会社の上司や同僚と円滑に付き合うコツはあるのか。経営コンサルタントの勝木健太さんは、20代後半~50代の会社員を対象に「同僚とのつきあい方アンケート」を行った。
彼らから得たライフハックとは――。
※本稿は、勝木健太監修『同僚とのつきあい方』(東洋経済新報社)の一部を再編集したものです。
■上司に愛される部下が旅行先で買っているモノ
本稿では先輩世代のみなさんが長年の社会人経験の中で獲得してきたコツを、「同僚づきあいライフハック」と題して紹介していきます。ライフハックとは、仕事の質や効率を上げるための工夫のことです。
厳選した以下のティップスは、職場の人間関係で悩んできた先輩方だからこそ導き出せた、珠玉の格言ばかりです。人間関係にマニュアルはない、でも確実にコツはあるのです。ちょっとしたコツを知っておくだけで、毎日の仕事の進捗や職場の居心地はずっとよくなるでしょう。
お菓子配りはコミュニケーションの潤滑油
旅行や出張に行ったおみやげのお菓子を職場で配ってくれる人がいますよね。今は禁止になっている企業もあると聞きますが、まだまだ職場によくある光景ではないでしょうか。自腹で職場におみやげを買うなんてお金がかかるし、面倒なので、特にあまりお金のない若手社員にとってはありがたくない慣習かもしれません。
ただ、先輩世代からすると「お菓子配りはたまにやっておくと便利」なのだといいます。
お菓子配りの本質は、「職場のみなさんのことを思い出して、少しだけ自分の時間とお金を使いました」という気持ちを伝えることです。
「これ、よかったらどうぞ」とひと言添えるだけで、自然に雑談の入口に立つことができます。もらった側も、「あまり話したことなかったけど嬉しいな」と感じ、心のガードが一段下がります。
さらに、「この前○○に行ったときのおみやげです」と軽いエピソードを添えると、「私も行ったことありますよ」などと小さなストーリーを共有するきっかけにもなります。
高級なものを頻繁に配る必要はありません。「自分が無理なく出せる範囲で、たまに、少し」で十分です。年1~2回でいいと思います。特に年配の人は、こうしたささやかな気遣いを好意的に受け取りやすい傾向があります。
■酒豪アピールはNG
たとえ飲めても「あまり飲めない」ことにしたほうが安全
今は、「アルハラ」という言葉が浸透して、お酒を強要するムードはぐっと薄れ、飲めない人は無理に飲まなくていいという雰囲気の飲み会が多くなったと思います。そんな中で、先輩方から届いている貴重なアドバイスは、「たとえ飲める人であっても、『酒豪です』『いくらでもいけます』『お酒大好きです』とは言わないほうがいい」というものです。
新入社員や若手社員の頃は、上司や先輩に好かれたくて「酒豪アピール」をすることがあるかもしれません。「おっ、キミは今どきの子にしてはノリがいいなぁ」と上の世代の人も嬉しそうにするでしょう。その結果、自分の限界以上に飲むハメになったり、酔い潰れて余計なことを口走ったり、宴会要員として本来の業務外の接待に駆り出されたり、ロクなことにならないケースが多いのです。

