかでもインスリンの効きが悪くなるので、なかなか元に戻りません。長く血糖値を上げてしまうのはショートケーキのほうなのです。
脂質は細胞膜や血液の成分となり、脂溶性ビタミン(A、D、E、K)の吸収を助け、エネルギー源ともなる人間の体に必須の栄養素です。
■炒め物の油を適正量使うには
しかし、そのエネルギーは1gで9kcalもあり(糖質、たんぱく質は1gで4kcal)、とり過ぎると肥満や血糖コントロールの悪化、コレステロール・中性脂肪の増加などにつながります。食事療法の中でも極めて重要なポイントです。
そのため、脂質をなるべく余分に摂取しないよう、調理法などで工夫することが大事です。たとえば、炒め物をする場合、目分量で油を入れると、つい入れ過ぎてしまうので、計量スプーンを使うなどして、常に適正な量を使う習慣を身につけることが大切です。
また、近年では脂質の中でも「オメガ3系脂肪酸」(亜麻仁油、エゴマ油、魚油内のDHAやEPAなど)や「オメガ9系脂肪酸」(オリーブオイルなど)といった、健康によいとされる脂質がクローズアップされています。
実際、サバやイワシなど青い魚に多く含まれるオメガ3系脂肪酸のDHAやEPAには、血液をサラサラにし、アレルギーを軽減する効果も期待できます。トクホ(特定保健用食品)指定を受けているサプリメントもあります。動脈硬化の治療薬としても利用されています。
しかし、血糖値コントロールの面から見ると、体によいからといって、脂質のとり過ぎは禁物です。
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松生 恒夫(まついけ・つねお)
松生クリニック院長
1955年生まれ。東京慈恵会医科大学卒業後、同大学第三病院、松島病院大腸肛門病センターなどを経て開業。医学博士。便秘外来を設け、5万件以上の大腸内視鏡検査をおこなってきた第一人者。著書に『血糖値は「腸」で下がる』(青春新書インテリジェンス)、『「腸寿」で老いを防ぐ』(平凡社新書)など多数。
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(東京慈恵会医科大学客員教授 森 豊、松生クリニック院長 松生 恒夫)

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