大切なのは、最初に期待値をコントロールすることではないでしょうか。
「お酒の場は好きですが、たくさんは飲めないんです」とあらかじめ伝えておくことで、無理にすすめられるリスクを減らし、自分のペースを守りやすくなります。「この場にいることは好きです」ということは伝わっているので、ネガティブに受け取られることはありません。
■飲み会は本当に無駄なのか
飲み会は参加したほうが結局コスパもタイパもいい
前項に続いて飲み会にまつわるライフハックです。今どき会社の飲み会なんてお金と時間のムダだと感じる人は、特に若い世代には多いかもしれません。しかし、先輩方の意見としては「なんだかんだ言って、飲み会に参加したほうがコスパもタイパもいい」というのが実感のようです。
普段の職場の雑談では、業務に関係のない話を延々としているのはさすがに憚られます。しかし飲み会では業務に関係のない雑談はむしろ歓迎されるので、同僚との心理的距離を短時間でぐっと縮めることができます。それに、異動の気配や方針転換の予兆は、公式の場よりも、こうした非公式な場で先に漏れることが少なくありません。
この流れにまったく乗れずにいると、仕事そのものはきちんとこなしていても、背景情報だけがいつも半歩遅れてしまいます。もちろん無理して参加する必要はありません。
ただし、飲み会というのは少々ストレスを感じてしまう場面であることも事実です。
参加するなら、「今日は誰と話すか」「何を知りたいか」といった自分なりのテーマをひとつもっておく。そうした戦略があれば、自分にとって有意義な時間になるはずです。
■即レスが大事な理由
答えが出ていなくてもレスポンスだけは早く返す
仕事上の報告・連絡には、ふたつの役割があります。ひとつは用件や内容を伝えること。もうひとつは、「この話はいま誰がもっているのか」を相手にわかるようにすることです。後者がはっきりしないと、相手をソワソワさせてしまいます。
状況がわからないまま時間が過ぎていくと、不安やいらない想像を膨らませてしまうからです。だから、答えが出ていなくても、受け取ったというレスポンスを先に返すだけで、「仕事のしやすい人」と思ってもらえます。「たしかに受け取りました。○日までにお返事しますね」とひと言添えるだけで、「ちゃんと届いていて、いまはこちらで預かっていますよ」という状態を伝えられます。
レスポンスは、「このボールはいま私がもっています」というサインでもあるのです。仕事上のスピードの価値は、単に仕事を早く進める「効率」だけではありません。
相手の不安を小さくすることも、大切な価値提供です。
中身をじっくり考える時間が必要なときほど、「あなたの用件はちゃんと考えています。あとまわしになっていませんよ」という合図だけは、早めに出しておく。そんな小さな気配りが、仕事をスムーズにし、同僚からの「信頼貯金」を貯めていくことにつながるのではないでしょうか。
■スマホを使うときに有効なひと言
「スマホにメモさせてください」とひと言断る
打ち合わせ中や上司から指示を受けているとき、無言でスマートフォンを操作すると、自分が思っている以上に相手に誤解されてしまうもの。画面の中身がメモ帳やスケジュールであっても、相手からは見えません。
「こいつ、ちゃんと話を聞いているのか? スマホばっかりいじっているけど」と受け取られてしまうことがあります。あなたの意図はどうあれ、「自分の話が軽んじられている」という印象のほうが、先に立ってしまうのです。
この不要な誤解を防ぐキラーワードが、「スマホにメモさせてください」です。このひと言があれば、「私はあなたの大事な話をきちんと残したいと思っています」という印象に変わります。自分の話をメモしてくれる相手に対して、「軽んじられている」と感じる人はいません。むしろ、「大事に扱われている」「ちゃんと聞いてくれている」という安心感につながります。

重要なのは、メモを取る行為そのものではなく、「あなたの話を丁寧に受け取りたい」という意図を、相手に伝えているかどうかです。このひと言を動作とワンセットにしておくだけで、いらない誤解はぐっと減らせます。スマホを使う場面が増えた今だからこそ、意識しておきたい小さな気配りですね。

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勝木 健太(かつき・けんた)

経営コンサルタント、実業家、文筆家

1986年生まれ。京都大学工学部卒業。三菱東京UFJ銀行(現・三菱UFJ銀行)に入行。PwCコンサルティングおよび監査法人トーマツを経てフリーランスとして独立。2019年にAnd Technologiesを創業し、2021年には同社をみらいワークスへ売却。売却後は、執行役員としてリード獲得DX事業部を統括し、2年間の任期を満了して退任。著書に『同僚とのつきあい方』(監修、東洋経済新報社)、『モヤモヤをなくせばうまくいく』(小学館)、企画・プロデュース実績に『人生が整うマウンティング大全』(技術評論社)など。

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(経営コンサルタント、実業家、文筆家 勝木 健太)
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